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引退魔術師のセカンドライフ  作者: DEED
一章 学園生活
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3話 教官たちの食事会

 学園(レシネーヨ )の対象年齢は25歳まで。

 25歳までならば誰にでも入れる…ということになる。


 ここで重要な事は、下限の年齢がないことだ。

 理由は優秀な可能性のある貧民・難民達の子供の保護の為である。


 昔から冒険者は貧困の中で生まれてきた。

 もちろん、王族・貴族を出自とする冒険者もいたが大部分はそうではなかった。

 金も仕事もない者達が確実ではないが野盗などではなく生きていく道。それが冒険者だった。


 もちろん、学園がすべての難民や貧民を救えるわけではない。

 そんなことをすれば一瞬で学園は人で溢れかえるだろう。


 故に教官たちが見出した子どもや、命からがら辿り着いた難民達の子どもたちの保護などのために

 下限年齢制限は付けられなかった。


 では、入ってきた子供たちはどのように教育されるのか。

 冒険者育成施設である以上、冒険者としてのスキルを取得していくことになる。

 とはいえ、幼い子に無理はさせられない。


 ではどうするのか、運動や食事・基礎教育を施していくことになる。

 次に、様々な職業に対しての適性検査を通じ、

 個人の希望を踏まえ、本格的に冒険者としての訓練を積んでいくことになる。


 そして15歳を迎えてからパーティーを組むことが許される。

 パーティーを組み実際に依頼をこなしていき、ギルドの評価を上げ

 25歳までに卒業資格を得ることができれば、学園公認による一流冒険者として巣立って行くことになる。



 ◇



 午後の授業までは時間がある。

 私は学園の中央にある食堂へ向かう。

 自分の研究室や訓練室からは少し距離があるが、問題はない。


 教官には、自分の自室を兼ねた研究室と訓練施設を支給される。

 訓練施設は実技を行う為それなりの広さがある。

 訓練施設には教官の好きなように施設を建てて良い、

 ただし多少の学園からの補助金はあるが大部分は自腹になる。

 故にろくに建物も建てずただ広大な原っぱが訓練用施設となっている教官が多かった。


 私の場合は、雨の日外でやるってのがあまり好きじゃなかったので

 対魔法障壁を念入りにかけたそこそこの広さの訓練室(この前の訓練でつかったところ)と

 更に大規模戦闘用の広大な広場を用意している。

 ついでに薬草や毒草などを育てる温室を研究室の横に建てた。

 私の場合、魔法の研究とかそういうので色々必要になるのでそれはそれで助かったのだが。

 お陰でわたしのお金はだいぶ減ってしまったが。


 まぁ、これでも余る広さなのだ。

 ムダに広い。というか与え過ぎだと思うのだが。


 故に、学園中央までの移動ですら私のところからで30分ほどはゆうにかかる。

 端から端だと2時間はかかるんじゃないかな…。

 うん、不便。


 後に転移魔法による移動手段を考えるべきだが、なにぶん魔道士が少ないのだ。

 魔道士教官はまだたったの2名、生徒ではそこまでのレベルに達しているのがいるかどうかだし。


 まぁ私のところからなら中央までならそこまで面倒ではないのだ。

 何より温かくておいしい食事を食べれるならそっちのほうがいいに決まってる。



 ◇



 食堂はとにかく広い。

 そもそも1000を超える生徒を後には管理していく予定なのだ。

 広くないと困るって話だ。


 入り口で、今日のメニューを見る。

 食堂はその日限定のおすすめ料理のみ生徒・教官は無料で食べれる。

 それ以外を頼む際は自腹となる。


 おすすめは、ルート鶏のスープにライスらしい。

 うん。寒くなりだしてきた季節に淡白ながらも熱いスープ。

 いいじゃないか。


「すみません、教官ミラ=ディエルです。おすすめ1つおねがいしますー」

「はーい!!」


 奥からの厨房から大きな声が聞こえる。


 スープということも有り、すぐに持ってきてくれた。


 恰幅のいい女性が満面の笑みで持ってきてくれる。

 この学園の食堂の主任である、テッサ・リエラさんだ。


 すでに40というのが。

 絶対若い。30って言っても普通に通じる。

 元々彼女は冒険者用の宿屋の女将だったらしい。

 夫が流行り病で倒れ、村も病を恐れた結果人が減り廃業間近だったらしい。


 そんなに彼女に舞い込んだ新たな仕事。

 料理をするのが好きで、いろんな食材が届き、自分の腕が生かせる。

 彼女にとってまさに理想のセカンドライフだったのだろう。


「テッサさんありがとうございます」

「いえいえ、あなた達のお陰で私達はこうやって第二の人生を迎えられているんです。感謝してるのは私達なんです。」


 うーん、やったのは私じゃないから感謝されても困るものがある。

 まぁあまり深くは考えず、スープとライスをもらい私は手頃な席を探す。


 あー、あそこがいいわね。

 私は、赤髪の女性の横に座る。

 彼女はスープとライスとさらに肉と野菜の炒めものを食べているところだった。

 頼めばよかったと少し後悔する。

 あとなぜかお酒が置いてある。


「真っ昼間からお酒ってどうなんですか?カルロッタさん?」

「んー。いいのよ。今日は午前だけだし」


 モンク担当教官カルロッタ・エゼット。

『戦姫』という二つ名を有したモンクである。

 ちなみに、子持ち。


 しかし…姫というか。

 彼女の服は動きやすいように薄手のシャツなのだが。


 1枚しか着てないのだろう。透けてるのだ。

 おそらく午前の訓練で汗をかいた服でそのままこっちへ来たのだろう。

 もう少し服装というかその辺を考えてほしいものである。


「それに、さん付けはいらないわよ。ミラちゃん」

「…ちゃん付けやめてください。カルロッタ」


 まぁ、彼女のほうが年上とはいえ、ちゃん付けはちょっと恥ずかしい。

 30前でちゃん付けはなおさらきつい。


 それにしても、いい体である。

 筋肉できっちりと引き締められた体。それなのに出ているところは出ている。

 正直羨ましい。特に胸。なんでそんなにあるんですか。


 話しているとせっかくのスープが冷めてしまう。

 少々行儀は悪いかもしれないが、食べながら話すことにしよう。



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