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七話

俺は夏美と一緒に玄関へ向かう。こんな朝早くから不審者だとか世の中物騒だなおい。


 俺が先頭で夏美が後ろ。その間、夏美は俺の服の裾をちょこんと摘んでいる。最近はクールキャラ気取っているが中身は昔のまま怖がりなのだ。こんなときだが妹が可愛いななんて思った。

 

 玄関について俺はデートに履いて行くつもりだった革靴を履いて、郵便受けからそっと外を覗く。外にいるのは白を基調とし、ツバがピンク色のキャップとサングラス、そしてマスクを装備している確かに怪しい女が辺りをキョロキョロしている。

 

 「本当に怪しい女だな……」

 

 「どうしよう? 通報した方がいいかな?」

 

 「いや、もう少し様子をみてみよう」

 

 俺はそのまま暫く女を観察することにした。

 

 スタイルはまぁまぁいい。胸も丁度いい大きさだ。顔が帽子やらサングラスやらマスクやらで隠れているがそれでも美人だと雰囲気で分かる。そして一番の特徴が金髪だということ。泥棒が金髪って目立ちすぎない?警察に捕まえてくれって言ってるようなものだ。

 

 と、いうか、あの金髪凄い見覚えがあるんだけど。

 

 俺は正体を確かめるためにドアノブを握り、ドアを開けようとする。そんなときに夏美が。

 

 「お兄ちゃん。外いくの? 大丈夫?」

 

 不安そうな顔でこちらを見つめてくる。夏美。うん。やっぱ可愛いよ我が妹は。

 

 「多分。大丈夫だと思うよ。あれが今日デートする女の子だし」

 

 「え? あれが? お兄ちゃんデート行くの止めときなよ。絶対変な目に遭うって」

 

 「だから大丈夫だっていってるでしょ。ああみえていい子だから」

 

 そう。根はいい子なんだ。根はね?

 

 俺は夏美を置いて玄関のドアを開けた。その音に気がついた不審者はこちらに振り向いて。

 

 「あっ! ルシフェール様! おはようございます! お迎えに参りました!」

 

 開口一番俺に飛びついて抱きしめてくる不審者もとい天ヶ原さん。

 

 「おはようって素直に言いたいけどその格好どうしたの? つか何で俺ん家知ってるの?」

 

 色々ツッコミたいんだけど。

 

 天ヶ原さんは俺の質問に対してマスクを外し、その柔らかそうな唇を尖らせてから。

 

 「ルシフェール様をびっくりさせようと思って変装してきたんです! 住所もルシフェール様が生配信中の背景に写る窓とかの間取りを色々調べて特定しました! えへへぇ。びっくりしました?」

 

 「びっくりを通り越して唖然としてるんだけど」

 

 なんだよその特定能力。天ヶ原さんは警察かなんかなの? それとも能力者? 

 

 「お、お兄ちゃん。この人が今日のデートの相手なの?」

 

 恐る恐るドアから顔を覗かせている夏美が俺に尋ねる。夏美の存在に気がついた天ヶ原さんが近寄っていって。

 

 「初めまして。妹の夏美ちゃんだよね? 私、天ヶ原 茅耶っていうの。宜しくねっ!」

 

 夏美に両手を伸ばし、握手を求める天ヶ原さん。夏美もおどおどしながらもその手を握った。

 

 「……なんで妹の名前知ってんの?」

 

 俺は彼女に妹の名前おろか存在すら教えていないはずなんだが。

 

 「それは勿論ルシフェール様の人間界での家族ですから全員把握してますよぉ。小野 夏美ちゃん。中学三年生の十四歳。部活は陸上部で去年短距離で県大会出場してますよね? 趣味は体を動かすことで得意科目は体育と英語。それから……」

 

 「なんでそんなに私のこと詳しいんですかっ!?」

 

 「だからぁ、ルシフェール様の妹さんですから。私、全部知ってるんですよぉ。男女から人気が高くて。特に女の子から何回か告白されてますよねぇ。部活の後輩に告白されたことも知ってますし。中学二年生のとき部活の女先輩に言い寄られてその場のノリに流されて部室でキスしたことも知ってます。後それから……」

 

 「あああっ! それ以上は言わないでっ!」

 

 夏美が耳まで顔を真っ赤にして天ヶ原さんの口を手で塞いだ。なんで天ヶ原さんがこんなに詳しいのかは知らないが妹の青春事情を知ることが出来た。すっげぇ百合百合しぃ青春送ってんな。でも楽しそうで羨ましい。別に同性からキスされたいわけじゃないけど。

 

 「わ、私もう部活行くから! じゃあね!」

 

 夏美が凄い勢いでスポーツバックを取りに戻ると、勢いそのままに走り去ってしまった。

 

 俺が遠のく夏美の背中を見送っていると天ヶ原さんが隣にちょこんと寄ってきて。

 

 「ふふっ可愛い妹さんですね」

 

 クスリと笑ってそんなことを言った。可愛らしい笑顔がなんだか怖いんですけど。

 

 「ルシフェール様は夏美ちゃんのこと好きですか?」

 

 唐突に質問をしてくる天ヶ原さん。好きって言われてもなぁ。

 

 「そりゃ大事な家族だからな。そういう意味では好きだよ」

 

 「……へぇ、そうなんですか」

 

 声をワントーン下げてポツリと呟く。だからさっきから怖いって。

 

 そして俺の腕に自分の腕を絡めてくる。人肌の温もりと共にタコの触手に絡まれたような感覚を感じる。

 

 「そうですよね。兄妹同士の恋愛なんかありえない話ですよね。よかったぁ。ルシフェール様がシスコンじゃなくて。もしシスコンだったら私夏美ちゃんのこと……」

 

 「え? シスコンだったらどうする気だったの? 最後の方よく聞こえなかったんだけど」

 

 「うふふっ内緒です。さぁそろそろ行きましょうか。私達の最初のデートにっ」

 

 天ヶ原さんは何も教えてくれず意味深な笑みを浮かべながら俺の腕を引く。だからその笑顔怖いんだって。

 

 朝の期待でドキドキだった気持ちが不安へと少しだけ変わりながらも天ヶ原さんに腕を引かれ人生初めてのデートに繰り出すのであった。

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