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魔王を討伐した少女は次代女神に指名されたようです  作者: 橘葵
第一章 始まりは突然に
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服が決まった!

「これは結構迷うなー……」


エレナは、一応自分が着てみたいと思っている服のスタイルは頭の中にあるが、想像以上に服の種類があったので気迷ってしまう。


「私にも見せてよ――!」

「嫌ですよ。リナさんになら見せてもいいかなって思うんですけど」


 エレナのシスティへの評価がガクッと落ちたためか、エレナはあまりシスティを信頼していないかのそぶりを見せる。


「でも、やっぱり今の私の格好だとこういうのしか似合わないかな……」


 と言って、エレナは少しフリルのついている、フォーマルドレスのような水色の服を指さす。


「振り振りは、タイプじゃないと思うんだ。ちょっとシンプル目が、エレナに似合う、です」

「確かに私は振り振りは絶対に合わないって思って生きてきたんですけど、今の私の顔だと似合うんじゃないかなって思ったんです。まあ、出来るだけ私も着たくないって思ってるんですけど」


 エレナの言動に矛盾が生じる。

 先輩とのこう言った慣れない会話に、エレナは少し戸惑っているようだ。

リナは、そんな少し慌てている様子のエレナに、何も言わず、


「エレナの性格に、それは似合わないと思ってる、です。いくら可愛い服着てても、性格に合ってなかったら台無しになる、です」

「まあ、そうですよねー」


 エレナは、リナの言った言葉にふむふむと納得する。

そう言って二人で会話をしていると、システィが口を挟んできた。


「私にも見せてよ―ー! っていうか、私勝手に見ちゃうからね!」


 と言って、今エレナ達が話していた服の詳細表示されたページを覗きこむ。


「これいいじゃん。エレナに絶対似合うよー」

「……あの、さっきそれは着ないって決めたところなんですけど……」


 あまりにも斜め上から来た感想に、エレナとリナは驚く。


「システィ、あんたバカなのか、です」

「馬鹿じゃないし――!ただちょっと人より記憶力がないだけだし――!」

「それ馬鹿って事になると思いますよ」


 やはり、システィは何かの間違いで出来たアホの子女神のようだとエレナははっきりと感じた。

さすがに、今の会話は聞いていたと思いたいのだが、システィの事だ。ボーっとしていたせいで頓珍漢な感想を言ってしまったのかもしれない。


「リナさんのおかげでちょっと考えがまとまってきた気がします。ありがとうございます」

「私は関係なかったわけ――?」

「あなたには言ってません」


 聞いていないのも困りどころだが、口を挟まれるのもまた面倒なものなのだなとエレナは思う。

リナもそんなシスティの様子に、少し引いているようだった。


「システィさー、最近会ってなかったからちょっとひどくなってるかも、です」

「ひどくなってないし―。むしろ好転してる、的な?」

「さすがにそれはないと思いたいんですけどね……」


 なかなか話が進まないが、エレナはずっと三人で会話をしながらも、タブレットに目を落としている。

そろそろ、エレナ好みのものが見つかり始めてもいいころなはずなのだが……


「リナさん、私をちょっとコーディネートしてくれませんか?」

「別にいいけど、大丈夫か、です。後悔するぞ」

「でも一応は服、後からでも変えられますよね……?」


 リナの言い方に違和感をお感じたエレナが、即座に質問する。

後で後悔したくないからか、それともシスティと同じような道を歩みたくないからか、それは誰にもわからない。


「こいつみたいになったら、一生変えられんかも、です。そんなことはないと思うが」

「確かに、それは慎重になる必要性がありますね……」

「何で私がこいつ呼ばわりされなきゃいけないの?リナほんと嫌い」

「嫌いで結構、です。というか、馴れ馴れしくされるとこっちが嫌いになる、です」


 リナの辛辣な物言いに、システィは涙目になる。

エレナは、いつもこんな感じだったのか……と、リナに同情する。


「あ……これにしたい!」

「どれです?」


 エレナが、突然何かを閃いたかのように声を上げる。

そうして、自分の理想と合っている服に指をさしている。


「この服が私、凄い好みなんですけど、リナさんはどう思います?」

「それ、エレナらしくて凄いいいと思う、です。自信持って」


「じゃあ、これで決定でいいですか?靴とかは特になしって感じなんですか?」

「それは勝手についてくるから安心していい、です」


 不安の種は即座に潰していこうとするエレナに、リナはピッタリのようだ。

そういってから、エレナは決定ボタンを押した。



 魔法少女の変身シーンのようなエフェクトの後、エレナはれっきとした女神に姿を変えていた。

きらびやかではないものの、少し落ち着いたドレスを身にまとい、頭には宝石をかたどったアクセサリーが付いている。そこから髪は一つに結いあげられており、エレナはとても大人っぽく、そして神々しさを身にまとっていた。


「ここって全身鏡とかってあったりしません? 自分の姿がすっごい気になるんですけど」

「そんなもの出す力、私にはない。帰ってから見たらいいと思う、です」

「だいじょーぶ。エレナは十分可愛いから。この私が保証してあげる」

「結構不安になるんですけどね……まあ期待せずに自分の部屋で鏡見ます」


 エレナは、システィの言った事が本当なのか嘘なのかが分からず、かなり混乱しているようで、なかなか信じられなかった。

 その点、リナの指示は的確で、この人にならついていけるという思いが湧いてくる。口調は独特だが。


「じゃあ、私エレナの部屋までついて行くから」

「そうしてくれると助かります。でも今度は歩いてくださいね。私走る事あんまり好きじゃないんで」

「大丈夫さー。ちょっとフロアの紹介しなきゃだから」

「覚えといてくださいね、その事」


 フロアの紹介をしてくれるというシスティに、少し頼もしさは感じたものの、またすぐに忘れられて別の話にすり替えられるという事を考えると、その頼もしさも微妙になってくる。

 エレナは、無駄になるとは思うがシスティに釘を刺し、リナに一礼し、白い部屋を去る。


「で、このフロアの紹介をお願いします。私まだ訳のわからない事多すぎるんで」

「んとね、このフロアは女神たちの雑談部屋ー。」

「何で真っ白なんですか。目が痛くなりますよ。」


 女神たちの雑談部屋にしてはやけに色が少ないと感じたエレナは、無駄かもしれないがシスティに質問した。

 さっきリナに質問しておいたほうがよかったのかもしれない。


「まあ、ここ外の光入らないからねー。何とかして明るくしなきゃと考えた結果がこれになるんだよ」

「でも高性能ライトありますよね」

「……ここができた時そんなものあったかどうかわからないし?」

「あっ、そうでしたね。ここって百年単位で時が流れていく感じですし」


 エレナが、システィに向かって理解できない返事を返す。

エレナは何かを話す時、いつも伝えたい事がうまく伝わらない言い方をするという悪い癖がある。

今まではその癖はあまり気にならなかったのだが、先輩と話す時は少し気になってしまう。


「で、何でここに服とか顔が変えられるタブレットがあるんですか」

「あれはなんでも出来るからね。ゲームとかも出来るんだよー」

「それ結構凄くないですか」

「まあ、ここに地球とつながってる人が来てからだよ。こう言うハイテクな物が増えたのは」


 エレナは、システィがさらっと漏らした驚愕の事実に驚く。

まさか、地球からも女神に選出されている人がいるのか。


「あの……その人の出身国とかって分かったりします?」

「聞いたけど忘れた」

「あーーそうでしたね! 記憶力がないってのを忘れてました」

「忘れてくれてていいのに……」


 エレナは、もしかして日本出身なのではないか、と期待をかけたのだが、システィに求めるには難易度が高すぎたようだ。


「ま、じゃあこのフロア……というよりも、建物について詳しく教えてください」

「はーい」





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