表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
役に立つかもしれない!? ~異世界開発ベンチャー企業論~  作者: imuran
新商品(新ルート)開発編
8/27

園田さんと名刺

 ドキドキドキ

 あぁ緊張してきた。


 打ち合わせのメールから数日後、

今日はM&Pの晩羽さんが、打ち合わせで来ます。

ゴーレム建設の石さんは、別の日です。


「ちょっと落ち着いてください」


園田さんが、こっちを見ている。


「いや、でももうきちゃいますよ」

「まだ30分前ですよ」

「そうですけどー」


 心の準備が、

 ガイドでお客様の前に立つのとは、

 また違った緊張感が、


 受付のチャイムが鳴り、アルバイトの八木さんが、

お客様を、打ち合わせ室に案内し、オフィスにかえってきました。


「さぁ、行きますよ」

「は、はい!」


 園田さんが立ち上がり、

私も立ち上がる。

おぼつかない足取りに見かねた園田さんが、

私に語り掛けてきました。


「打ち合わせってね?」

「はい?」

「元は楽器の演奏で、太鼓等のリズムを合わせるため、"打ち"合わせるというところから、来ている言葉なの」

「へぇーそうなんですか」

「落ち着いた?」


 え、今の雑学でですか?

 どうして落ち着くと思ったんですか!

 おやじか!


 でも、園田さんなりに緊張をほぐしてくれようと、考えてくれたんだと、嬉しくなりました。


 優しい!


 廊下を渡り、ドアをノック。

 扉を開けて入った先には。

 

 黒いスーツに黒い帽子、色白で細身の男性が立っていました。


「どうも!初めまして、マオウ&パートナーズの晩羽<ばんぱ>です」

「初めまして、綾部です」


 "ちょうだいいたします"と名刺交換をした後、園田さんが雑談を始めました。


「お久しぶりです、お日様大丈夫でした?」

「園田さんお久しぶりです、いやー傘ささないと解けてしまいますわ」


 知り合いなんだ、

 あ、ばんぱってヴァンパイアか!

 そういえば牙が見える。


「えっとー綾部さんは、初めましてですね 見ての通りの吸血鬼です!」

「よ、よろしくお願いします」


 いや見てもわかんないし!

 実物見たことないし!

 って実物だったわ!

 混乱してきた。


「ウチは人材派遣の会社をしとります、代表はマオウいいましてね?」

「マオウさんですか?」

「今は人間もモンスターもノーサイドやさかいに、幅広い人材を派遣させていただいてます。」

「へえぇー ノーサイドなんですね」

「そうなんですよ!なんでー吸血鬼も人間襲って血吸うたりしません、まぁ人が汗水流して働いたお金から、手数料すこーし頂戴してご飯食べてますんで、ある意味血吸うて生きてるようなもんですかね、汗と血は成分同じや、言いますしね?」

「は、はぁ」


 よくしゃべるなぁ

 小顔目指してるのかな?


「ほな、さっそくプラン見せてもらいましょか」


 私たちは、今作っているダンジョンの計画を話ました。


「うーん、なるほどですね、なるほどですねー 分かりました!」

「どうでしょう?いい人いますか?」

「ウチに任しといてください、先祖がダンジョン出身のモンスターいますよー、具体的なプラン頂けたら、さっそく見積もり上げますわ」

「ざっくりで構いませんけど、いくらぐらいですか?」

「うーん、こんなもんちゃいますかね?」


 園田さんは電卓の画面を見せられていました。

 いまちょっと目がピクっとしたような?


「まぁ、ざっくりと なんでね? でもこれいいですねぇ ツアー客増えるんちゃいます?」

「そうねぇ、そうだといいんですけど、しかし、異世界も人件費は高いわね」

「あっちもあっちで、最低賃金上がっとりますからね、まぁ自分とこで雇うて、育ててーするよりかは、ウチに任せてもろたほうが、リスクも少ないし安い思いますわ。」


 まぁよく口の回る。

 私は、隣で二人の会話をふんふん聞いていました。


「ほな、決まりましたら、詳しい内容をメールしてください、すぐに見積もり送りますんで。」

「分かりました」

「じゃ、今日はこれで持ち帰らさせて頂きます。」

「ありがとうございました」


 晩羽さんは帰っていきました。

 窓から下を見ると、


「おお、傘さしてるさしてる!」

「目立つわよね、あの人」


 すごく目立っていた。


「綾部さん、打ち合わせはどうだった?」

「なんというか、普通?というか、構えてた割には拍子抜けというか」

「何か特別な事してるわけじゃないわ、人と会話しただけだったでしょ?」

「はい」

「相手も人だからね、向こうだって多少は緊張してたと思うわ」

 

 そうなのかな?

 そうは見えなかったけど。

 でもそう思うと、少し次回からは気が楽になる気がする。


「そうだ、園田さんは頂いた名刺は、ケースに入れているんですか?」

「いいえ?私はすぐに電子化して、スマホに入れているから、捨てるか、まとめてしまっているわね」

「ええ、そうなんですか」

「もう名刺アプリの時代よ?」


 がっくり 

 私の名刺・・・捨てちゃうかな 晩羽さん

 初めて交換したのに。


「ほら、私の名刺と交換しましょう」


 園田さんが、自分の名刺を私にくれました。

 私も、自分の名刺を園田さんに渡しました。


「これは捨てないで持っててあげるから、ね?」

「あ、ありがとうございます!」


 やっぱり優しい!

 園田さんが居てくれてよかったと

 心から思いました。

現在、名刺管理アプリがいくつかありますが、

結局まだまだ紙の名刺は現役です。

頂いた名刺は、スキャンしてアプリに取り込みます。

そして紙の名刺が、机の引き出しに溜まっていきます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ