三人目
時は前日の夜明けの時間までさかのぼる。日が昇り、世界の一面が青白み始めた時間帯。大陸の西にある巨大な城壁。かつての内乱の記憶する唯一の場所で、茶色のローブを羽織った二人が、それを見上げていた。
「あれ、あれれ~? これってもしかして、もしかするんじゃないですか、エンブさん?」
小さい方のローブ姿は女の声で話した。
「……ノウ」
「やっぱりそうですよね~。これは完全に死んじゃいましたねー、サルさん。ああ~いたわしやいたわしや」
「しゃべり過ぎだ、ノウ」
エンブ、と呼ばれた男は低い声でノウと呼ばれた女を制しようとする。
「ごめんなさ~い。でもでも、エンブさんちょ~~~っと薄情すぎやしませんか? あのサルさんが死んじゃったんですよ?」
「……」
「も~、まただんまりですかぁ? それじゃあ、考えてることが私に伝わりませんよー。ですけど、ちょっとだけなら、想像できちゃいますねぇ……もしかして、エンブさん、わざとサルさんにあのミコを追いかけるように仕向けました?」
「……」
「あ、ダンマリは肯定で受け取っちゃいますよー。そうか~、やっぱりですか~。サルさん、このままミコを放置して良い物かどうか心配で心配で仕方ないって言ってましたもんねぇ~。エンブさんも初めは使命のためにはその必要はない、って言ってたんですけど、急に翻意しちゃいましたから、何か企んでいるとは思いましたけど~」
「ノウ、黙れ」
再度低い声、エンブが制す。
「はーい、黙りまーす。だんまりじゃなかったってことは、否定で取りますね~」
つくづく、うるさくて調子のいい女だ、とエンブは思う。それでいて、鋭いところがあるから、気が抜けない。
「あのあの~。サルさんの肩を持つつもりじゃないですけど、ミコを放っておいていいんですか? 放っておいたらいずれまた妖刀が壊されちゃうかもしれませんよ?」
「構わん。今、奴らの近くに妖刀はない。残りを全て我らの手で回収する。それが最優先だ。それに……手はもう、打ってある」
「ああ、あの拾い物のことですねぇ……ほんとうにあれで……」
「いい加減に黙れ。今は目の前のことに集中しろ」
「はーい、だっまりまーす」
二人は城壁へと向けて歩き出した。その傍には誰もいない。明け方の大陸の西側で起こった、アーニィやトヨの知らぬことである。
ども、作者です。
一応、第七部目に当たるお話のラストです。ここまでのおつきあい、ありがとうございました。
久しぶりに更新を再開してから、ここまでは順調なペースで更新を続けられ、また続きの作成も上手くいっている状態です。
もう四か月分は、この更新ペースを維持できそうです。この七部に入ってからブックマークをして下さった方や、たまたま見て、最初の方から読み直してくださった方々のおかげで、というと語弊があるかもしれませんが(笑)、早く続きを書かなくちゃな、と思えていいモチベーションを維持できているようです。
ブックマークをして下さった方、また、評価をして下さった方、ありがとうございました。
結構盛り上げようと必死になっていた回だったので、その辺りを気に入って下さったのかな、と思うと非常に嬉しく思います。
今後どうなってしまうのかは、分かりませんが(笑)
もうちょいで折り返し地点です。最終回に到達するのがいつになるかは分かりませんが、ある程度のアウトラインは出来ているので、書けないことは無いと思います。
できたらもうしばらくのおつきあいしていただけたらな、と。
では、ここでのあとがきはこの辺で。また次回、見て下さる時を楽しみにしております。




