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第97話〜魔力の目覚め〜


「…何よ、今の光は?」


「さあな」


舞台は再びルプスの里へ。

大きな光に包まれた後、ゆっくりと立ち上がった俺を見て警戒を強める部隊長‐スコルピオ。


まぁ彼女からすれば、虫の息だったはずの人間が光りに包まれた瞬間立ち上がる程に回復しているのだから、その反応にも無理はないだろう。


「見た感じ毒も消えてるわね。あの状況から回復するとか、いったいどんな魔法を使ったの?」


「さぁ?俺が使ったわけじゃないしな」


「…なるほど、敵に手の内は晒したくないってわけね」


事実を述べたつもりだったが、ややこしい方向に曲解した様子のスコルピオ。


まぁこちらはどんな理解をされていようが構わないのだが。


「なんにせよ、お前が仕留めそこねた事には変わりないだろ」


「そうね、なら次はしっかりととどめを刺してあげる」


そう言って再びレイピアを構えこちらに向かってくるスコルピオ。

もう一度接近戦に持ち込み、確実にとどめを刺すのが狙いだろう。


「今度こそ、これで終わりよ」


迫るレイピア、今までの俺なら目で追うこともままならず避けることで精一杯だった。


‐事象や物質の時間を操作する。それが私の魔法‐


「前にそんな事いってたよな、なら…借りるぞ、リエル」


俺は自身の体内で覚えたての魔法を発動する。


それはリエルが最も得意とする時間操作の魔法。


魔法を使った直後、俺の眼前までレイピアが迫っていることに気がつく。だが…


「遅ぇよ」


自身の体内時間を急速に進めることによって、動体視力と運動能力の引き上げに成功した。

これにより俺は奴の攻撃速度に反応することが可能になり、

銃撃をレイピアの刀身に当てることで軌道を逸らし、スコルピオの攻擊を回避した。


「なっ…!!?」


俺の予想外の反応に、意表を突かれたスコルピオは大きく体勢を崩す。


「火に弱いのは実証済みだからな、今度はもっと高火力を叩き込んでやるよ」


そう言って俺はスコルピオの懐に入り込み、腹に向けて銃口を突きつける。

同時に魔法を発動すると銃身が赤く光を放ちはじめた。


「これって…まさか…!?」


俺の攻撃の意図に気がついたスコルピオが慌てて避けようとするが、


「だから遅ぇ」


彼女の行動よりも早く俺が引き金を引き、炎をまとった銃弾がスコルピオの身体を貫通する。


「あぁぁっ!!」


痛みに苦悶の表情を浮かべるスコルピオ。

魔法を付与した銃撃なら、部隊長相手でも通用するらしい。


「くそっ!!アンタ…そんな高度な魔法まで使えたわけ…!?」


「ま、こっちも色々あったんだよ」


「どこまでもふざけた事を…ならこれでっ!!」


スコルピオが自慢の尻尾で再び俺に攻撃をしかけてくる。

直線的な攻撃では通用しないことを悟っているからか、尻尾の軌道を細かく変えながら俺を狙っているらしい。


だが俺がやっているのは攻撃の先読みではなく、時間魔法による反射神経の向上。

ゆえに攻撃に転じる最後の一瞬さえ分かれば‐


挿絵(By みてみん)


「ワールドアクセス」


今度はガトリング砲を呼び出し、尻尾めがけて乱射する。

当然その銃弾にも全て炎魔法を付与しており、弾は尻尾の硬い外殻を貫きやがて付け根から、尻尾が弾けとんだ。


「なっ!!!??」


「ご自慢の尻尾も、魔法を付与した弾丸の雨は耐えきれなかったみてぇだな」


俺が煽るようにそう言って笑うと、スコルピオはこちらをキッと握りしめる。


「ヴェレストリアには聖女の他に、少し頭が切れる男がいるとは聞いていたけど…戦闘力がここまで高いなんて情報はなかった。あんた…本当にいったいいつの間にそんな力を手に入れたのよ…!!」


「土壇場で手に入れたんだよ、お前に殺されかけたおかげでな」


「本当に…意味のわからないことを…!!」


言いながらレイピアをこちらに投げつけるスコルピオ。

その場しのぎの攻撃なのは明確であり、簡単に防ぐことはできる。


だが、スコルピオの狙いは俺ではなく、別のところにあったららしい。

俺が攻擊を交わす一瞬の隙を利用して、その場から離脱を試みる。


「今回は私の負けってことにしてあげる!でも次あった時は覚えておきなさいよ!!」


そう言って一気に距離をとるスコルピオ。

このまま逃げ切るつもりなのだろう。


だが…残念ながらここで敵を見逃せるほど、俺の心は広くはない。


「逃がすわけねぇだろ」


スキルを発動し、スコルピオを囲うように巨大なコンクリートの壁を召喚する。

尻尾を失った彼女では、この壁を登ることはできず動きが止まる。


「くそっ!!こんな壁すぐに壊してやる…!!」


そう言って強い力で壁を叩き始めるスコルピオ。

部隊長のもつ力ならコンクリートといえど、破壊されるのも時間の問題だろう。

しかし残念ながら、一瞬でも足止めに成功した時点で既に勝負はついている。


「ワールドアクセス」


手榴弾を1つ呼び出し、そのままピンを抜いてコンクリートの壁の中に投げ入れる。


「は?何よこれ…まさか…!!!」


「じゃあな」


壁の中で俺が投げ入れたものが何なのか、それに気がついたスコルピオが焦りの声を上げた瞬間。


‐ドンッッッッッッ!!!!‐


激しい爆発音と共に、柱の吹き抜け部分から炎の柱が吹き上がった。



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