表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

プロローグ

お祖父様が死んだ。

 お祖父さまは生前に遺言状を遺してた。

 それが一周忌の親戚一同が集まる席で発表される。


「ワシには心残りがある。それは可愛い孫息子の女子高校生姿が見れなかったことじゃ」


「ん?」


「は?」


「え?」


 親戚一同絶句した。


「その可愛い孫息子とは他でもない。月丘祈莉、祈莉のことじゃ」


 月丘祈莉つきおかいのり

 僕のことだった。


「祈莉はワシの悲願である女子高校生制服に身を包み、女子高校生のまま学園生活を送ってくれ」


「親父……そんな悲願があったのか」


 月丘長男一家の正造せいぞうおじさんは至極真面目に泣きながら呟いた。

 いや、おかしいだろ。

 泣きたいのは僕の方なんですけど!?


「無事、祈莉が女子高校生のまま学園生活を全うしたら財産は全て、祈莉に相続するものとする。失敗した場合は兄弟それぞれ好きにするがいい」


「……ふざけてます?」


「祈莉くん、信じられないかもしれないが全て真実だ」


 遺言状を読み上げていた正造さんは僕に遺言状をチラッと見せた。

 間違いなく書かれてた。悲しい。


「祈莉くん、女装、できるのか?」


「無理です」


 正造伯父さんは真顔で言った。

 それを僕は即答した。


「そうか……だが頼む!」


「はい?」


「亡くなった親父の遺言なんだ! 頼む!」


「えぇ……」


 正造伯父さんは泣きながら土下座した。

 僕は動揺した。

 親戚一同も真面目な顔だった。

 どうやら信じられないけど、僕は女装して春からの高校生活を迎えないといけないらしい。

 死んだ祖父の遺言によって。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ