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その60,ドラゴン酔い

「じゃ、雪風、俺の言った場所まで頼む」


俺がそう言うと、雪風は当然のようにワイバーン体に変身する。

雪風は元シルフィードで元ワイバーンだ。

そして俺の魔法『トランスフォーム』でシルフィ体とワイバーン体を自由に変態出来るようになっている。


ワイバーンになりその翼を、伸びをするように羽ばたかせると、俺の寝ぐら、元シェロちゃんのおじいちゃんの家、その目の前で旋風が巻き起こる。

俺とシェロちゃんはワイバーンになった雪風の背に跨り、俺は雪風の首から伸びる紐を取り、シェロちゃんは俺にしっかりと抱きつく。

マシュマロが背中に吸い付いてるゥッ!


いやマシュマロはさておき。


ドライアドの仕事は完璧だった。なので特筆すべき点も無かったのだった。

『出番が無いなんてあんまりですわ!』などと聴こえてきそうだが、仕方ない。

とはいえ、牧場も宿舎も完成しており、エルフの村の人々が移住するには充分な設備は整い、頑張ったと思う。

しかし、もともとギルドで求人を出していたが思ったよりも(まともな人材が)集まらず、その点においては、ドライアドも困っていたところだった。


準備は整った。

これから東のお菓子の村へと向かう。

二人にもあのお菓子を早く食べさせてやりたいしな。


「いざ東の村へ!」


俺の号令で雪風は宙を舞い、シェロちゃんは更にぎゅっと抱きついてマシュマロアタック。


ふむん。柔らかい。


今回は風を感じようと『ディフレクト』を掛けずに飛ぶ。

思ったよりも風圧が強く、しっかり掴まっていないと飛ばされそうだ。

それに加速度Gが加わり、何度も気を失いそうになる。

俺が気絶したらシェロちゃんも落ちちまう。

シェロちゃん大丈夫か?!と思ったら…


「ほえ〜!グランウッドがもうあんなに小さくなってるよ〜!あ!グルーンも見えるね〜!あっちにはサハギンさんの村も!」


景色を楽しむ余裕さえあったのだった。



間も無く東のお菓子の村が森の向こうに見えてくる。

少し開けた村の入り口、そう、俺がボコボコ殴られたあの場所だ。そこに着陸する。


雪風に指示していたその場所に、ゆっくりと降下していくと、またあいつらがキャーキャー言いながら、今度は剣を構えて待ち伏せていた。


静かに、それでいて大きな風を巻き起こしながら着陸。

風圧と砂埃に圧倒されながらも剣を上段に構えながら走ってくる。


「おいおい、今度は斬りつけ…オロロロロロロ」


飛行機酔いならぬドラゴン酔いだ。

次からはウップ、『ディフレクト』を掛けてからウップ、雪風に乗ろオロロロロロロ。


***



「いやいや申し訳ない。お恥ずかしい姿を見せてしまった」


俺はとても居た堪れない気持ちで一杯だった。

人前でモドしたのは、修学旅行のバスの中以来だ。小学校卒業までのあだ名はドクターゲボ。最高だろ。

俺の闇深く封印された記憶が蘇ってくるの。涙が出ちゃう。


いや今はそんなことは言ってられない。まずは住民説明会といこうじゃないか。

双方で如何にwin-winの関係が組めるかを理解してもらわねばな。


色々重なって涙目の俺の前に、コップに水を入れて持ってきてくれた甲冑姿のエルフの男に頭を下げる。

頭を下げると胃が圧迫されてまた気持ち悪い。


「ありがとう…さて、今日は移住の説明をみんなにさせてもらいたい」


「は、まず先日はウチのオーク共が失礼をしました。改めて謝罪を。申し訳ありません。それと申し遅れました、わたくしはこの集落で長の真似事をしております、コンパインと申します。こちらの者共は全て賛成させておりますのでご安心を」


甲冑エルフのコンパインは深々とお辞儀をする。


「そうか、まぁしかし、どうせなら納得してから来て欲しいんだ。せっかくの機会、お互い仲良くして行くために」


そう言いながら、俺は改めて敵意が無いこと、協力し合いたいことの意味合いを含めて右手を差し出した。


コンパインは躊躇なく、その手を堅く握り返し、にっこりと苦笑いした。苦笑いだ。

何故なら俺の手にも先ほどのアレがちょっとだけ掛かっていたから。ごめんねコンパイン。


しかしその手を離すことも緩めることもなくコンパインは返した。


「ヤキトリ様ほどの方であれば我々を力で屈服させ、服従させることも容易なはず。そうなさらずに、我々と共にあろうとする姿勢に、集落の者共も感服しております」


「そうか。ありがとう、コンパイン。あんたの説明が良かったんだろう。俺からも改めて設備や待遇の説明がしたい。みんなを集めてきてくれ」


「了解した。しかし、出来ればこの場所は…」


コンパインは握手を離し、その手と地面に目を移すと、また苦笑いをした。ごめんて。


地面とコンパインに『リペア』、俺には『ヒール』。

これでドクターゲボの片鱗も見せずに説明会を開催出来るな!コンパインごめんな!!


綺麗になった地面と自分の手を二度見して、今度は本当の笑顔を見せ、踵を返したのだった。


ここまで読んでいただきありがとうございます。拙い文章ではありますが、評価、感想、レビューなど頂けたら励みになりますのでよろしくお願いします!


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異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
こちらも連載中です。宜しくお願いします。
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