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【一般】現代恋愛短編集 パート2

初夢で美少女の夢を見ようと思って枕の下に写真を入れたのに幼馴染が出て来た

作者: マノイ

「初夢チャレンジ?」

「そう。クラス全員でやってみようって話になったんだ」

浜岡(はまおか)君もやってみようよ」


 二学期最終日の前日。

 昼休みに冬休みは何をして遊ぼうか考えていたら、クラスメイトの男女が話しかけて来た。


 二人ともクラスの中心となる騒がし役で、様々なイベントを提案してはクラス中を巻き込んでいる。


「どんな内容なんだ?」

「単純明快。初夢にクラスの誰かが出て来るか試してみようって話さ」

「試すってことは、ただ寝るってだけじゃないんだよな」

「御明察。そこでこれの登場って訳よ」

「スマホ?」


 女子がドヤ顔でスマホを見せつけて来たのだが、それだけでは意味が分からない。

 程良くもったいぶるのも話を広げる彼らのテクニックだ。やりすぎると相手をイラつかせるだけなので注意が必要。


「好きな人の写真を枕の下に敷いて寝ると夢に出て来るって聞いたこと無い?」

「あるような無いような……つまりクラスメイトの誰かを選んで、その人の写真を使えってこと」

「そういうこと」


 単純な内容なので参加するのも吝かではない。

 しかしこの内容だとクラスの大半が参加しないんじゃないか?


「なるほどな。だが、問題がある」

「「問題?」」

「クラスメイトの写真をスマホで撮ったとして、印刷するの誰かに見られたらと思うと恥ずかしいだろ」


 外で印刷するのはもちろんのこと、家で親の目を盗んでプリントするなんてのも嫌だと思う人がいるはずだ。かといって印刷したものを配る形にしたとして、誰を選んだのかがバレるのが嫌だと思う人がいるに違いない。そう考えると気軽に参加しにくいイベントであると言えるだろう。


「大丈夫。集合写真を使うから」

「それを配るから、各自夢に見たい人を切り取って使うって形ね」

「ほうほう、確かにそれなら恥ずかしくないか」


 起きた後に枕の下の写真をそのままにして掃除に来た親に見つかるとか、切り抜いた写真を捨てずにおいてバレるとか、そういう危険性はあるにはあるが、そこまで恐れて参加したくないと言い出すような人は稀に違いない。


 他に気になることは何かあるかな。


「夢に出て来たかどうかは自己申告で良いのか?」

「もちろん。というか、それ以外にないでしょ」

「初夢に出て来た~とか、本当に現実になった~とか、そういうのでなんとなく楽しめれば良いっしょ」

「だな」


 こいつらが発案するのはいつもなんとなくのゆるゆるイベントであって、このくらいの適当さの方がやっても良いと思いたくなるだろう。


 俺も特に反対はない。


「んじゃ俺も参加するわ」

「なら帰りのホームルーム終了後に写真撮るから帰らないで残っててくれよな」

「ああ」


 そしてその写真を今日中にプリントして、明日配るって形か。


「ちなみに浜岡は誰狙いだ?」

「おいおい、それを聞くのはマナー違反だろ」

「え~良いじゃん教えてよ~」


 こんなウザ絡みをされたらイベントに参加したくなくなる人も出てくるだろうが、こいつらは人を選んでやっている。つまり俺は大丈夫だと思われているのだ。まぁその通りだが。


「そうだな、ならお前にするか」

「俺!?」

「うっわ、浜岡君ってそういう趣味だったの?」

「前が見えなくなるくらいサンドバックにする夢を見るわ」

「ひいっ!」

「きゃはは、そういうのも面白そー!」


 どうせこいつらは好きな人を夢に出すことしか考えていなかったのだろう。

 せっかくなんだから友達を選んだり、普段接点が無い人を選んでみるなんてのも面白いかもしれない。


「でも結局、浜岡君も気になる子を選ぶよね。誰にするか教えてよ~」

「む、粘るな。だが言わん」

「分かった。華森(はなもり)さんでしょ」

「絶対にありえない!!!!」


 華森とはクラスメイトにして幼馴染の女子高生。

 いつも口煩い、俺の天敵だ。


 その華森に俺達の会話が聞こえていたようだ。


「私だってあんたなんか夢に出て欲しくないわよ!」


 物凄い形相で睨みつけてきやがった。


「あちらさんもあんなこと言ってやがるぜ。気に喰わないが同じ意見だ。お互いに選ぶなんて絶対に無いから二度とそんなことを口にしないでくれ」

「え~そっかな~」

「疑いの目で見るな。マジだ。今更アレを女として見れん。いつもグチグチグチグチ小煩くて、母親かよ」


 俺は母親を女として見るような異常性癖の持ち主じゃないからな。

 華森はうざいだけの相手であり、付き合いたい相手は他にいる。


「あんたがいつもだらしないからでしょ!」

「だからってお前が何か言う必要は無いだろ!」

「私だって関わりたくないわよ! でもしょうがないじゃない! あんたがだらしないと何故か私に注意しろって皆が言ってくるんだから!」

「そんなの無視すれば良いだけだろ!」

「そもそもあんたが普通にしてればこんなことにはならないのよ!」

「やっぱり仲良いよね~」

「「絶対にありえない!」」


 ケンカする程仲が良いなんて話もあるが、俺達は本当に仲が悪いだけ。

 幼馴染という言葉に幻想を抱いて揶揄ってくるのはこのくらいにしてもらいたい。


「んじゃこのくらいにしとく」

「だね。それじゃまた後で」


 なんて思った直後に退くんだから、こいつらは人の心を見透かしているかのようで少し怖いわ。


 二人が去った後、俺は教室内のある場所をチラっと見た。


 そこは華森がいる場所、だなんてことは決してない。

 何が悲しくてあんな奴の姿を拝まなきゃならねーんだ。


 俺が見たのはクラス一の美少女、桜井(さくらい)さん。

 明るくて可愛くて、男なら誰もが彼女にしたいと思うだろう。

 初夢に彼女が出て来たのであれば、最高に幸せな一年をスタート出来そうだ。


 ただそう思っただけなのだが、夢に出て貰うにはもっと強く願わないとダメなのだろうか。


 付き合いたい付き合いたい付き合いたい付き合いたい付き合いたい付き合いたいとか。


 でもそこまで執着心があるわけじゃないしなぁ。


 まぁダメ元で良いか。

 こういうのはお遊びみたいなものだし。


 結局俺は、大して期待していなかったこともあり、初夢チャレンジのことをすぐに忘れてしまった。

 新年、クラスLINEで通知が来て思い出し、慌てて貰った写真を取り出したくらいだ。


 こんなんじゃきっと夢になって出て来やしないだろうな。

 そう半ば諦めて眠りについた。


ーーーーーーーー


 三学期初日。


「あけおめー、初夢チャレンジどうだった?」


 登校したらいきなり賑やかし女子が話しかけて来た。

 男子の方は別の人と話し中だ。


「どうだったも何も、何も見なかったって報告しただろ」


 一月二日に、クラスLINEでクラスメイトが次々と初夢報告をしていた。

 俺もそこで何も見なかったと報告をしたので、こいつは結果を知っているはずなのだ。


「怪しい」

「何がだよ」

「だって浜岡君にしては返事が早すぎたもん」

「は?」

「提出物はいつもギリギリ。LINEで遊びに誘った時の返事もいつも遅いし、忘れてることも多い。そんな浜岡君が今回に関してはクラスの中で上位の速さで報告してた。こりゃあ何か隠してるなって思ったのよ」


 くっ、鋭い。

 こいつそれが気になって真っ先に俺に話を聞きに来たのか。


「何も隠してねーよ」

「ならこっち見て言ってよ~」

「な、何も隠して、ねーよ……」

「きゃはは、怪しすぎー」


 くそぅ、揶揄う気満々じゃねーか。

 だが絶対にバレるわけにはいかない。


 もしバレたらクラス中の笑いものにされること間違いなしだからだ。


 落ち着け。

 落ち着くんだ。


 何も言わなければ良いだけの話。

 そうすれば何も無かったのと同じこと。


 後は俺が忘れればあのことは闇に葬ら……


「あけおめ~」

「あ、あけおめ……」

「!?」


 しまった。

 背後で聞こえた声に反射的に身体をびくっと反応させてしまった。


「ふ~ん、そっか~そうなんだ~」

「な、なんだよ」

「べっつに~」


 まだだ。

 まだ慌てる必要は無い。


 具体的な話は何一つとしてしていないんだ。

 怪しまれただけならなんとでも……


「華森さん、ちょっとこっち来て」

「え?」

「!?」


 待て待て待て待て。

 それは卑怯だろ!


 確かにあいつの声に反応したけど、それだけで迷いなく呼ぶか!?


「い、いや、その、私は……」

「あれあれ~、華森さんも何か変だね」


 ん?

 それはどういうことだ?


 俺の異変は確かにあいつに関係することだが、別にあいつと直接何かがあったわけじゃない。

 だからあいつは普通のはずなんだが。


「もしかして冬休みの間に何かあったの? 浜岡君と付き合いだしたとか」

「そんなことない!」

「そんなことない!」


 あまりの暴言に立ち上がって抗議した。


 だがそれが良くなかった。


 あいつの顔を見てしまったから。


「あっ……」

「あっ……」


 ダメだ。

 顔をまともに見れなくて背けてしまう。


 脳裏に焼き付いて離れないあいつの姿が重なってしまうから。




 触れる度に跳ねる体と、蕩けるような表情(メスの顔)が重なり、艶めかしい幻聴が聞こえてくるから。




「おやおや~二人ともどうしちゃったのかな?」


 おい馬鹿やめろ。

 クラスの連中がこっちを見るだろ。


 つーかなんで華森までしおらしいんだよ。

 せめてお前がいつも通りなら、俺だってどうにか対抗していつも通りの感じになれただろうに。


「マジで何もねーよ……」


 辛うじてそう絞り出すだけで精一杯だった。

 しかしそれで逃がしてくれるような相手では無かった。


「この雰囲気でそれは無いでしょ~」

「マジだって。何なら母さんに聞いてくれて良い。冬休みはずっと家に居たからな」


 スマホの履歴を確認したって構わない。

 俺とあいつとの繋がりを示すものなんて何も無いからな。


「そこまで言うってことは本当に何も無かったのかな。でも反応がおかしいし……」


 考えるな考えるな。

 もうそこで諦めて席に戻れ。


 もちろんそんな儚い願いが叶う訳など無いのだが。

 そもそも最初に何の話をしていたのかを考えれば答えなど明らかなのだから。


「なぁ~んちゃって。そっかそっか、二人とも初夢にお互いが出て来ちゃったんだ」

「出てない!」

「出てない!」

「しかもえっちな感じで!」

「ち、ちち、違う!」

「ち、ちち、違う!」


 どうしてそこまでバレて……って、あれ、華森も同じ反応……だと……


「ねぇねぇ浜岡君、初夢の中の華森さんってどんな感じだった?」


 やめろ! 想像させるな!


「ねぇねぇ華森さん、初夢の中の浜岡君ってどんな感じだった?」

「いやああああ!言わないでええええ!」


 お前もそんな意味深な反応するんじゃねー!

 同じ夢を見たんじゃないかって錯覚するじゃねーか!


「うんうん。やっぱり二人は心の中で繋がってたんだね。つまり幼馴染最強、と」

「だから違うって言ってるだろ!」

「どうして私がこんな奴と、あ、あ、あんなこと!」

「それはこっちの台詞だ! 新年早々最悪な気分だぜ!」


 お、これは良い感じじゃないか。

 いつものような言い合いをして気分を元に戻すんだ。


「嬉々としてあんなことしたくせに、よくそんなこと口にできるわね! この変態!」

「夢の中で俺にやらせたのはお前だろ!だったらお前が変態願望あるんじゃねーのか!?」

「なんですって!? あんただって私なんかよりも酷い夢見てたくせに!」

「どうしてそんなことが分かるんだよ!」

「あんたの考えそうなことなんて誰でも分かるわよ!変態!鬼畜!」

「あ~あ、やっぱり初夢なんか嘘だな。お前があんなにしおらしい訳ないし。ありゃあ別人だ!」

「こっちだってあんたなんか出て来てないわよ!あんなに格好良…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


 おい馬鹿、そこで止めるな!

 女を意識させるな!


 うう、やばい。

 口論してしまったせいで、こいつの姿をしっかりと見てしまった。


 初夢では、こいつは最初ベッドの上で今と同じ制服姿だった。

 俺はそれをゆっくりと脱がして……


「…………」

「…………」


 ごくりと生唾を飲み込んでしまう。

 制服の下を想像してしまう。


 華森を女として強く意識してしまう。


「うっわ。ガチじゃん」


 お前もう黙れよ!


「うううう、ば、バカみたい!」


 今回ばかりは華森に助けられたか。

 何故なら逃亡を選んで席に戻ってくれたから。


 視界から消えてさえしまえば、徐々に邪な気持ちは消えてくれるだろう。


 問題は煽ってくる奴だが。


「面白くなってきた。でもこれ以上は藪蛇になりそうだから一旦は止めとくね」

「一旦じゃなくてもう触れるな」


 どうやら今日の所は解放されたらしい。


 と思ったのは俺だけだったか。


「おい浜岡」

「色々と教えて貰おうじゃねーか」


 話を聞いていた男子達が俺に詰め寄って来たんだ。


「ノーコメントだ」


 もちろん気持ちを落ち着かせたい今の俺が相手になどするわけがない。


「そう言うなって。別にお前の夢の内容を聞き出そうだなんて思ってねーよ」

「え?」


 あれ、違ったのか。

 てっきり俺を煽ったり嫉妬をぶつけに来たのかと思った。


「じゃあ何を聞きたいんだ?」

「そんなの決まってるだろ! どうやってその夢を見たのかだ!」

「は?」

「教えてくれ! どうすればそういう(・・・・)夢を見られるんだ!」

「…………」


 つまりなんだ。

 こいつらは俺からエロい夢を見る方法を聞きたいのか。


 う~ん、控えめに言って馬鹿だ。

 教室には女子がいるのに堂々と聞くだなんて、蔑んでくれと言っているようなもの。


 いや、もうすでにリアルは諦めているから夢に縋っているのかもしれない。

 それはなんて悲しいことだろうか。


 出来ることなら手助けしてやりたいところなんだが。


「分からん」

「嘘だ! 絶対に何かやったはずだ!」

「マジで何もしてねーんだよ。写真はセットしたけど、寝る前に思い出してギリギリでやっただけで全く意識とかしてなかったし」

「そんなはずはない。夢にまで出て来るほどなんだ。絶対に何か強烈に印象に残ることをしたはずなんだ」


 してないから困ってるんだよ。

 完全に意識の外だったのに、存在すら忘れてたのに、突然あいつが出てきやがったんだ。


「当日の行動を事細かに全て教えてもらうぞ!」

「いや、前日もだ!」

「なんなら冬休み直後から!」

「はぁ……めんど……」


 だが動揺した心を整えるには、このくらい馬鹿馬鹿しい話の方が向いているに違いない。


 初夢なんて所詮はただの夢。

 あいつも似たような夢を見たらしいことは気にはなるが、引き摺るのも馬鹿らしいし、さっさと忘れるべきだ。

















「ね、ねぇ。久しぶりにあんたの家族に挨拶に行きたいんだけど」

「は? お前知ってるだろ。うちの親は忙しくて毎日帰ってくるの遅いって」

「う、うん。だから、その、待ってる」

「そ、そっか…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


あれ、これって性欲に突き動かされてるだけだから、セ〇レENDになってしまうのでは。




なお、同じ夢を見た訳ではなく、華森さんの方が初夢の内容がマニアックです(とても大事

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― 新着の感想 ―
末永く爆発していろ!。
夢は願望の表れw 片思いじゃなくてよかったですね。
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