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役に立つかもしれない!? ~異世界開発ベンチャー企業論~  作者: imuran
新商品(新ルート)開発編
10/27

八木さんと予算

「暗いですね」

「やっぱりそうですか?」

「真っ暗だと思いますね」


 お昼過ぎ、本社の打ち合わせ室で、私と石さんは相談しています。

今日は、園田さんは別のお仕事なので、一人で応対しています。

漫画を参考に描き上げた、イメージノートを石さんに見せながら、感じていた疑問を石さんに投げかけます。


「ふつうに照明つけちゃうと、作り物っぽくないですか?」

「うーん物にもよりますね」

「いい方法あります?」

「たとえばそうですね、壁にコケを生やして、コケを光らせるとか」

「そんなことできるんですか?」

「できますよ、他にもこのノートにある~」


 石さんは、私のノートに描いてあるキノコを指さしながら、


「キノコを光らせるとか」

「いいですね!  光るキノコはダンジョンっぽくないですか?」

「ぽいかもしれないですね」


 結局、例の漫画を最新刊まで読破した私は、かなり具体的なイメージができていました。


 キノコは悪くないね、むしろかなり良い。

 さすがプロに相談してよかったなぁ。


「それってどういう仕組みなんですか?魔法とか?」

「いえ、普通に電気を仕込みます」

「そうなんですね」

「でも作るのには魔法を使います」

「おお、そういう魔法があるんですね」

「そうですね、詳しくは企業秘密ですけど」


 じゃあ作ってるとこは見られないのかな。

 ちょっと残念。


「あとすみません、地底湖とか、ダンジョン内に滝とか作れませんか?」

「作れますよ、どんなイメージですか?」

「一番奥までいくと、天井が開いていて、そこに光がさしていて、湖とお花があるといいんですけど」

「なるほどですね、できますよ」

「ありがとうございます、冒険もいいんですけど、私は景色を作りたいんですよね」

「観光ですもんね、休憩所みたいなイメージですか?」

「そうです!そこで絶対必要な物があるんですよ」

「なんでしょう?」

「お手洗いです!」

「分かりました、景色になじむデザインにしときますね」


 話が早い!


「そうしましたら、一度帰って、図面と見積もりを送りますね」

「ありがとうございます、お願いします」


 それでは失礼します。

 と石さんは帰っていきました。

 私は自分の席にもどり、資料を整理していました。


「あおのちゃん、お疲れ様!どんな感じ?」

「あ、仁和さん!順調ですよー もうすぐ見積もりと図面が来ます」

「そうなんだー、よく頑張ってるね」

「園田さんのおかげですよ」

「うんうん、京子ちゃんは頼りがいあるでしょ?」

「おんぶにだっこです!」


 二人でふふふっと笑い、私も質問を返します。


「仁和さんの火山はどうですか?」

「うん、こっちももうすぐ図面と見積もりがくるよ」

「楽しみですね!」

「そうねーあおのちゃんの考えたダンジョン!楽しみだわ」


 一応、完成までお互いに図面は見ないという約束をしています。


「図面のチェックが終わって、正式に発注したら、あとはほとんど完成まで待つだけだからね、今の間に次の事しよっか」

「そうなんですね」

「うん、まずは社長に、銀行からお金を借りてきてもらいましょう」

「え、社長そんなことできるんですか?」

「出来るわよ、社長をなんだと思ってるの?」


 仁和さんは、ケラケラ笑いながら聞いてくる。

 何って、何だろう、手足の生えた毛玉にしか見えないんだけど。


「毛利社長はね、銀行からお金を借りるのが得意なんだよー?」

「ええ!?そうなんですか?」

「うんうん、そんなわけで、準備をしましょう」

「はい!」

「あおのちゃんは、八木ちゃんにBS出してもらってて」

「分かりました」


 そっかぁ、もうダンジョンはほぼやることないのか。

 もっとこう、現場に行って色々指示出したりとか、

 工事のヘルメットかぶって、作ってる最中とか見たかったかも。

 そういえば、工事ヘルメットって異世界でもあるのかな?

 普通のやつだと、角生えた人とかかぶれないよね?

 気になってきた。


 余計なことを考えながら、アルバイトの八木ちゃんの席へ向かいました。

いつもながらふわふわとした髪に、可愛い服とスカート、ネイルには星が飛んでいる。


「八木ちゃん、八木ちゃん!うわ、スカート可愛い!」

「ふふん、でっしょー?」


 本題の前にちょっと雑談を少々。


「でー用事があったんじゃ?」

「あ、そうだった、仁和さんが社長が銀行からお金借りるから、BSだしといてーって」

「オッケーでーす」

「よろしくねー」


 しまったな、工事が気になって聞くのを忘れていた。

 仁和さんどこか行っちゃったし、八木ちゃんに聞いてみようかな。


「ところでBSって何?」

「バラスンシートですよー」


 というと、可愛いケースから眼鏡を出してきて、説明しだしました。

 八木!おまえもか!


「BSとはバランスシート、日本語だと、貸借対照表のことですねー」

「たいしゃくたいしょうひょう?」

「うん、言いにくいからBSって呼ばれることが多いよ、BSは会社に入ったら、結構よく聞く言葉だの一つだよ」

「そういえば聞いたことあるかも」

「まぁ簡単に言うと、その時点での会社の財政がどんなものかを見るための、資料の一つですね」

「なんだか難しそうだわ」

「銀行さんは、この会社ってちゃんとお金あるの?とか、この収益でちゃんとお金返せるの?とかをBS等の資料を参考に、判断するんですよー」

「ふむふむ」

「今は名前を覚えておくぐらいでいいと思いますよー、詳しく説明すると夜になっちゃうからね」

「分かった!ありがとうね」


 まぁ、内容は理解していないけどね。

 しかしこの会社は、眼鏡かけないと説明できないのか!


 私はBSのお願いを八木ちゃんにして来たことを、仁和さんに報告にいきました。


「ありがとう!じゃあ、私たちはさらに次の事をやりましょう!」

「はい!なんでしょう?」


 もうなんでもどーんとこい!


「求人と面接だよ!」

「そ、それは?」

「あおのちゃんの後輩を募集しよう!」

BSは、あくまで判断材料の一つです。

他にもPL(損益計算書)であったり、色々なものを複合的に判断されます。

ところで、バランスシート ってスマホでうつと、予測変換に貸借対照表が出てきました。

最近のスマホはすごいですね。

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