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吸血鬼か?
教会では讃美歌を皆で合唱するなど不穏な様子はなかった。
李は宿に戻り、夕暮れ時、丘の上の教会へ出発した。
夕陽が李の白い上衣を紅く染める。
教会に着く頃、すっかり辺りは暗くなっていた。
李は中の様子を窺った。
人気は感じ取れなかった。
用心深く扉を開ける。
中には誰もいなかった。
中に入って歩く。
ギシッギシッと床が音を立てる。
ぽつぽつと雨が降ってきた。
雷が鳴り、稲光が走る。
雨が窓を叩きつけた。
バギッと音を立て床から男が現れた。
青白い顔をして目と鼻と口から血を流している。
李の額から汗が流れ落ちる。
男は李に近ずいて来る。
李が棍で叩いても男は動じない。
李の首を掴み掛かって来た。