4-1. 手記 5
手記、その五
証言者 ロック・テリブル議員
俺は彼女を支持するけどな。
確かに彼女のせいで国は傾いた。半壊したといってもいい。
だが、それだって見えていなかった膿が出ただけだろう?
王家はずっと真実を隠していた。自分だけに利益が生まれるように仕組んでいやがったんだ。
汚いものは最初からあったのさ。それを暴いたせいで確かに国は揺れに揺れたが、だからといって彼女を悪く言うのは、少し違うだろう。むしろよくやってくれたよ。
例えば、バレンシア・グレイストーンの件だよな。俺はあの時も議会に出ていたが、ひでえもんだった。あの内容でグレイストーン家が許されるわけがねえ。議長もグルだったってことだな。
後は、魔術研究所の件もそうだ。あんたもわかってるだろうが、王国は裏でとんでもねえ研究を行ってたんだ。人を人とも思ってない扱いがあってなお、王国に恭順してるやつは脳無しでしかねえ。彼女が燃やしてくれて本当に良かったよ。
彼女はなあ、そんな腐った国に鉄槌を噛まそうとしたんだ。
俺は何度も彼女を目にしてる。何度も話したさ。
あの子は、天使だよ。
曲がったことが許せない正義感なのさ。
不正ばかりの世の中から、俺たちを救ってくれたんだ。
何度も言うが、俺は彼女を支持する。捕まえられたって止めるつもりはない。
何も考えずに石を投げつけるようなやつは、ぜったいに許さないね。