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真夜中の寺
李が酒店で食事をしていると客が吸血鬼の噂話を始めた。
満月の夜、宣教師の姿をして現れ、家に音なく入り込み、狙った人の生き血を吸うという。血を吸われた人も吸血鬼になるという。
「隣街の人間は殆ど吸血鬼だとよ」
「そんなバカな事あるまい」
「いや本当だと言う。坊主が見てきたとサ」
李は話を聞きながら夜、街に出て、散歩してみようと思った。
仮眠をして真夜中、李は起き出して酒店を出た。
街外れの寺に行くと灯りが点いていた。
李が中を覗くと僧が一人座っていた。
僧は気配に気ずき後ろを振り返った。
李は家の中に入った。
「お前さん。吸血鬼をお探しかい」僧が言った。
「はい」と李は答えた。
「では、街の教会に夜、行ってみるとよい」僧が言った。
「昼間行きましたが」
「昼間じゃ駄目だ。夜だよ。真夜中にね」
僧は言って部屋の奥に入って行った。
李は寺を離れ街に戻った。
街に着くと教会に向かった。