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その58,焼きマシュマロ

ふかふかのベッド。


いい匂いがする。


金木犀の香りに、フェンネルの香りだ。


むせ返りそうな甘い香りに包まれ、目を覚ます。


しかし、布団にしては柔らかすぎて暖かいものが、顔の上半分を覆い、何も見えない。


寝返りを利用して脱出を試みるが、その寝返りすらできない。

腕が痺れて動かないのだ。


そうしてもぞもぞしていると、次第にその柔らかなものが顔全体を覆い、鼻も口も塞がれ、息も苦しくなってくる。


ハヘハー!(だれかー!)ハフヘヘー!(助けてー!)



だんだんと腕の痺れが取れてきて、感覚が戻ってくる。


俺の腕は水平に開かれ、その上に重たい何かが乗っていた。

右腕はどうやらしっかりと押さえつけされており、まだ痺れも取れず、動かすことも出来ないし感覚もない。

左腕はあの誰もが経験する『痺れが抜けていく間に悶える感覚』が続いたが、少しずつ自由になってくる。


完全に自由を取り戻した左手首をぐるぐると回して探る。


むにむに


やわらかく、それでいて適度な弾力を持ち、丸みを帯びた何かに触れる。


確かに柔らかではあるが、その感触はマシュマロと同等、いやそれ以上のモチモチ感を放ち、張りのある表面のその様子は、まるで、そう…焼きマシュマロのようだ。


その丸い焼きマシュマロを掴むと、顔を覆っていた『柔らかい何か』がブルブルと震えて離れ、ようやく暗闇から解放され

息も大きく吸えるようになった。



鼻先には大きなマシュマロ。左手には焼きマシュマロが。


左にはシェロちゃん。

痺れた右には、雪風。


「なんで二人ともここで寝てるんだよ…」


左手におさめられた焼きマシュマロをリズミカルに揉みしだくと、もぞもぞとして目を覚ます。


「ふぇえ〜なんでヤキトリ様〜??」


「そりゃこっちのセリフだよ!なんで二人とも俺の隣で寝てるんだよ」


二人が腕の上で寝ているため、実質拘束状態である。


「我もなんで3人で寝ているのか不思議なのだ」


「だってここはヤキトリ様の家でもあるし、その妻のわたしの家でもあるし、おじいちゃんの家だもん」


「我はお前なのだ」


「わたしだって奥さんだもん!」


二人ともそう言いながら俺を挟んで言い合いをする。

わかったからベッドの上で暴れるな。


「よしよし、わかったからとりあえずどいてくれ」


腕をゆさゆさと揺らすと、ようやく二人とも俺の腕の上から離れ、ベッドの足元に並んで座る。


「我とシェロが先に寝ていたのだ」

「そうだよぉ〜、ヤキトリ様が割り込んできたんだもん」


改めて二人の姿を見ると、お揃いのパジャマに身を包んでいる。


「その服は?」


シェロちゃんは右から振り向き、雪風は右から振り向く。

ちょうど二人とも向かい合わせで振り向いた。

「「ジェシー」」

「ちゃんです!」

「なのだ!」


真っ白なシルク仕立てのようで、シェロちゃんのその胸の表面が滑らかに輝いていた。雪風はハンガーに掛けてんのかなって思ったのマジごめん。


「で、二人のお揃いで作ってもらったってわけか」


おもむろに起き上がり、ベッドの上に胡座をかく。

『ヒール』を『エンチャント』しているベッドなので、昨日の疲れもだいぶ癒されたようだった。

肩も軽く、腰も重たくない。目もはっきりくっきり。気になるところがスッキリだ。

健康食品並みの曖昧さではあるが、まぁどこもかしこも軽くなったぜ。


「おーだーめーど、って言ってたよ〜」

「なのだ」


スッと立ち上がり、袖を握って伸びをするシェロちゃん。

袖を握っているので裾があがり、白い肌とおへそが見えてますぞ。

まさかジェシーがそこまで計算していたとはな(していない)。


「あのね、この服、『ヤキトリワイフの会』のお揃いなんだよ〜」

「なのだ!」


なんだよその『ワイフの会』ってのは!

見た目は10代後半だけど中身はアラフォーのおっさんだからな!


雪風がシェロちゃんの横に立ち、その場でくるくると横に一回転した。


「我とシェロ、ドライアドにサキュバス、ジェシーもお揃いなのだ」


えっへん、と、無い胸を張り自慢顔で仰け反っているが、雪風、お前は何もしてないと思うぞ。


「勝手に変な集まりを作るな。それはそうと、みんな順調に進んでいるのか?今日は進捗の確認と、今後の計画について改めて話し合いたかったんだ」


腰の革袋から着替えを取り出し、ベッドの上に置く。

流石に着替えないとな。傷は治っても、昨日の俺の血が少し付いているし。


「じゃあドライアドにお茶でも出してもらって、そこでゆっくり話そうよ〜」


そう言いながら、シェロちゃんがパジャマのボタンを上から1つ、2つと外していく。


「お、おいちょっ、ちょっと!」


流石に目の前で着替えられたら困る。先ほどのマシュマロの感覚が残っているうちにその現物を見せられたら!


「面倒なのだ、シェロもこうするのだ」


雪風が首の後ろの襟に手を掛け、己を引き抜くようにして服を引っ張ると、服からスポッと頭から抜ける。


シェロちゃんも真似をして、スポッと服を脱ぐ。

そこに下着はつけていないようだった。


あかーん!大事なところが丸見え…じゃない!


何か見えない力が途轍も無く強力な光を差し、大事なところだけは隠されていた。




ここまで読んでいただきありがとうございます。拙い文章ではありますが、評価、感想など頂けたら励みになりますのでよろしくお願いします!


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異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
こちらも連載中です。宜しくお願いします。
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