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p.7

 男の子二人の言葉を、ミカとミキはキョトン顔で聞いていた。そんな二人に、男の子たちは不思議そうに顔を見合わせてから、まさかとアッくんが口を開いた。


「あれ? まさかお前たち気がついていないのか?」


 アッくんの言葉に、ミカとミキは揃って首を傾げる。


「気がつくって、何によ?」

「個性って、どう言うこと?」

「そっか。きみたち、本当に気がついていなかったんだね」


 イッくんが納得したように頷いた。アッくんの呆れ顔と、イッくんの訳知り顔がミカとミキに向けられている。


「お前たちは、双子だからといつも一緒にいて、同じ格好をして、同じように行動をしていた。それは、意識的にそうしていたのか、無自覚だったのかは分からない」

「けど、周りはそこしか見ていないし、きみたちもそんな周りの反応にしか興味を持っていなかった。でも、きみたちにはそれぞれ好みがあるし、個性があるんだよ」

「好み?」

「個性……」

「そうだ。お前たちがよく入れ替りをしているのは、みんなに、自分のことを気づいて欲しいからだろ?」

「だったら、きみたちの好みを、個性をもっと出せばいいんだよ」


 アッくんとイッくんはそう言って、二人の瞳をじっと見つめてきた。ミカとミキは戸惑ったように二人の男の子の瞳を見返す。


「わたしたちの好みって何よ?」

「わたしたちは、好きなものだって同じよ。甘いミルクが好きで、カレーライスが好きで……」


 次第に尻すぼみになっていったミキの言葉を、アッくんとイッくんが拾う。


「でも、ミカは本当はアウトドア派で」

「ミキちゃんは、インドア派」

「ミカは、右利きで」

「ミキちゃんは、左利き」

「ミカは、アップルゼリーが好きで」

「ミキちゃんは、ソーダゼリーが好き」


 二人の男の子たちがたたみかけるように言葉を紡ぐ。そんな言葉にミカとミキは、じっと耳を傾ける。


「で、そんなミカが俺は好きで」

「僕はミキちゃんが好きなんだ」

「は?」

「え?」


 さらりと零された告白めいた言葉に、ミカとミキは、目を丸くして固まった。


「俺たちがお前たちを見分けられるのは、お前たちのことを、誰よりもよく見ているからだ」

「別に僕たちが特別って訳じゃないんだ。きみたちの事を知れば、そんなのは誰にだって出来ることさ。きみたちは、それぞれに魅力的なんだから」

「それって……」

「つまり……」


 アッくんとイッくんは、二人を見分けている方法をさらりと白状した。しかし、二人は、まだそのことに気がついていない。

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