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【連載再開!66,000PV感謝!】グランウッドでアホの子と! 〜人生の途中ですがヤキトリと名乗ることになりました。〜  作者: monkey_sun《400労働時間/月突破‼》
【幕間】

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感謝祭

グランウッドでの、とある夜。


グランウッドにはほとんど冬がないの。どちらかというと、一年中春か秋みたいだもんね。暖かで暑くもなく寒くもなく。

ううん、朝晩はちょ〜っとだけ寒いの。


この世界では街によって季節が違くて。

サハギンさんたちの住む、海のそばの村は年中夏どから羨ましいなぁ。


今夜のグランウッドも少し肌寒く感じるけど、そこまで寒いわけでもなく、快適、かな?


街を歩けばその木々の枝にはランタンが提げられてて、綺麗な灯りの道しるべになってるの。


今日は年に一度の感謝祭。

この世界の創造主に感謝して、今夜ばかりは飲めや歌えやの大騒ぎが許されるんだ〜。


ヤキトリ様と二人きりの夜、ランタンの下で腕を組みながら歩いて、お酒を飲みながらいつもとは違うわたしを見て欲しいの。

それで気分が高まって…ちゅ、ちゅーなんかしちゃったらどうしよう!!

ダメダメ!わたしったら何を考えてるの〜!!


あ!こんなことしてる場合じゃない!!早く着替えてヤキトリ様をお迎えに行かなくっちゃ!


***



シェロはドタバタとクローゼットから服を取り出したり、着たり脱いだり。大きなクイーンサイズのベッドの上に服を並べて悩んでいる。

服を着ては「これは派手」「これはセクシー過ぎる」「これは地味」…。

時計の針が約束の時間に段々と迫っていくほどに、シェロの焦りが高まっていく。


ようやく、フリルが付き胸元が大きく開いた白のワンピースに決まり、頭にはレースのカチュームを付けた。


サイドテーブルの上の、ピンクの小瓶の蓋を開け、鏡を見ながら小指でその中のクリーム状のものを取って唇に伸ばす。


「普段はあんまり付けないんだけど…ヤキトリ様、気づいてくれるかな…」


唇を『んぱんぱ』して馴染ませる。


「『あぁ…シェロちゃん…ステキな唇だね…』『ヤキトリ様、気付いてくれるなんてさすがわたしの旦那様…♡』『ぷるんとして、食べちゃいたいくらいサ』『ヤキトリ様♡』『シェロちゃん♡』『あん♡いけませんわ♡ヤキトリ様ぁぁ!』…なぁんてチューされちゃったらどーしよー!!きゃーきゃー!ヤキトリ様のえっち〜!」

コンコン


声色を変えて盛り上がっていたところにノックの音。

「シェロお嬢様、お時間ですわ」

ドライアドがドアの向こうから声を掛ける。


「わわわわわかった〜!もう少ししたら出るね〜!」


今の陳腐で恥ずかしい一人芝居を聞かれてしまったかと思い、シェロは頬を赤らめる。


「おっととと…忘れ物忘れ物!」


誰も見てはいないが、取り繕う様にテーブルの引き出しから髪飾りを取り出す。

後ろ髪をくるくると纏め、髪飾りで留める。

ヤキトリが初めてそうしてくれたように。


***


夜も更け、薄暗い街の中心部でブラブラと何をするでもなく、店を見て歩いたり、道行く人々に話掛けられては他愛もない会話をしてみたり、女性に腕を組まれて胸を押し付けられたりしている男がいる。


この街唯一のランクB冒険者、ヤキトリである。


ヤキトリは黒いダブルブレストのロングトレンチコートを身に纏い、不機嫌そうな顔をしている。

しかし其の実、内心浮かれていた。


『オゥフ…ギャル達の格好を見よ…胸元バックリ、白くて長い太ももがスリットからチラリ…ンフフ…そして誰もが俺にそれをアピールしてきやがる…ンフフ…柔らかい…スベスベ…いい匂い…』


年に一度の感謝祭。お祭りだ。

街の人々もこの日ばかりは浮かれても仕方がない。

女性達はそのポテンシャルの高さを発揮し、男達を魅了する。

そして男達も花に吸い寄せられる蝶や蜂の如く、女性達の周りを飛び回る様にアピールしていた。


そんな男達に眼もくれず、女性達はヤキトリに集まっていく。

なにせこのあたりでは一番の有名人であり、一番ランクの高い冒険者。

それでいて誰とでも同じように接し、街の発展も考え、更にはワイバーンまで隷従させてしまうのだから放っておくわけがない。

()()シェロちゃんが惚れたくらいだから、その性格や素行などもお墨付きということらしい。


感謝祭の日にヤキトリとお近づきになりたいと思う女性の数は数え切れない。

もちろん、その中には『ランクB冒険者』というブランドが目的の者も少なくないのだ。

街の外から来た女性はほとんどがそうだろう。

だからこそ、胸チラ足チラで寄ってくる。


街の者であれば、最早ヤキトリの恩恵に預かろうと思う者は居ない。何故なら既にその恩恵のもとにあるからだ。


グランウッドには他の街からの冒険者達が、今までのような『中継所』としてではなく、この街を『目的地』としてやってくるようになった。

そうして街の店は少しずつだが潤い、ヤキトリに感謝する。

今やジェシーの店は『ヤキトリ御用達のお店』として名高いが、それに甘んじることなく経営していることも、他の店主達にとって刺激になっているようだった。

ここグランウッドの店主達は至って真面目である。


だからこそ、ヤキトリはそんな薄っぺらい目的で近づいてくる女性達にうんざりしている。

柔らかな胸や太ももに罪はない、と思いつつ。


そうこうしているうちに、やがて人だかりが出来、あっという間に女性達に囲まれていたが、遠くから走り寄ってくるひとりの女性に向かって手を振ると、まるでモーゼの十戒のように、人の海が割れた。


「ヤキトリ様ぁぁ〜!お待たせ〜〜!」


ニコニコと大きな笑顔で、手を振りながら走るシェロ。

金髪に長い耳、胸を上下させる白いワンピース。


「ぶべっ」


ヤキトリの手前まで来た時、赤い靴を履いた誰かの足が伸び、シェロは足を掛けられて転んでしまう。

せっかくの真っ白なワンピースも砂で真っ黒だ。

シェロがゆっくりと身を起こして立とうとするが、膝を怪我してしまったようで、痛みで膝が落ち、その場に座り込んでしまった。


砂だらけ、鼻血、膝からも血が出ている。

目には涙を浮かべているが、ヤキトリには笑顔で小さく手を挙げた。


「えへへ、転んじゃった…せっかくおしゃれしたのに、ヤキトリ様に見てもらう前に汚れちゃった…」





いつも読んでくださる方、ブクマしてくださっている方、たまたま目に付いて訪問くださった方、ありがとうございます!!

今回は年末ということで、幕間を書いてみました。

本編の更新はもう少し先になりそうです。

幕間はまだ続きます。

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異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
こちらも連載中です。宜しくお願いします。
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