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感謝祭その2

***



オゥフ…ギャル達の格好を見よ…胸元バックリ、白くて長い太ももがスリットからチラリ…ンフフ…そして誰もが俺にそれをアピールしてきやがる…ンフフ…柔らかい…スベスベ…いい匂い…


俺は少々浮かれていた。


年に一度という感謝祭。街に出てからというもの、俺の周りにはギャル、ギャル、ギャル。


しかし集まってくるのは人族の女ばかりで、エルフとかオークとか、好みの子が全くいないんだよなぁ。

しかも他の街の奴らばかりで下心が丸見えで面白くない。

『ねぇーん、アタシのお店に来てぇーん?』とか『アタシの村で遊ばなぁーい?』とか。

この感じ…!場末のスナック客引きだ!!


ヘッヘッヘ…伊達にモテない人生を歩んでないぜ…

俺に声を掛けるギャルは客引きだ!

声を掛けてこないギャルは良く訓練された客引きだ!!


危なかった。顔に少し出てたな。みんなちょっと引いてる。


さて今後の街の方向性を考えるために、シェロちゃんに感謝祭の案内をお願いしてたけど…シェロちゃんおせーな…。


遠くにシェロちゃんが見える。

白いワンピースでそのたわわなマシュマロを右往左往に大暴れさせながら走ってくる。


アホでかなりの年上だけど、見た目も中身も可愛いんだよなぁ。


シェロちゃんに向かって手を振ると、周りの人たちがその相手に注目し、道が割れる。


『ナニあの女…』『田舎臭い女…どうやって取り入ったのかしら?』『ハァ?アタシのヤキトリ様を独占しようっての??』などと批判的な声が聞こえてくる。


「シェロちゃ…」


声を掛けようとした時、誰かの足がスッとシェロちゃんの前に伸び、転ばされる。


「ぶべっ」


シェロちゃんは手を前に伸ばし、地面にヘッドスライディング。

真っ白だったワンピースも砂だらけで真っ黒だ。

立ち上がろうとしたが、膝を怪我したようでその場に座り込む。

「えへへ、転んじゃった…せっかくおしゃれしたのに、ヤキトリ様に見てもらう前に汚れちゃった…」


シェロちゃんは目に大粒の涙を浮かべ、にっこりと微笑んだ。


ブチッ


俺はもう切れた。許さん。許さへんぞ。


シェロちゃんに駆け寄り、座り込んだ目の前に屈んで目を合わせる。


「大丈夫か?痛いだろ?せっかく可愛く着てきたワンピースも汚れちまったな。ちょっと待ってろ」


『ヒール』『リペア』


シェロちゃんの膝から染み出していた血は止まり、真っ黒で裾が所々破れてしまったワンピースも、元の白さを取り戻した。

革袋からハンカチを取り出し、鼻血を拭いてやる。


「ほら、元どおりだ。まだ痛い所はないか?」


手を差し出し、その手を取ったシェロちゃんをグッと引き寄せる。


「お前ら余所者に分からないと思うが、シェロちゃんはこの街の長だ。そして俺の大事な仲間なんだ。そのシェロちゃんに仇なす奴は、俺に宣戦布告したと受け取らせてもらうからな」


雑踏の中から小さく悲鳴のような声がし、走り去る人影。



「逃げようとは浅はかな奴。お前ら見とけ、俺とやるってんなら命賭けろよ」



「もういいよ〜」と制するシェロちゃんを横目に『リテラシー』、『オーバーロード』を発動。

『オーバーロード』は魔力を一時的に増幅し、魔法の威力や効果を大きくする。

『オーバーロード』により増幅された『リテラシー』で、周りの人々の思考が雪崩れ込んでくる。



〈今月の支払いどうしよう〉〈ママ〜どこ行ったの〜〉〈おぅふ…あの姉ちゃんどストライクやんけぐへへ〉〈あの服どこで買ったのかしら〉〈シェロ様転んじゃって可愛そう〉〈このオッサン金貨20枚も持ってたじゃねえか儲け儲け〉…


〈やばっヤキトリ様怒らせちゃった?!バレたらウチの家族もジャン君だってタダじゃ済まないカモ?!〉


どんどん流れ込んでくる思考の中で、一つ、俺の名前を見つけた。


赤い靴を履いて走り去る女の姿が遠くに『視え』る。


「闇のピクシー、あの女を捕まえろ」


腰の革袋を開いてそう命じると、中からピクシーが飛び出し、俺の顔の前でくるっと空中でバック転を決める。


「ピクシー、ヤクニタツネ!」


そう言って人混みの間をすり抜け、女の元へと向かう。


瞬きもしない間に、赤い靴の女の周りに黒い煙のような影が立ち上り、その動きを止める。


静かにその女の元に歩みを進めると、その奇妙な姿に捕縛された女の周りに遠巻きに人だかりが出来始める。


相変わらず人々の思考が流れ込んでくるので『リテラシー』を解除、シャットダウン。


すると、ギルドの方から筋肉質で背の高い男がこちらに走って向かってくる。

その形相はまるでオーガのようだ。

真っ赤な顔。赤鬼かよ。


「おい!ウチの妻になんてことをするんだ!俺は帝国騎士団長ソーメイと申す!ランクB冒険者と言えども許さんぞ!」


ソーメイ、と名乗った男は顔こそ真っ赤にして滑稽ではあるが、見た目や体つきからして、その騎士団長とやらも本当だろう。


そしてこの女から流れた思考も『旦那に頼めば良い!』などと他人事だったしな。


「それで、その騎士団長とやらが何の用だ。あんたの嫁ならきちんと首輪でもして連れて歩きな」


冷たい目で、騎士団長に向かって放った言葉に更に激高するソーメイ。


「ほほう、その口ぶり。俺を賤しむたぁ…どうやら死にたいみたいだな」


首を鳴らし手を組んで指も鳴らして、本格的にそれっぽい威嚇の仕方だが、まあ何をしようが当たらない。


『ディフレクト』


「オメー、飼い主の責任取れよ?オメーの部下、嫁の愛人と一緒によ」


「?!」


ちょっと長くなりました('ω')

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異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
こちらも連載中です。宜しくお願いします。
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