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第8話〜執事とメイド〜


王との謁見を終えた俺達は、有栖の案内で王宮を一通り見て回っていた。

魔王軍の侵略の影響で財政難もあるのか、全体的にやや古びてはいたものの、さすがは王宮といったところで見事な設備だった。


「これで一通りご案内しましたね、最後にこちらがユート様のお部屋になります」


聖女モードの有栖は終始柔らかい口調で説明してくれたが、素を知ってから聞くと違和感しかない。

とはいえ、有栖も口調を崩すつもりはないようなので俺は黙って説明を受けるのだった。


「あ、せっかくなのでお部屋の中もご説明致しますね」


「え、いや別にそこまでは」


「物の配置はご説明しておいたほうが良いと思いますので、ね?」


表情こそ笑顔だったが無言の圧力を感じた俺は、有栖とともに部屋に入った。


「はぁー。。疲れた…」


部屋に入るや否や、素に戻る有栖。


「いきなり態度かわり過ぎだろ…」


「仕方ないでしょー、王宮内では聖女らしい立ち振る舞いが求められてて、息が詰まりそうなんだから」


「そうかよ…で、何か話があったんじゃねーの?」


無言の圧力をかけてまで部屋に入ってきたということは、何か話したい事があったのだろう。


「あ、そうだった。お疲れさまって伝えようと思って」


「お、おう?」


「ほら、あなたも転生初日から色々あったでしょ?」


どうやら有栖は俺にねぎらいの言葉をかけてくれるために部屋に来たようだ。

こういった気遣いが自然に出来る辺り、さすがは聖女といったところである。


「まぁ確かに色々あったけど、、おかげで何とかこの世界でも暮らしていけそうだよ」


「それなら良かった♪とはいえ執事になった以上は明日から大変よ。今日はしっかり休んでね」


「執事ねぇ…何やればいいのかさっぱりなんだが」


「そこは明日ちゃんと説明があるわよ。でもある意味今日の魔王軍の襲撃よりハードかもしれないから、覚悟しておいて」


「…え?」


「じゃあそういうことだから、おやすみ遊斗」


不穏な言葉を残して去っていく有栖。

こうして俺の異世界転生初日は、明日から始まる執事生活に多大な不安を残しつつ終わったのだった。


−−

−−−


翌日、俺は早朝から執務室の前に来ていた。

どうやらここに使用人の先輩がいるらしく、その人に仕事を教えてもらう運びとなったためである。


「どんな鬼教官がいるのやら…」


挿絵(By みてみん)


有栖の前評判から怖い先輩なのだろうと予想していたが、会わないことには先に進まない。

俺は執務室の扉をノックし中に入った。


「あぁ、時間通りに来ましたね」


執務室で待っていたのは、意外なことに若い女性だった。

年齢は俺より少し歳上くらいだろうか、少なくとも20は過ぎていないように見える。

だが、身にまとう独特なオーラで大人の余裕を感じさせる。


「えっと…あんたが使用人の先輩すか?」


「えぇ、その通りです。この宮中でメイドをしているティアナ・ウォーカーと申します。以後

お見知りおきを。」


メイド服を着ているため、まぁそうだろうと思ったが、やはりこの人はメイドらしい。

メイド服のデザインは異世界共通のようだ。


「では早速ですがユートさん、あなたを執事として鍛えていく上で、まずはあなたの適性を図りたいと思います」


「適性っていうと?」


「家事全般の適性ということになりますね。こちらを」


ティアナさんに小さな紙を一枚手渡される。


「そちらに家事スキルを見るためのいくつかのお題が書いてあります。まずはそちらをこなしてみてもらえますか?」


「なるほど、適性テストってことですね」


「そういうことです、準備のほどはよろしいですか?」


「まぁ、やるしかないでしょ。いつでもどうぞ」


「よろしい。制限時間は4時間とします。では始めましょう」


ティアナさんの合図とともに、俺の執事適性を図るテストが始まった。



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