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その78,エターナルなウインド

金木犀、フェンネル、、それとカモミール。


いろんな花の香りが漂っている。


ここはどこだ。


目を開いても真っ暗だ。何も見えない。


身を起こそうとすると目の前に何か板があり、大きな音を出してぶつかった。

板の向こうで騒ついているのが聞こえる。右も左も壁だ。板の壁だ。まるで箱に入れられている。

はぁ、痛いぞ。



勢い良くぶつけたせいで目の前には星だ。星が飛んでる。大きな星だ。


彗星かな?違うな、彗星はもっとバーっと動くもんな。



ふう、それにしてもここ、暑苦しいな。


出られねえかな。


「おーい、出してくださいよ、ねえ!」


ドンドンと目の前の壁を叩く。



すると目の前の壁が何者かに破られ、眩しい光が入ってくる。

逆光に晒されたそいつは、バールだった。


「ヤキトリ、よく戻ってきてくれた!!身体は、なんとも無いか?!」


バリバリと音を立てて壁を作っていた板を剥がしていく。


「、お、おう、ありがとう」


これは、どうやら棺桶か。


「ヤキトリ様ァッ!」


目の前のバール跳ね除けられ、俺は凄い勢いで抱きかかえられ一瞬何が起こったのかわからなかったが、理解するのに時間はかからなかった。


俺は今、窒息して再度死にそうになっている。

鼻と口を柔らかい、まるで大きなマシュマロで塞がれているようだ。


「むごごごご!」


頭を強く抱きしめているその腕を叩いて危険を知らせる。

死んでしまう!!



「プハッ、死ぬかと、思ったわ!!!」


「ふぇぇぇぇん!!やだ!もう二度と死なないで!」



そう、マシュマロだと思ったのはシェロちゃんのマシュマロちゃんだったのだ。

目の前には柔らかに揺れる、二つのマシュマロマウンテン。左手で掴み、生を確かめる。

ふむん、俺は生きている。もみもみ。




「ヤキトリ様!もうわたし達、シェロ様を置いていかないでくださいませ!」

この声はドライアドだな。透き通るようなマシュマロマウンテン。こちらは右手で掴む。

ふむん、確かに生きている。もみもみ。




「うわーん!もう誰かを失うのは嫌なのだ!!置いていかないでほしいのだ!!」

この声は雪風か。掴むところが無い。というかごめんな、俺の手は二つしかないんだ。


「ヤキトリの旦那、次に果てる時は、あたしの上で、ね?」

サキュバスが俺の頭の上にマシュマロマウンテンを乗せてくる。


こいつらは何がしたいんだ。もみもみ。


しかし、両手の指先と頭が熱くなってくる。もみもみ。


まるで魔力を吸収しているような…生命力を吸収しているような。もみもみ。




「あはァんッ」

ドライアドがその場に崩れて息を荒くしている。


「ひゃっ!ダメェっ!」

シェロちゃんも身体を痙攣させながら、ズルズルと倒れてしまった。


「はァんッ」

サキュバスが嬌声を上げて倒れこんだようだった。

お前には何もしていない。



「ファイトーォォ!ふっかーつ!!」

そう、俺はマシュマロマウンテンで、魔力が引き上げられた。

マシュマロマウンテンの頂上、むきむきマッチョの魔力が俺の魔力に手を差し伸べ、引き上げてくれたイメージだ。


身体を流れる血が熱いのを感じる。

心臓の鼓動が聞こえ、力が漲ってくる。



「ヤキトリ、今のもみもみで魔力も生命力も回復しているぞ!凄い…5倍以上のエネルギーゲインがある…」


バールの言っていることはよくわからんが、確かに魔力も生命力も回復したようだ。


「ああ、あの時は油断してしまった。認めたくないものだな、経験不足故の過ちというものを」



棺桶の中であくびをしながら軽く伸びをする。すると右脇腹に鋭い痛みが走る。刺された傷だ。

魔法を使う飛竜騎士の最後っ屁。

あの野郎。『アンチマジック』とか言ったか。


「い、いてててて」


「ヤキトリ様!傷が開いちゃうよ!」


シェロちゃんが無理やり横にさせる。

棺桶にだよ。


ああ、この世界で良かった。めぐりあいは、そう奇跡だ。幾億の星が輝く宇宙(そら)の下で出会うことは、奇跡という以上ないのではないかしら。



しかし…『アンチマジック』か、別のやつも使えるなら厄介だぞ。

俺は基礎的な戦闘能力が乏しい。

それは今回に限らず、そもそも、もともと喧嘩とかも慣れてないわけで。


今まで魔法で攻撃が当たらないようにしていただけだ。

それが崩されただけで俺はこうやって死んじまう。

対策をしなきゃならないなホント。


見渡してみると、ここは…宿舎のホールか。


祭壇があり、その中心には落書き…いや似顔絵…ありゃ俺か。似てないぞ。

その周りには花がたくさん敷き詰められ、ホールの端から端まで色鮮やかにしている。


「もう二度と死ぬわけにはいかないな」


「ヤキトリ様が死んじゃったって!街もグルーンもあっちもこっちも凄い騒ぎだったんだから!!」


目には涙を浮かべ、怒った顔で、でも安心したような顔だ。


「シェロちゃん、ごめんな。でも…もうちっとだけ続くんじゃ。あとせめてここから出してくれる?」



俺は光る風の中、棺桶中で、微笑んでいるシェロちゃんの涙を受けていた。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

おかげさまでブクマ100件を天元突破致しました。

まだまだ多くの方に読まれて楽しんで頂けるよう頑張りますので、評価、ブクマ、レビュー、感想など頂けますと励みになります!!

宜しくお願いします!

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異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
こちらも連載中です。宜しくお願いします。
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