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その10,焼き鳥

 俺たちは朝から肉を平らげ、ぬるいビール(ビールは冷たいものという意識はないらしい)を飲み、ゆっくりと朝食を済ませた。

 あれだけ肉を食ったのに不思議と胃もたれはない。肉の素質か調理の仕業か。


 それに胸にぶら下げたドクロ、Bランクの恩恵かしら、『お代はいいから』と巨乳オーク美女にお会計を断られてしまった。

 あれはあれで困るな。


 困惑しながらも、腹ごなしを兼ねて歩きながら店を見る。窓はないけどウインドウショッピングの気分。

 『この服可愛いね』『見て見て〜、都で流行ってるお茶っ葉が売ってるよ!』

 冒険者として稼いだら、好きなものを好きなだけ買ってやるからな!!


 今この手元にあるお金はシェロちゃんに借りたものだから俺の自由に使えるお金じゃない。

 アイスピック、もとい髪飾りと水袋を買ってしまったのは仕方ないとして、まぁこれからどうなるかわからんし簡単に使うわけにはいかないからな。


 ふむ…とはいえ…俺の着替えを買わなければ。


 洋服屋を探して街を進む。


 街の入口から中心部までは主に食品や雑貨、日用品、都からの交易品を取り扱っている店ばかりだった。


 ギルドの建物より奥に進むと、装備品や薬、低レベル魔書など冒険者向けであろう店が立ち並ぶ。


 既に噂は回っているようで、その店主らの声にも親しみがこもっているように感じた。


「ヤァヤァBランクの旦那!ご機嫌だね!ぜひウチの剣を持っていってくれ!」


「あら、噂の旦那!思ってたより男前じゃないか!ウチの鎧を使っておくれ!」


「ほらほらどんなランクだって薬が必要だよ!お代はいいからコレ、持っていきな!」


俺はその声に愛想笑い(スキル)を振りまき、求められて握手したり、挨拶したりしながら進む。


「Bランクの冒険者は都会に行けば街に一人はいるからね。でも『勇者』とか『賢者』とか、そういった職業に就いてて、私達庶民とは縁遠い存在なんだよー」


 通常、高ランク冒険者はギルド運営や国の要職などにあり、その装備もまた、特別な仕様のものを特別に用意してるってわけだ。


 そりゃ"Bランク冒険者御用達の店"ともなれば、商売繁盛間違いなしだ。


 だからタダでも良いから使わせたいという魂胆はわかる。

 まぁ装備も必要無いわけじゃないが、装備一式無料というわけにもいかんでしょ。

 (それに、ほんのりと醸し出す絶妙なダサさ)


 ギュッと右腕にしがみついてくるシェロちゃん。

「ヤキトリ様、すっかり街の有名人だね!あたしも耳が広いよ!」

 それを言うなら鼻が高い、だな。いや、エルフには独特の表現があるのかもしれないけど。


「ま、俺としてはもっとカジュアルに、気楽に居たいんだ」


 あ、あの店の焼き鳥…あんまり評判になるとこれから気軽に食えなくなるのかしらん。


 アホの子シェロちゃんとどうでも良い、なんてことのない会話をしながら歩いているのを意識し、俺はこんなことがとても楽しいんだと心の底から感じた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。拙い文章ではありますが、評価、感想など頂けたら励みになりますのでよろしくお願いします!

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異世界タクシー 〜行き先は異世界ですか?〜
こちらも連載中です。宜しくお願いします。
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