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役に立つかもしれない!? ~異世界開発ベンチャー企業論~  作者: imuran
新商品(新ルート)開発編
11/27

私とテスト

「えぇ!?後輩ができるんですか?」

「そう!求人を出しましょう」


 仁和さんのおおきな声が、本社に響く。

 仁和さんは、背も高いので声がよく聞こえます。


「ルートが増えると、将来バスも増やして、2台で別ルートにいけたら効率良いと思わない?」

「それはそうですね」

「そのためにも、今からどんどん募集していきましょう!」


 しかし、もう後輩かぁ。

 私、まだ入社して数か月なんですけど。

 それって、ほとんど同期なのでは?


「どんな人雇うんですか?」

「とりあえずガイドさん1人は欲しいわね、あと、京子ちゃんの下に1人欲しいね」

「ガイドさんと事務員さんですね」

「元気で可愛い娘がいいわね!」

「ガイドさんですか?」

「両方よ?」

「好みですか?」

「好みよ?」


 好みかい!

 まぁガイドは接客業だしね。

 元気なほうがいいよね


「というわけで、私は今から求人の会社にいってきます!」

「はい」

「なので、あおのちゃんは、京子ちゃんに面接のマニュアルとテストを貰っといてね」

「分かりました」


 テスト?


「あおのちゃんも面接するんだから、読んどいてね?」

「ええ、私も面接するんですか!?」

「大丈夫大丈夫!やってみよう!」

「え、される方じゃなくて、する方ですか?」

「そう、される方じゃなくて、する方!じゃ、行ってきまーす!」


 仁和さんは、ピューっと飛んでいきました。

 相変わらずのナポレオンっぷりです。


 しかし、面接かぁ。

 そういえば私、ここの面接受けてなかった。


 とりあえず、困ったときは園田さんに相談だ!

 なんだか最近こんな流れが多い気がする。


「園田さーん!」

「はいはい、どうしました?」

「仁和さんから、面接マニュアルとテストを受け取っておくように、言われたんですけど」

「ちょっとまって下さいね」


 園田さんは、綺麗に整理された棚から、ファイルを抜き出し、

 中のマニュアルとテストをくれました。


 背表紙つけて、ぴっちり並んでいる。

 仁和さんの棚とは大違いだなぁ。


「マニュアルも必要ならコピーしてください、テストもコピーして使ってください」

「ありがとうございます!」

「あぁそれと、テストの答えはマニュアルに載っているんだけど」


 園田さんは、少しだけニヤっと笑ったような気がしました。


「答えを見る前に、やってみますか?テスト」

「え、いいんですかー?どんなテストなんですか?」

「一般常識よ?」

「やりましょう」


 一般常識とか、余裕ですよ!

 どんと来い!


 テストはA4用紙2枚分で、時間も30分ほどで終わる物でした。


「はい、スタート」


 ふむふむ、漢字の読み書きや、簡単な英語 アメリカ大統領の名前。

 いける。


 ~30分後。


「はい、終わりね、どうだった?」

「え、えっとー80点ぐらいじゃないかなーと」


 実際には、分かりそうで分からない、ギリギリな問題でした。

 私のテストを、園田さんが採点しています。


「はい、80点ですね」

「80点、ってどうなんですか?」

「結構良い方よ」

「やった! みんなは、何点だったんですか?」

「私は90点だったわね、仁和さんは100点だったわ」

「えぇ、仁和さんすごくないですか?」

「あの人はすごいのよ」


 うーん自信あったのに!


 私が、多く間違えた部分は、漢字を書くテストでした。


「今、漢字は読めても、書けない人が増えてますよね、スマホやPCの普及で」

「そうね、増えるのは仕方のないことだと思うわ」


 読めるけど描けないって不思議だよね。


「やっぱり、点数低いと面接落ちちゃうんですか?」

「これだけで判断はしないけれどね、このテストは、満点は難しく作ってあるのよ」

「どういうことですか?」

「時間をどうやって使うか?も見てるということよ、まだ解けてない人に、延長しますか?と尋ねるのも興味深いと思うわ」


 そんなことまで考えてやってるんですか、

 私の意見で、人の進路まで決まっちゃうかもしれないとか、

 なんというか。


「うーん、面接する自信なくなってきました」

「まぁ、そこまで考えてやらない人もいるわよ、仁和さんはフィーリングで決めちゃうんだけどね、あなたの時がまさにそれよ」

「面接された覚えはないですよお」

「説明会で、なにか感じたんじゃないかしら?」


 そんなんでいいんだ。


「ところであのテスト、仁和さん以外に満点っていないんですか?」

「みたことないわね、もしいたら、とりあえず雇っとけばいいんじゃないかしら?天才かも知れないわよ」

「天才ですか」

「仁和さんが増えるかもしれないわね」


 それは大変だ。


「よく、面接は第一印象で決まる! というけれど、経験上これは間違いないわね」

「やっぱりそうなんですか?」

「ビジネスマナー、とかテスト、というよりは、最初の笑顔だったり清潔さだったり、がほとんどね」

「そんなものなんですね」

「逆に第一印象最悪で、後で持ち直して採用したパターンなんて、ほぼ聞いたことないわ」

「でしょうねー」

「まぁ何回かやってると、この人かな?ってなるものよ」

「運命の出会い、みたいな感じですかね!?」

「そうね、そしてこの人と思ったら、すぐに決めた方がいいわ、良いと思った人は他の企業の採用担当も、良いって思ってるに違いないから」

「わかりました!」


 うーん採用も大変なんだなーと

 考えていると、仁和さんがもう会社に帰ってきていました。


「求人広告お願いしてきたよ、来週から掲載だから、よろしくね」


 本当にやること早いなぁ 早くて 速い。

 1日の消費カロリーとか、高そう。

 まさか、それがあのスタイルの秘訣か?


「どこで見られるんですか?その求人」


 なんて書いてあるのか見てみたい。


 添乗員募集。異世界経験者優遇

 旅程管理主任者 有資格者優遇

 経験、能力に応じて初月から月給UPも!?

 異世界観光最先端で能力を生かしてみませんか?

 みたいな?


「ふつうに情報誌とネットだよ」

「ふつうに載ってるんですね」

「でもほら、異世界に耐性がある人しか見えなくなってるから」

「それ、どういう仕組みなんですか?魔法ですか?」

「うーんよく知らない!」


 知らないんかい


「だから、募集くるまで、結構かかると思うよ」

「いつも応募の電話は、どのぐらいで来るんですか?」

「半月ぐらいかなぁ、ちょっと忘れたころに1件とかだね」


 なるほどなぁ

 だから、早め早めなのね 

 後輩、ちょっと期待してたのに。


「この件に関しては、気長に待ちましょう」

「はい」

「さ!ほかにもやることはあるからね、いい先輩になるためにもがんばろー!」

「おー」


 次の日

 いつも通り、遅刻することも無く、少し早めに私は出社。

 オフィスの扉を開けて、おはようございまーす!と元気に挨拶しました。


「どうしようあおのちゃん!」


 いつも一番に会社に来ている仁和さんが、慌てていました。


「どうしたんですか?」

「ネットに応募が来てるんだよー!」


 なにをそんなに慌てることを。

 たまたま一人、条件の合う人がいたんでしょう。


「半月に1人でしたっけ、まぁ1人ぐらいたまたま条件の合う人が見てたんじゃないですか?」

「ううん、それがね?2人なんだよ、応募」


 異世界耐性フィルター 効いて無くない?

 製造元はどこだー!

敬語や言葉遣いや仕草は、お金をかけないで自分を着飾れる、唯一の物です。

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