進化したタワーマンションは、〇〇〇〇〇〇〇と区別がつかない。
「今日も雲一つ見えないいい天気だ」
男は30年ローンで買って昨日引っ越してきたばかりの
タワーマンションの一室のカーテンを開き空を見た。
「さぁ急がないと、エレベータに乗り遅れて遅刻するぞー」
男は手早く着替えるとエレベータルームに向かった。
『現在、超特急エレベータ、特急エレベータともに障害のため運休しております。
各階停車の通常エレベータをご利用ください。』
これはまずい!!
10000階ごとにしか止らない超特急に乗り換えてもマンション直結のJRの駅まで2時間かかるのに
通常エレベータでは、丸2日はかかってしまって遅刻だ!!
「ここは諦めて高いけど軌道タクシーを使うしかないか・・・」
男は100階層上の軌道タクシー乗り場に向かった。
「結局ここに来るのに30分以上かかったが、降りるだけなら格安だからなんとかなる・・?」
『現在、ケスラーシンドローム発生中のため、軌道タクシーは運行を停止しております。』
「え?ここまで来てそれかよ・・・」
男は諦めて自室に戻った。
会社には電話を入れ、リモートワークで対応させてもらうことにした。
「流石に安かったとはいえ、44444階の部屋はダメだなあ」
炊飯器でご飯を炊こうとしたら、気圧が低いせいか炊けず。
カップラーメンを作ろうとお湯を沸かすも、沸点が下がっているせいで
カップラーメンもできず。
「確かに、雲ひとつない眺望と言うのは嘘じゃないけどダメだなぁ? あれ何か飛んで・・・」
ピシッ・・・
進化したタワーマンションは軌道エレベータと区別がつかない 完