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その36,ドワーフの街

「わかったわかった、お前さんがワイバーンなのはわかった。信じよう」


左目を閉じて「うるせえなぁ」と呟きながら、頭を横に何度か降る。


「それで?ここに何をしにきた?返答次第じゃ生きて返さねえ」


肩に担いでいた斧を下ろすと、大きな音で地面にめり込む。

相当な重さだろう。


『グラビティ』

魔法をかけながら斧を掴む。


軽くした斧を片手で持ち上げ、空高く投げ、手を離しながら魔法をかけ直す。

『グラビティ』


クルクルと回転し速度を落としながら上昇、落下しながらまた速度を上げる斧。


ズンッ


重たい斧が地面に突き刺さる。


それを見てわなわなと震えるドワーフのファソ。


「別に俺たちは争うために来たんじゃない。取引に来たんだ」


「お、俺たちと取引だと?何が目的だ!俺たちは暴力に屈しない!誇り高きドワーフ!」


腕を前でクロスし、両腰に差したナイフを抜き、構える。


「確かに斧を投げたのは悪かった、取引ってそういう取引じゃないよ。商売!商売に来たの!」


ホッとした顔でファソが肩を落とす。

「なんだよー」


俺は手を身体の横で広げ、改めて敵意がないことを示す。

「初心者用の剣と盾、胸当てが欲しいんだ」


「初心者用って言ったって、そんなチャチな物はここじゃ作ってねえ。せめて銅の剣。金貨1枚は必要だろうよ」


銅の剣か。柔らかそうではあるが、金貨1枚程度ならば数が揃えられるだろう。


「とにかく、商談をしたい。中に入れてくれ。武器屋とか鍛冶屋とか、そんなところに案内してくれ」


手を合わせて片目をつぶり、頭を下げてお願いする。


「とは言え…見ず知らずの、しかもワイバーン連れの奴を街に入れるわけにはなぁ…」

と頭をぽりぽりと掻いて困るファソ。


そこに、ずっと俺の後ろに隠れていたシェロちゃんが姿を現わす。



「ファソ、見ず知らずってのは、私のこと?」



ドワーフより少し背が高いシェロちゃんが、目線を合わせるように少し屈み込む。


ファソの顔の前にはシェロちゃんの胸の谷間。


それも超ドアップである。



「ふぉぉ!この谷間!シェロお嬢様!シェロお嬢様では!?」


谷間で判断するなジジイ…。


しかしシェロお嬢様、か。

まぁ街でのあのお屋敷だからな。

というか知っていたなら言って欲しかったなあ。


「ファソ、久しぶりね。でも、昔の話は今はナシにしようか?装備を買いたいの」


いつになく真面目な面持ちで話しかけるシェロちゃん。

何か訳でもありそうだが詮索するのはよしておこう。



姿勢を戻したシェロちゃんだが、ファソの目線は胸のままだ。このスケベジジイが。


「いやはや、そうでしたな。お嬢様のお知り合いとなれば、お迎えしないわけには行きますまい。どうぞお入りください」


ま、とにかくシェロちゃんのおかげで街に入れるなら悪いことにはならなさそうだ。


シェロちゃんを先頭に、俺、雪風が続く。


「では改めて。ドワーフの街グルーンへようこそ」



☆☆☆



グルーン。


ドワーフの街、無論、ドワーフだらけである。


中にはオークやゴブリンも居るがここでは少数だし、エルフや人族にいたっては全く居ない。


道路が整備され、そのすぐ傍には線路、小さいが機関車のような物が走っていた。


建物はそのほとんどが煉瓦造りで、大きな工場のようなものが乱立している。煙突どころか窓や隙間からも蒸気が吹き出していた。


「まずは、この街の長にお会いいただきましょう。シェロお嬢様がいらしたこと、きっとお喜びになられるでしょう」


心なしかスキップしながら歩くファソ。



そのご機嫌なファソに連れられているからか、それともエルフや人間、シルフィが珍しいのか、人々の注目を浴びて進む。歓迎ムード、という訳ではなさそうだ。


しかしそれにしても、ドワーフというのはもっと隆々としていたり、グラマラスなイメージだったけど、ここのドワーフ達は痩せているな。


店の品揃えも悪い。どこもスカスカだ。



「なあファソ。どうしてこんなに皆痩せているんだ?ドワーフってもっと筋肉隆々のイメージなんだけど」


ファソは歩きながら、こちらをチラッとだけ見て返答する。


「ま、それに関しては長にお聞きください。というよりは長からもお話があると思います」



ふむん、問題を抱えてそうだ。



しばらく歩くと工場地帯を過ぎ、少し大きな二階建ての建物の前に出た。

周りには小さな建物が多い。きっとここが長の家なんだろう。


「あぁ久しぶりだなぁ。シドは元気かなぁ」


シェロちゃんが背伸びしながら建物を見上げる。


「お元気ですよ、では、お入りください」


ファソが鉄製のドアを開ける。ギッギッギッと油の切れた音だ。


入るとその正面には長テーブル。奥には年老いたドワーフが席についていた。





「これはこれはシェロお嬢様。こんな辺鄙なところまでよくぞいらっしゃいました。ご覧の通り、何もご用意出来ませんが、ごゆっくりしていってくだされ」



ここまで読んでいただきありがとうございます。拙い文章ではありますが、評価、感想など頂けたら励みになりますのでよろしくお願いします!


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異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
こちらも連載中です。宜しくお願いします。
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