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その43,干ばつの村へ

「はい、それではこちらの3件、依頼の受理を承りました。達成、未達成に関わらず、終了致しましたらギルドにお越しください」


うさ耳のお姉さんに受付してもらい、依頼を受理する。

達成とは、例えば収集依頼ならその対象物を持って帰ってくる。討伐ならその対象の消滅とか、死体の一部を持ち帰る、依頼者によっては耳・舌・目玉と指定してきたり、または雪風みたいに隷従するとか。



50センチ級魔鉱石の採取、水の運搬、バアルゼブルの討伐。



今回はじめに向かうのは干ばつ地帯への水の運搬だ。


これは完了したら依頼者のサインを貰って帰れば良い。


雪風に頼んで圧縮した水を持っていけば良さそうかな。

もしくは樽か何かに入れて革袋で持っていけば良い。酒樽みたいに。



まずは、その干ばつの村に向かうか。



☆☆☆




雪風ワイバーン体に乗り、干ばつ依頼の村へと向かう。

グルーンのちょうど反対側に位置する、海に近い村だ。


山を一つ越えると遠くに海が見えてくる。


森の半分は枯れ、その先に黄土色の大地が広がる。


距離的にはグルーンよりやや遠いだろうか。


近づくにつれて、その大地には陽炎が立ち、気温の高さが伺える。


『ディフレクト』の効果で雪風も俺もその暑さは今のところ感じないが、ゆらりと揺れる大地の影に想像は難くなかった。


村のやや離れたところに雪風を降ろす。


風圧で乾いた土が勢いよく舞い上がり、あたりは黄色い砂嵐で視界を奪う。


『グラビティ』


周囲に対して『グラビティ』をかけると、重力の掛かった砂埃が一気に落ち着く。


〈草も木も生えてないのだ!〉


光の渦の中から雪風が驚いた声を出す。


たしかに、上空から見たよりもひどい。草木の一本も生えていない。


「さて、と。あそこの村に依頼者が居るはずだ。とりあえず行ってみるか」


100メートルか200メートルというところ、木の枝で組んだ簡素な柵に囲まれた、これまた木や葉で組まれた簡素な家が立ち並ぶ村が見える。


俺たちが近づいていくと、村の方からもひとりの老いた男が歩いてくる。


村の手前まで行ったあたりで老人と合流した。


「ギルドの依頼を受けてくださった方ですかな?」


髪は真っ白のモヒカン、いや、横だけ禿げてるのかもしれない。

耳は横に長く、切れ長の目、大きな口。

鱗肌も唇も青白くパサパサで、身につけているものも上等とは言えなかった。


「わたしはこの村の長をしとります、魚人族サハギンのギンと申すものです」



「俺はランクBのヤキトリという者だ。それで、早速本題に移るが水を用意すれば良いのか?」


「おお、お噂はお聞きしとります!ランクBとは心強い!いや失礼致しました…まぁそうなんですが、今まで色んな方々が水を持ってきてはくれたんです。しかし解決には至りませんで…。飲み水にも困る次第です」


まあこれだけ干からびてたら、水もすぐになくなるだろうし、海が目の前とはいえ、海水を飲むわけにはいかないしな。樽に入れて持ってくりゃ良いなんて、簡単な話じゃなかった。


「これは、いつからこんな状況になったんだ?」


村の方に歩きながら尋ねる。


「あれは3ヶ月ほど前でしょうか、いつもより日差しが強いと思っていたら、それから一度も雨が降らず、気温も上がったままです」


そう言いながら、村の入り口の大きなカメの蓋をあける。

少しだけ水が残っているが、間も無く無くなるだろう。


「それでも、今日来てくれて助かりました。また少しは持つでしょう」


「水を買っているようなものか」


「一応、浜の村ですから、魚を売ったり、工芸品を売ったりして生計を立てることは維持できておるんですが、水が無いことにはどうにもなりません」


金はあるが、水が無い。

今はどうにか水を買うことに集中出来ているが、この様子だと着るものや他のことまでは手が回らなくなって来ているようだな。


「で、解決法はなんだ?一番の。どうしてほしい?」


少し諦めた様子で、老人が空を仰ぐ。


「まずは雨でも降って、そのあとに水が確保出来れば、言うこと無しなんですがなぁ。今までも水を運んで持って来てくれたくらいで、それ以上はどうにもなりませんでしたわい」


雨。コンスタントに飲み水の確保出来る環境。か。


雪風が袖をちょんちょん、と引っ張る。


「雨を降らせれば良いのか?我に任せるのだ」


「流石のワイバーンとあれども、天変地異を起こすなんてのは無理じゃない…の…?」

言い終わるか否かというタイミングで、雪風を金色の光の渦が包み込み、ワイバーンの姿へと変身する。


ヴォォォォォオッッ


ワイバーン、雪風が咆哮を上げ、空に向かって光の玉を吐いた。


光の玉が天高く上がると、その周りに稲光が起こり、渦を巻いて雲が出来ていく。


雲が中心部に集約していき、次第に黒く、空を覆う。


ゴロゴロ、と雷の音が轟きはじめたかと思うと、ポツポツ少しづつ、雨粒が落ちてくる。


「あ、雨じゃ…雨が降って来た…」


老人は空を見上げ、両手を広げる。




途端に大粒の雨が滝の様に、音を立てて降りはじめ、乾いた土と空気を潤した。


ここまで読んでいただきありがとうございます。拙い文章ではありますが、評価、感想など頂けたら励みになりますのでよろしくお願いします!


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異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
こちらも連載中です。宜しくお願いします。
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