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役に立つかもしれない!? ~異世界開発ベンチャー企業論~  作者: imuran
新商品(新ルート)開発編
14/27

私と2人

「おはようございます」

「おはようございます」

「本日から、入社致しました、大月鈴です、よろしくお願い致します」

「本日から、入社致しました、若松繭美です、よろしくお願い致します」


 面接から数日後、2人とも採用になり、無事入社となりました。

 今日は、2人の初日、朝礼で2人が挨拶をしたところです。

 オフィスで社長がしゃべり始めます。


「はい、じゃあ皆さん色々と教えてあげてくださいね」

「はーい」

「それじゃあ2人と仁和さんは社長室に来てください」


 お嬢様2人と仁和さんは、社長室に行きました。

 

 大月さん、明らかに社長を見てびっくりしてたね

 まぁ気持ちは分かる。

 若松さんは、あんまり驚いていないというか、

 顔に出ないタイプっぽい。


「結局、2人雇っちゃいましたね?」


 園田さんに問いかける。


「そうね、まぁ仁和さんが言うんだから大丈夫なんでしょう」

「園田さんって、結構仁和さん信頼してますよね」

「私もあの人の後輩だからね」

「じゃあ、園田さんもガイドできるんですか?」

「出来るわよ?以前仁和さんがどうしても出勤できない時は、私がやっていたわ」

「えーーー!見たい!見たいです!ガイドされたいです!」

「ふふ、事務員雇えば一緒に仕事できるかもしれないわね」

「募集しましょうよ!」

「うーん人件費がね?」

「そうですね……」


 ジンケンヒ? 園田さんのガイド姿より高いのか?

 やっぱり2人のうち1人事務員にするべきか?


 ガチャっと社長室の扉が開き、3人出てきました。

 3人は私の前で止まり、仁和さんが。


「はい、2人の先輩の綾部あおのちゃんです!分からないことは、あおのちゃんに何でも聞いてね」

「先輩、よろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いいたします、先輩」

「はい!」


 可愛い!無理!2人とも後輩にするんだい!

 頑張って稼いで、事務員は別で雇おうと決めました。


 3人は一通り全員に挨拶をすると、会議室に入っていきました。

 たぶん色々と、書くものがあるんだと思います。

 入社関係のやつですね。


 ところでさっきから、何かが引っかかってるんだけど、

 こう、喉の奥に魚の小骨が有るような。

 なんだっけなぁ、さっき何か気になることを聞いたような。

 3人そろって私のところに来た時、

 

 "分からないことは、あおのちゃんになんでも聞いてね"

 これだ!

 眼鏡が要るかもしれない!

 説明用の伊達眼鏡ですよ!なんかみんな持ってるし。

 伊達眼鏡って眼鏡屋さんで買えるのかな?

 眼鏡屋さんで伊達眼鏡くださいって言ったら、怒られたりしません?

 "すみません、伊達眼鏡ください!あと領収書ください。"

 ほう、臆せずに注文するとは、なかなか骨のあるヤツ!

 小骨なら喉に刺さってますよってね。


 今日は早めに仕事は終わり、2人の歓迎会があります。

 まぁ近所の居酒屋さんです。

 

「居酒屋さんで大丈夫?」

 

 仁和さんが尋ねる。


「はい、ありがとうございます、行ってみたかったので」

「それは良かった」


 うーん良い子達だ。

 歓迎会で2人の事が少し分かってきました。

 大月鈴ちゃんは、元気で誰とでも明るくしゃべられる、人懐っこいタイプ

 若松繭美ちゃんは、おとなしい感じで、表情があまり表にでないタイプ

 

 この歓迎会で、もっと仲良くなりたいね。

 好きなものとか知りたいし、

 お嬢様は何を注文するんだろうか。

 とりあえず私は、お魚以外を注文しようかな。



 次の日

 朝、出勤すると、もう2人は来ていました。


 私も遅刻はしないし、余裕もって早めに出勤するタイプなんだけど、

 この私より早いとは……やりおる!


「おはようございます、早いねー2人とも」

「おはようございます」

「おはようございます」


 元気な声とおとなしい声が聞こえた。

 すると大月さんが寄ってきて、私に尋ねました。


「ところで先輩、ルートもバスも1つなのにこんなにスタッフいるんですか?」

「ふふん、実はねぇルートもバスも増える予定なんだよ!」

「へえぇー どんなルートですか?」

「ダンジョンと火山だよ 今のルートとはまた違った、異世界っぽい景色が見られるよ」

「すごーい、そんなの作れるんですか?」

「そうそう、異世界の業者さんとやり取りしてね?つくってる最中だよー」

「費用どれぐらいかかるんですか?」

「詳しい費用は、園田さんに聞くといいよー」

「分かりました、先輩ありがとうございます」

「いいえ!いつでも聞いてね」


 メモまで取っちゃって、

 可愛いし、勉強熱心だわ!


 一方若松さんは、自分の席で始業まで読書していました。

 私が質問攻めにあってる時に、チラチラこっちを見てた気もします。


 若松さんも可愛いんだよね、和風で、綺麗な黒髪、

 すごく撫でたい。

 あ、思い出した。

 若松さんの既視感の正体、

 私が子供のころに持ってた人形にそっくりだわ。

 どうりで撫でたい衝動に駆られるわけだ。

 ……もうちょっと仲良くなったら、撫でていいか聞いてみよう。


 大月さんは、持ち前の人懐っこさで、いろんな人に色々聞いて回っています。

 仕事に早く慣れたいのかな、真面目な子だなー。



 ある日、大月さんと私と仁和さんの3人でガイドの練習をしていました。

 仁和さんも凄く可愛がって色々と教えています。

 そんな時、仁和さんの電話が鳴りました。


「はいもしもし、はい、はい、ええ!?かしこまりました」

「どうしたんですか?」

「ごめーん、火山ルートの件でゴレ建さんと打ち合わせ、今日なの忘れてた」

「えぇ!?」

「ちょっと行ってくるから、2人は練習しててねー」

「はい」

「はーい」


 仁和さんは、飛んでいきました。


「先輩!ゴレ建って?」

「ゴーレム建設だね、向こうの会社だよ」

「そうなんですね、付き合い長い会社ですか?」

「うーん分かんない、私も入社して半年ぐらいだしね」

「……えっ?」


 なんかびっくりしてるなぁ。

 そんな驚くこと言ったかなあ


「先輩が一人でガイド行かないのって、ひょっとして?」

「あーうん、添乗員の資格まだ持ってないんだよね」

「はぁ~~~~~」


 大月さんは呆れたような声で、


「なぁーんだぁ、じゃあ先輩に教わることはもうないですね」

「えぇ!?どうしたの急に」

「どうしたのじゃないですよ、資格も無いし、しかも半年前入社ってほとんど同期じゃない!」

「そだね?」

「呆れた、私が仁和さんに習っているときは、邪魔しないでくださいね?」


 そんな時ちょうど、仁和さんが帰ってきました。


「やーやーおまたせ、すぐ終わったよー」

「あ、仁和先輩! 教えてくださーい」

「教えましょう!」


 むむ、態度がコロっと変わったぞ!

 ほんとに猫みたいだなぁ。

 別に教わることはないとか、言われたのはどうでもいいんだけど、

 目の前で仁和さんを独り占めされてるのは納得いかない!


「仁和さん!私にも教えて教えてー」

「わわっどうしたの2人とも急に!」

「ちょっと!私の方が先に聞いてるんですけど!?」

「仲いいねぇ、2人とも!お姉さんもやる気だしちゃうぞ」

「お願いします!」

「お願いしまーす!」


 フシャーーーっとこっちを威嚇してる、

 猫か!?

 いやー全然怖くないしむしろ可愛い。

 大月ちゃんのフワフワした髪も撫でたいなぁ。


 大月さんの威嚇を流しながら、練習からオフィスに帰ってきました。


 このメンタル最強のあおのさんに挑もうなんて、まだまだだぜ子猫ちゃん。


 席に着いて一息ついていると、珍しく若松さんが私の前に来ました。


「あ、あの先輩?」

「どうしたの?若松さん」

「あ、あの、えっと、何かありました?」

「ん?」


 何かって何だろう、大月さんがこっちに威嚇してるのに気が付いたのかな?


「あの、先輩の表情が、その、ちょっと曇ってたような、気がして」


 声がフェードアウトしていってますけど?

 別に曇るようなことでもないんだけど、色々と言われたのが、実は内心ショックだったのかな?

 自分が気が付いていないだけで。

 というか優しくない? 惚れそう。


「大丈夫だよーありがとう」


 若松さんは、少し微笑みました。


 やばいめっちゃ可愛い、普段表情変わらない分、破壊力が。

 撫でたい、いやもう連れて帰りたい。

 !余計なことを思いついた!


「うーんやっぱり元気ないー 髪撫でていい?撫でたら元気でるからー」


 超棒読み。

 

「え、は、はい…… それで先輩の元気が出るなら……」

「ありがとう!」


 さわさわ もふもふ

 はぁーーーーーーー最高の触り心地。

 若松さんちょっと赤くなってるし 可愛い。

 連れて帰って、一緒にお風呂はいって一緒に寝たい。


 私は、今日色々あったおかげで、我慢できなくなってきました。

 私は、若松さんをモフモフするのを止めました。


「先輩?」

「ありがとうね」


 わたしはフラフラと大月さんの席までいきました。

 帰宅の準備をしていた、大月さんが聞いてきました。


「な、なによ?」

「大月さん、いや鈴ちゃん!」

「はぁ~急に名前で呼ばないでよ」

「髪もふもふさせて?」

「嫌です!」

「私はね?鈴ちゃん、おかずを食べると、おなじだけご飯を食べたいんだよ」

「はぁ?」

「パーカーから出てる紐は、両方同じ長さじゃないと気が済まないんだよ、つまりバランスが必要なんだ」

「何言ってるの?」

「繭ちゃんをモフったら!同じだけ鈴ちゃんもモフらないと気が済まない! モフらせろーーー!」

「いやーーーーーー!来ないでよ!」

「まてーーーー!」


 仁和さんと園田さんが笑っています。


「あら、あの二人いつのまにあんなに仲良く?」

「かわいい子いっぱいで賑やかになったねー京子ちゃん」


 その日から、鈴ちゃんとは、仁和さんを取り合うライバルになりました。

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