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その49,パスタ

鶏政の厨房の隅に、地下へ降りる階段がある。


オークには食材を借りる旨を伝え、許可を得た。


階段を降りると、だんだんと空気が冷たくなり、地下室の入り口前ではすっかり鳥肌が立つまでに冷えている。

重厚な鉄の扉を押し開けると、さらに冷たい空気が俺を覆う。


薄暗い部屋の天井には小さな溝程度の窓があり、光を入れている。


目が慣れてくると、芋や葉物、沢山の野菜や果物らしきものが箱に入れられており、まさに食材の宝庫だ。


その部屋の奥にもまた鉄の扉がある。扉を開けると肉が吊るされている。ほとんどが干し肉や熟成させているであろう肉ばかりだ。

生肉はやっぱりここには無いな。


紙に包まれた、30センチ×20センチ程の燻製肉を手に取る。

匂いは少し獣くささが残るものの、いい匂いだ。

これを使う。


野菜の方に戻り、肉の扉を後ろ手に閉めながら箱を眺める。


改めて見ると色々な野菜があるな。

ネギのような見た目だが、葉が硬く、白いところが太い。

じゃがいもも、知っているものより小さい。

他に芋らしきもの、人参ぽいもの。根菜が多い。

葉物はよくわからない草がたくさんあるな。


とりあえず、ネギっぽいものの中でも葉が柔らかいものを選ぶ。

あとはいいか。


燻製肉とネギっぽい野菜を抱え、地下室の扉を閉めた。


階段を登り、厨房に戻るとその熱気に安心する。

寒かったんだもん。




まな板の上に、燻製肉とネギっぽい野菜を置くと巨乳オークが目を丸くする。


「その肉はこないだのメガロムーだよ。余ったから燻製にしたんだ。そのリーキは小さくて細くて使い道が無くて困ってた」


メガロムー。カレーの時にメイドオークが捌いていたネズミちゃんか。

このネギみたいな野菜はリーキっつうんだな、小さくて使い道が無いのはもったいない。


「リーキ、普段はどんな使い方をするんだ?」


小さな鍋2つに水を入れ、かまどにかけて湯を沸かす。


「そうだね、白いところを焼いて出したり、スープやグラタンに使ったり、湯通しして付け合わせのサラダにしたり」


「青いところは、固そうだったな」



「そうなんだよ。旦那が持ってきた若いリーキなら柔らかくて食べれるけど、普通は硬くてあまり食べないね。とはいえ、若くて小さいリーキは白い部分も少ないからわざわざ仕入れることはないな。混ざって入ってくることはよくあるけど」


柔らかいリーキ、探せば安く手に入りそうだ。

太くて大きいものが主流で、規格外ということだからな。

規格外のモノは大抵安くて処分に困るもんだ。


リーキを洗い場で水洗いする。ネギって葉の隙間とかに土がついてるんだよなぁ。

隙間を広げ、根の部分の土も流し、まな板の上に置く。


根の部分だけは切り落とし、白い茎と青い葉は斜めに切っていく。


グラグラと沸いた鍋に、乾燥したパスタを入れて茹でる。

パスタがあるのは有難いな。麺類を作る技術が発展しているという事だ。


麺類も色々と試してみてーな。


少し深い平たい皿を2枚用意しておく。

スープも入るような皿。


もう一つの鍋には斜め切りにしたリーキを茹でておく。


パスタとリーキを茹でている間に、燻製されたメガロムーの肉を切る。


塊にナイフを入れ、2センチくらいの厚みで1枚、2枚。


それを一口大ほどに切り、リーキの鍋に入れていく。


グラグラと沸いている鍋の表面に浮いてきたアクをスプーンですくい、ボールに取る。

案外アクが少ないように思えるな、メガロムー。



トングを使い、茹でているパスタを一本取り味見。

少し中心に芯が残っている。もう少しだけ茹でよう。


リーキとメガロムーを茹でている鍋を味見する。

メガロムーの燻製から塩気が少し出ていて、塩自体は少し足すだけで良さそうだ。


かまどから下ろし、お出汁の素を入れる。

少し白っぽくなったその茹で汁は、お出汁の素が入った事で琥珀色に色づく。


スプーンで一口味見。間違いなく美味い。



パスタをトングで皿に上げ、レードルでリーキとメガロムーのスープをかける。スープパスタみたいなものだな。


「具はリーキとメガロムーの燻製肉だけだが、サハギン茶の旨味を味わうにはこのくらいでいいだろう」


巨乳オークがフォークを取り、リーキの青い部分と燻製肉を刺し、パスタを上手にくるくるっと巻いていく。


スープを絡ませ、それを口に運ぶと、噛む動きが止まり、ごくっと飲み込む。


「旦那、これは今までに食べたことのない味だ。味は繊細だが、燻製のメガロムーが上品過ぎ無いように野性味を加え、リーキの香りとサハギン茶の香りが、複雑な風味を作っている。私はいま、サハギンの村にいるようだ」


俺もフォークを取って同じようにリーキ、燻製肉、パスタを口に運ぶ。


お出汁の素が醸し出す和風の香りがまず口の中に広がり、噛むごとにメガロムーの獣っぽいコクが旨味を更に広げていく。

鼻から一瞬抜けるのはリーキとキノコの香りで、その香りをまた味わうために、もう一口、もう一口と食べ進めてしまう。


「どうだろう、これなら原価も高くない上に美味い。新しいメニューに加えられないか?」


「もちろん、こんなに美味くて簡単なメニューなら、ランチタイムの目玉になりそうだ。しかし、サハギンの茶はサハギン以外手に入れるのが困難だと聞く。ましてや店で使うとなると仕入れの量も必要だろうし」


サハギンの茶はサハギン自体が『サハギン以外に飲ませるような上等なものじゃない』と見くびってるからな。


「いやー困ったなー、サハギンの茶かー、いやー俺なら仕入れるルートあるんだけどなー」


わざと棒読みで仕掛けてみる。


「わかったよ、旦那が持ち込んでくるからには自信もあるんだろう?ウチで一括で仕入れる。そのかわり、途切れないようにしてちょうだいよ!」


「毎度!じゃあ俺のところを窓口に仕入れてくれ。今回持ってきた分は置いていく。単価などはまた改めて交渉といこう。サハギン側の都合もあるだろうしな」



今回は和風スープパスタを例に作ってみたが、巨乳オークなら取り入れて新たなメニューも考案してくれるだろう。


そうなればサハギン茶、お出汁の素も評価され、流通していくはずだ。

お出汁の素だけじゃなく、剣やアイスピック髪飾りも同時に売れるようにしていこう。

ここまで読んでいただきありがとうございます。拙い文章ではありますが、評価、感想など頂けたら励みになりますのでよろしくお願いします!


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異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
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