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その86.死刑間近

ノックの音。

「ヤキトリ様、色々なお客様が…下でお話があるそうですわ」


ドアの向こうで呼ぶ声がする。

ドライアドだ。落ち着いた声に安心する。


身を起こしてズボンに足を通しつつ「今行くよ」と返した。

隣に眠るシェロちゃんを起こさぬように。






腰に皮袋を付けて靴を履く。

静かに少しだけドアを開けると確かに色々な客が来ているようだな。ガヤガヤと騒がしい。


着替えを済ませ、階段を降りる。


そこには知った面々が随分と鬱屈とした表情で俺を迎えた。

サハギンの長、ギン。

ドワーフの長、シド。

自警団長で神でもあるバール。


そのほかにもジェシーやカレイとヒラメ、ソラにファソ、カペリンもいた。


「一体どうしたって言うんだ。何かあったのか?」


「何かあったもクソもない。ヤキトリ殿とシェロ様が死刑だとかなんとか言うのに」


ギンがこちらに歩み寄り、俺の手を握る。


「ヤキトリ様がいなければ、我々の村、いや、この街はここまで来れなかった。そして、これからもヤキトリ様のお力が必要なのです」


ギンに並び、シドも続ける。


「グルーンは帝国に対して宣戦布告を致しましょう。ヤキトリ様とシェロ様の死刑など、到底受け入れる事が出来ませぬ。ましてや、お二人を失ってまで現状維持を望もうとは思いません」


そうだそうだ、と周りの者も声をあげ、俺が返す言葉を待っている。

その視線は俺に向けられ、その拳もまた、強く握られている。


「いや、俺だって死にたくはない。それにシェロちゃんだって死んでほしくない。だからこそ、何か別の解決法がないかと考えているところだ。もし宣戦布告なんかしてみろ。この間のように街はめちゃくちゃ、俺だって何れにせよ死ぬ。もう少しだけ、時間をくれないか」


「うーむ、しかし…」


きっと、俺が出てくる前に、みんなで話し合って覚悟を決めたんだろうと思う。

グルーンに与しているとなると、どの街もただでは済まないだろうからな。


「各自、もしもの事に備えておいてくれ」


「ヤキトリ様、それじゃあ、宣戦布告を?!」


「いやそうじゃない、もしかしたら期限の前に攻めてくるかもしれない。もしもの話だよ。とりあえず今日はゆっくりしていってくれ。俺も今日はちょっと色々とやらなければならない事があってね」


ひらひらと手のひらを宙で振り、戸惑うみんなを残して屋敷を後にする。




扉を抜け、街を歩き、人々と挨拶を交わしながら草原を歩き、小さな小屋の前に立つ。


この世界に来た時の、スタートはここからだったな。


シェロちゃんのおじいさんの家。

夜明けに来たアホな子と関わるうちに、死んだりなんだりと短い期間に色々あったもんだ。

色んな人とも出会ったな。



感慨深く小屋を見つめていると、空から大きな翼を広げたサキュバスがゆっくりと降りてきた。


「旦那、話はつきましたわ。隣国の女王より書簡を」


そう言ってサキュバスが差し出した巻物を受け取る。

紐を解いて広げると、そこには見慣れたこの世界の文字ではなく、日本語が書かれていた。まる文字で。


「なんて書いてあるのかあたしには分からないけど…旦那なら理解出来るって仰ってましたわ」


俺の隣に降り覗き込むように書簡を見る。

羽根が邪魔。


「マジかよ。じゃあ…つまり…そういう事だよなぁ」


「ちょ、ちょっと旦那、あたしにも分かるように説明して頂けないかしら?」


「手紙にはこう書いてある」

丸文字で。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


やっほー、ヤキトリさん!


読めるカナ?ヤキトリって名前だし

日本語で書いてみたケド・・・


あ、いけないいけないタハハ(汗)

本題に入りまーす!

突然サキュバス©️が来たからびっくりしちゃった!!

大変なことになってるって聞いたよ!

ていこくがちょっかい出してきてるとか・・・

でもサ・・・ていこくが国って認めたじゃん!

うらを返せばHAPPYってことッ!

うちらの国もヤキトリさんのマチを国ってみとめるし

そうすればかんたんに手は出せないハズだよね!


近いうちにヤキトリさんに会いに行くね〜!

bye bye! イヴぴーより(笑い)


P.S.

ヤキトリさんのマチにはサ店はあるのカナ〜?!

ナンチャッテ(笑い)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「お前の知り合いってバカなの?」


「とても威厳のあるお方です…なハズです…」


二人とも読後に疲労を感じ、書簡はとりあえずそっと巻き直した。


「で、この人は一体何者なんだ?」


書簡を皮袋に突っ込み、呆れた顔をお互いに見合わせる。


「隣国、海を挟んだ向こうにある、クレア公国の君主ですわ」


「なるほど、女王というわけだ」


「ええ、先代の亡き後、その妻である女王が跡を継いだのです。女王は誰にも愛される、リャナンシー。それだけではなく、色々な政治と宗教に精通された素晴らしいお方ですわ」


リャナンシー。


愛した男の精力を吸って生きる妖精。

その姿はあまりに魅力的で、男は弱っていきながらもリャナンシーに尽くす、らしいな。


「まあ1度会っておきたいな。女王の名前は?」


「イヴ様。とても素敵な方ですわよ?」



不定期連載となりましたが、毎回お読み頂きありがとうございます!

評価、感想、レビューなど頂けますと嬉しいですのでよろしくお願いします!!!

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異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
こちらも連載中です。宜しくお願いします。
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