その79,部屋とワンピースと私と性奴隷(自称)
宿舎で執り行われる筈だったヤキトリ葬送まつりは、俺が蘇った事でヤキトリ感謝祭となった。宴だ。
グルーンのドワーフやサハギンの長達、今まで関わってきた全ての人達が来ているんじゃないかしらん。
ある者は涙を流しながら万歳をしたり、またある者は強く抱きしめにきたり。
みんななんか良いやつだな。
さて…アラクネが言うには何かペナルティを受けているはずだが、見た感じ違和感や変わったところも無さそうだ。
ま、困った時があれば、それがペナルティなんだろう。
今はわからないが、必ず与えられるペナルティとか何それ怖い。
ぼーっとそんな事を考えながら棺桶の前に立っていると、ふわりと草の香りと潮風の様な香りが鼻にかかる。
うさ耳バニーちゃんがトレンチにグラスを乗せて歩いていた。香りのもとはそこからだ。
グラスを一つもらい、一気に飲み干す。
グラスの中身は飴色の蒸留酒。
ま、そんなに美味くない。俺に微笑んでウインクをしたバニーちゃんは、甘い香りがした。
空いたグラスの行き場に困っていると突然肩を抱かれ、バランスを崩し転びそうになる。
「ヤキトリ、頼みがある」
こいつはホントいつも突然だ。バール。
今日は鎧を脱ぎ、普段着だろう上等なシャツとスキニーパンツのような姿だ。
「ヤキトリ!約束、覚えているか?美味い酒と、美味い肴!」
「ああ、だがそれは今………だよな、わかったよ」
「そうこなくっちゃな!息を吹き返したばかりだけど大丈夫なのか?」
「ああ。今のところ心臓も動いてるみたいだから問題無いだろ。ゾンビではなさそうだ」
「そうか!よし!みんな!ヤキトリの飯が食えるぞ!」
『俺が料理をする』と聞いた周りの人達もざわつき始める。
「「「うぉーーーー!!!」」」
ざわつきが歓声に変わる。
バールや周囲の人達に待ってるように言い、俺は宿舎の奥にある厨房に向かう。
軽い木製のドアを開け厨房に入ると、エルフのリョーコがバタバタと一人で作業をしている。
どうやら宴の料理をただ一人でこなしていたらしい。
「リョーコ、悪いんだけど厨房を借りてもいいかい?」
「え?あ、ヤキトリ様!お帰りなさい!どうぞ!なんなら性奴隷の私を煮るなり焼くなり料理されても構いません!!ああ!服!私ったらヤキトリ様を前に服などを着て!あああ!どうぞ悪い私に罰を!!ほら服も脱ぎました!今下着も!!」
「違うってやめろよ!誰か来たら勘違いされるだろ!なんなんだオメーは!」
ガッカリした顔で肩を落とし、脱いだばかりのワンピースを拾い上げるリョーコ。
「初めて二人きりになったから、私はつまりそういうことだと…」
こいつぁヤベー奴だ!
「いや、邪魔して悪かったな。俺も料理を手伝うよ。俺も2品くらい作ろう」
「邪魔だなんてそんな!!服を脱ぐというのはヤキトリ様の性奴隷と化した私にとっては禊ですわ!!ヤキトリ様の所有物でありながら!生娘ではないのが!私の最も重い罪!ああ!ヤキトリ様!どうか私を責めて下さいませ!!!」
「いや、料理のことだよ、オメーホントヤベエからなそういうところ」
こいつ、日に日にやばくなってると思う。
腰には『死んだ』時のまま、革袋と鞘が付けてある。
鞘を取り外して作業台の横に立て掛ける。
革袋に手を入れ、シュルシュルと黒い布を取り出した。
黒い布には紐がついており、腰に巻きつける。
足首まで覆う長さの布。ソムリエエプロンってヤツだ。
飲食店で働いていた時から使っているもので、何より見た目がいい。5割増しくらいイケメンに見える。
簡易的な蛇口をひねると、冷たい水が出てくる。
川から引いてきた水を、これまた簡易的な浄水装置に通した水だ。
前の世界なら川の水なんて飲むことを考えもしなかったが、まあ体調も悪くならないし、何よりみんなこの川の水が命の水だ。問題無いんだろう。なんてご都合主義!
まあ料理に使うときは沸かすし、新鮮な水はピクシーが用意してくれる。
その蛇口の水で手を洗い、作業台の上の木箱に目をやる。
「そちらは使っていない材料ですから、お使いになられても大丈夫です。何の肉だと思います?」
リョーコがぴったりとくっついてきて、リョーコのマシュマロが 俺の腕を包み込む。
何の肉かと言うくらいだからよっぽど珍しいのだろうか、と思ったが、すぐにピンとくる。
「いや、この香り、馴染みのある香りだ。中身はフェルニルだろ」
中には切り分けられたフェルニルの肉。
皮にはボツボツと羽根の跡があり、大きめではあるが、鶏肉の様相を見せる。
「『この肉なぁに?クイズ』ヤキトリ様の勝利です!!さすがヤキトリ様…私は罰として一枚脱ぎますから、許して下さい!」
「なんのゲームだよそれは」
とりあえず無視をする。
ふむん。
しかし野菜はほとんど使ってしまってもう無いな。
あるのは…
やけに細い長いリーキくらいなものか。
「それ、バールさんが使ってくれって持ってきてくれたんですが、このせか…街では馴染みも無さそうだしどうしようかと」
ワンピースの下から下着を徐に脱ぎながら困った顔をするリョーコ。
困ってるのは俺だ。いい加減にしろ。
馴染みの無いリーキ。
あ、こりゃネギだ。長さこそそんなに長くなく、リーキと同じくらいで細い。リーキばかりが身近にあったから、当然のようにリーキだと認識してしまっていたが。
バールは東の国から来たと言っていたし、日本にあるような野菜が他にもあるかもしれない。
ネギは万能だ。煮ても焼いても良い。炒めたって美味い。
あとアレだ、風邪の時に首に巻くといいんだっけ?けつの穴に挿すんだっけ?まあそんな事はどうでもいい。
何かお洒落なツマミでも作ってみるか。
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