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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

業務内容・卵と虫への餌やり

作者: どうも、ゴミクズです

以前匿名掲示板に投稿したものを編集しての再投稿です。

匿名掲示板という性質上、本人証明出来ませんが…

信じてください。はい。

あと、キーワードやジャンルなどが

間違っているかも知れません。

気が付いたら指摘してもらえると嬉しいです。



12月13日、勤務初日。

勤務場所は山奥の地下の部屋で、

よくわからん卵とその周りに住む虫への餌やりだそうだ。

直径10m,深さ5mぐらいの大きい穴の中に卵があって、

そこに運ばれてきた肉を放り込む。

そうするとまわりの虫が食べてくれるんだそうだ。

いざやると、あまりに小さいもんで

粉が動いているようにも見える。

虫も卵も見たことない種類だし、

俺をここに連れてきた人もなんなのか教えてくれなかった。

もしここに足を滑らせたらなんて思うと、気が気でない。


追記:住み込みで働くなんて聞いてない。




12月14日

今日は業務の詳細を書くことにする。

朝5時に外に出しておいた肉を穴に放り込む。

この時期の山なら外が冷蔵庫代わりになるのはわかるが、

夏場はどうするんだろうか?

まあとにかく、それを昼12時にも行う。

夕方6時になるとトラックがやってきて、

発泡スチロール詰めの肉を渡してくれる。

これをすぐに穴にやり、また余剰分を明日放り込む。

ちなみに俺の食料もこのとき渡してくれる。

カップラーメンばっかりだけどなw




12月15日

いい加減あの卵の不気味さにも慣れてきた。

業務に関しては昨日とやることが一緒なので、

特に書くことがない。

強いて言えば、カップラーメン以外が食べたい。

あとやることなくて暇だ…




12月16日

肉を運んでくる運転手が地下室まで来て

色々と確認していった。

あいつ職員だったのかよ。

いつまでここで働けばいいのかと聞いたら、

卵が孵化するまで、だそうだ。

しかもそれがいつになるかは知らないってよ。

パチンコで借金なんてするんじゃなかったぜ。




12月17日

概ね昨日と同じ。

ただ、以前より虫が増えてる気がする。

気持ち悪いが、孵化の予兆なら大歓迎だ。




12月18日

虫が増えたってのを職員に伝えたけど、

そうか。とだけ言って帰っていきやがった。

孵化の予兆じゃないらしい。

あとここ最近は曇りばっかだ。

外が寒くて、この地下室でばかり過ごしてる。

明日は職員に本でも頼んでみるか。




12月19日

朝の時点で、明らかに虫の量が増えていた。

数千匹はいるんじゃないか?

10mの穴を、半分くらいは埋めている。

いつも通りの時間にきた職員にそのことを伝えると、

仕事モードって感じでバリバリメモを取って帰っていった。

あまりにも真剣なもんで、

本のことを伝え忘れちまったよ。




12月20日

昨日と同じ。虫に目に見える量の変化はないし、

卵もそのまんま。

そういや書き忘れていたが、

カップラーメンの湯は毎回火起こしをして沸かしている。

飲み水は外の湧き水だ。

外だと火がつかねえからここでやってるが、

こんな地下室で火起こしなんぞ下手すりゃ

一酸化なんちゃら中毒だ。

腹が立ってきたんで、餌やり用の肉を加熱して食ってやった。

鶏肉の味がして美味い。


追記:食ってたら見たことない骨が出てきた。

   なんの肉なんだろうか?




12月21日

本当は昨日の夜もこの音はしてたんだが、

山奥だし木々のざわめきかと思って書かなかったんだ。

でも今日、というか今鮮明に、

卵からゴリゴリと音がする。

ちくしょうなんで職員が帰ってから鳴り出すんだよ。

怖くね眠れねーなんて小学生以来だ。




12月22日

音は朝になってから止んでいたが、

もちろん職員にそのことを伝えた。

まるで予測通りとでも言うかのように、

整然とメモを取っていた。

今回は驚かねーんだなと思いつつ、

忘れていた暇つぶし用の本を頼んだ。

明日が楽しみだ。

ああ、今また音が鳴り出した。

怖すぎて逃げようかとも思ったが、

山奥すぎるし風も強い。

本当に借金なんてしなきゃよかった。




12月23日

卵の様子は昨日と同じ。

ただ天気は最悪で、昼ごろから吹雪いてきた。

夕方に来た職員が渡してくれた本は、

漫画じゃなくて聖書だった。

読まねーよこんなもん。

そういば、外は吹雪だっていうのに、

ここ地下室は昨日より暖かい気がする。

あの卵のせいか?




12月24日

最悪だ最悪だ最悪だ

職員の野郎が穴の中に落ちた。

一瞬で虫が群がって、悲鳴も出さないまま動かなくなった。

穴に入って助けられるとは思えない。

車で山を降りて助けを呼ぼうと考えたが、

どうやらあいつ鍵を持ったまま落ちたらしい。

吹雪は強まっているし、徒歩での下山なんて論外だ。

まだ穴の中からクチャクチャと職員を食べる音がする。

ああ、最悪のクリスマスだ。




12月25日

吹雪は止まないし、カップラーメンの備蓄も少ない。

ので餌やり用の肉を俺の食料にすることにした。

さっさとお前らなんて餓死してしまえ!

ざまーみろ!



早く家に帰りたい。




12月26日

明らかに前より室温が上がっているし、

餌をやっていないのに虫が増えている。

前からしていたゴリゴリとした音は、

鳴る時間が増えている気がする。

そろそろ孵化するんだろうか?

それを知るはずの職員はもう穴の中、

つーか骨も残っていない。

一体何が産まれてくるんだよ。




12月27日

吹雪は止まない。

なのに地下室は暑くて、半袖でもいいくらいだ。

あの虫達は、直径10mの穴を埋め尽くさんばかりに増えている。

助けは来ないんだろうか?

もしあの職員があのときの電話の主だったとしたら、

雇い主もあいつってことになる。

だとしたら、俺がここにいるって知ってるやつはいなくなる。

こんなところで死にたくない。

雇い主は別にいることを祈ろう。




1 2月28 日

正直、こんなことになるなんて思いもよらなかった。

ちょっとパチンコの借金が膨らんで、

親からも借りれなくなって、

やばいところから借りちまった。

いい働き場所紹介してやるよなんて言われて、

車に乗せられ6時間。

ここがどこかもわからないまま、この餌やりが始まった。

なんとかなるだろうと思ったら、

今じゃこんな不気味な卵と吹雪の中二人きりだ。

笑えるだろ?

カサカサという音が聞こえる。

ああ、お前らもいたな。

カップラーメンはもう切れて、

餌用の肉ばかり食べている。

やっとわかった。

これは鶏肉じゃなくて人間の肉だ。

最後の餌は俺だったんだ。




12 月3 0 日

暑い。暑すぎる。

暑さで意識がもうろうとする。

余りにも暑いんで

地上へと続くドアを開けっ放しにしているが、

それでも暑い。

卵の音は、もう四六時中鳴るようになり、

唸り声のような音へ変わってきた。

食料についてだが、餌用の人肉すら切れた。

あの虫たちでも食うか?

いやいや、無理だ。

死にたくない。死にたくない。死にたくない。




12月31日

朝起きたら卵が割れていた。

そこにひとがたのゾンビみたいなのが立っていて、

こちらを凝視している。

ホラー映画かなにかかよ。

暑さによる幻なのだと信じたい。

なんなんだよアレ。

熱と唸り声は、明らかにあのゾンビもどきが放ってる。

このままじゃ殺される。




1月1日

いやあ、年も開けたということで実にめでたい。

なぜか虫たちは当然のように穴の壁を這い上がり、

今俺の足元にうじゃうじゃいる。

なぜか食われないが、

そろそろだぞ、と予告されている気がしてならない。

外の吹雪は強く、

このままじゃどちらにせよ俺は死ぬのだろう。

机の引き出しからいつぞやの聖書を見つけた。

今まで神なんぞバカにしてきたが、

今なら気持ちがわかる気がする。




1月2日

俺は今日の夜死ぬ。

なんとなくわかるんだ。

吹雪の中逃げ回ろうと、ここで虫たちと戯れてようと、

どちらにせよあいつに殺されるんだとわかるんだ。

まさかただの業務日誌が、遺書になるなんて思わなかった。

なあ、今日、1月2日ってのは特別な日なんだ。

高校の頃、美咲ってやつと笑いあった日。

いくら惚れていたとはいえ、

たかがちょっと雑談しただけの日。

でも、あの日が人生で一番幸せだった。

その後告って振られて、

就職も上手くいかなくて。

パチンコにはまって、こんな形で死ぬハメになっちまった。

でも、今日というこの日まで生きれて良かった。

じゃあな。























「よし、と…日記はこんなもんでいいかな」


「本を落として拾おうと梯子かけたら虫がそれ伝って逃げちまうし」


「イラついて卵を蹴ったら粉々に割れちまうし」


「それを職員のやろうに言ったらブチギレてくるし」


「カチンと来て殴ったら動かなくなるしよ…散々だわ」


「職員の身体はバラバラに切り刻んだし、これで俺の死体と思うはず」


「あー日誌の日付間違えてる…まあいいか」


「歩いて帰るか。吹雪なんてもとからないしな。」






おわり

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