表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/101

その75,痛みと解放

魔法飛竜騎士が放った黒い霧を浴び、再度『ディフレクト』の効果を失った。

それをみた竜騎士達がここぞとばかりに俺たちを斬りつけようと剣を振り上げた!!


……というタイミングでワイバーン態の雪風が勢いよく降下してきた。




雪風は俺とバールを掴み、飛竜騎士達よりも上空へ退避させてくれた。

上から見るとやはり視界にあった数は一部分でしかなく、その奥に何十と竜騎士が控えていた。


「くそッやっぱり数が多すぎる!!光、目眩し!火、こいつらを燃やせ!土、お前何が出来るかわからんけど頑張れ!」


「「「ハーイ!ヤクニタツネー!」」」


革袋から飛び出した光、火、土のピクシー達が俺とバールの目の前でくるくるとダンスをして三方向に散る。


光のピクシーが両手を前に出し掌を広げる。

するとその手から、あたり一帯を包むように眩しい光が放たれた。


同じように火のピクシーが怯んだ竜騎士達や魔法飛竜騎士に掌を向け、その先から炎を出し、まるで火炎放射器のように片っ端から火をつけていく。


竜騎士達は悶えながら次々とラプトルから落下、竜騎士もラプトルも、火だるまになりながらその場で転がり回る。



「ヤキトリ、ワイバーンだけじゃなくピクシーも数種類使役しているのか?!」


「ああ、こいつら一度召喚したっきり帰らないんだよ。普通はすぐ帰っちまうって聞いてたんだけど」


火の絨毯のようになっていく竜騎士達を眺めていると、土のピクシーが空中で空手チョップの格好をする。


すると途端に地面が音を立てて揺れて割れ始め、竜騎士の集団の中央部分から少しづつ亀裂に吸い込まれていく。


「ピクシーは精霊だからなぁ、人間族(ヒュム)に付いてくるなんて聞いたことねえぜ」


バールがあきれたような、それでいて感心したような、微妙な顔で竜騎士達を見下ろす。


俺も見下ろしてみると、地面が割れ、ボトボトと竜騎士とドラゴンの丸焼きが落ちていっている最中だ。


雪風が当初対峙していた飛竜騎士達も、そちらこちらに墜ちていた。

飛竜はほとんどが身体の半分程を引き千切られたように失い、飛竜騎士は落下の衝撃で死んだように思う。


〈あのドラゴン、美味しくなかったのだ〜〉


「んーまあそうだろうな」

「なんでも食わせるなよヤキトリ」


ちゃんとしたご飯食べさせてますー!


「雪風、離れたところに下ろしてくれ」

雪風に指示し、降下。


雪風には飛竜騎士セットの死体を亀裂に落として処分するように言いつける。

あんなもんホント処理に困るよ。



さて、ピンチかと思ったが、ピクシー達の活躍で難を逃れることが出来た。

しかし、制圧部隊から何も音沙汰が無いとなると、次の手を打ってくるのは間違いない。


この戦いを糧に、更なる防衛を考えなければ。


「終わったな。それじゃバール、約束通り今夜美味い肴で一杯…」


俺が振り向きながらバールに声を掛けた時、右の脇腹にまた熱い痛みを再度感じる。


「ハハハハハハハハッ!!!!異教徒め!我ら同胞の命を奪った報いは大きいぞ!!」


魔法飛竜騎士が全身を黒く焦がしながらも、こちらに何かを投げつけたようだった。

そして、それは短刀で、俺の右脇腹に刺さっているものらしい。

ちくしょう!


「カハッ」


息が続かず、むせこむと大量に血を吐いてしまった。


ぼんやりとする頭で考える。こういうのは無理やり抜いたらダメなんだよね。

内臓まで行ってるかな…。

せっかくジェシーがこさえてくれた…シェロちゃんとお揃いのコートもボロボロだ。

すまん。

しかしヒールで治すためには、短刀が刺さったままではダメなんじゃないか?

躊躇なく、脇腹から短刀を抜く。

痛みで冷静さを欠いていた。


「ウワァァァァァァァッ!」


脇腹からは勢いよく血が吹き出し、辺りをドス黒く染める。


クソ!信じられない痛みだ!

ヒールを掛けて治療をせねば…

しかし、街や宿舎に掛け、自分自身やバールにも掛けた『ディフレクト』の使用で魔力も底をついていたのか、バールに掛けた『ヒール』と『リペア』で最後の魔力だったようだ。


足の力が抜け、その場に膝をつく。

力が入らない上に魔法での回復も見込めない事を知り、絶望感に苛まれる。



暗くなっていく視界の向こうに、魔法飛竜騎士の首を刎ねるバールの姿が見えた。

なんだよあいつ、戦う姿もカッコいいのな。


刀の血を払って鞘に収めながら、バールが走ってくる。


無音。

バールがなにかを叫んでいるが、何も聞こえない。


痛みも無くなった。何も感じない。


痛みから解放されて安堵している。


これが死か。悪くはない。そんな気分だ。

今度は理解をしながら死ぬんだ。


死ぬことに怖さを感じないのは、痛みから解放されたからだ。


焦点の合わない視界に、地面が近づいてくる。



みんなバイバイ、またあおうな。





ブラックアウト。


ここまでお読み頂きありがとうございます!

拙い文章ですが、評価、感想、レビューなど頂きますと幸いです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
こちらも連載中です。宜しくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ