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愚劣な科学者の重力理論  作者: kjkjpw
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1つの始まり

 人は誰しも真実を知りたがる。


 例えどんな残酷で酷い結末があろうと、

 そこに真実があるなら、人は求め続ける。


 なぜなら、そこに答えがあるから。

人間は自分が弱いと知っているからこそ、武器を、神を、創造して来た。


  有りもしない神というなの者に、祈りを捧げ、無駄な事をする。


 戦場ではそんな事は何の意味もないというのに.....


ーー昔、二度に渡る世界的な戦争が起きた。

 その戦争の終結後、過ちを繰り返さないように、人は努力し、歴史を積み重ねて平和を守り続けてきた。


 しかしそれを無駄になるような出来事があるとしたら、普通、人はどうするだろうか。


 もちろん、止めようとするだろう....。


 しかし、誰もがそんな事になるとは思わなかった。


    バタフライ効果というのを知っているか?


   日本で蝶が羽ばたいた風がアメリカで竜巻になる、

 どんな些細な事でさえ、引き起こす結果がどんな事になるか分からない。

 もしそんな事を実行出来る人間がいたら、そんな事を予測出来る者がいたら、その人は文字通り神なのだから....




 「な...なんだこれは」

 1人の科学者が中学生が書いたばかりの論文を読んでいた。


  彼は驚いていた、この論文の内容は今までの常識からすれば到底考えられないような事が書いてあった。


  内容は人工的に重力発生させる理論が書かれた論文。


   過去歴史上初めて重力の存在を提唱したのはニュートンである。


 ニュートンは重力の概念を明らかにさせ、それ自体の存在を明確に表した。


 しかしこれには加速による重力発生に付いての存在がなかった。

  その理論を補うように次に提唱されたのがアインシュタインの相対性理論。


  これにより、現代分明の基礎が生まれ社会の発展に貢献してきた。

  この二つの理論は2047年現在まで検証され続けて、その正当性を証明されている。

  しかし何故、100年以上立った今 未だに検証が行なわれ続けているのか。

  それは間違いと考えるよりむしろ最終的な説明になりうれないと彼らは確信しているからである。


 そこに、三番目の新たな理論が誕生したのだ。


 驚くなと言うほうが無理である。


「こんな事あり得るのだろうか....」

 もしこの紙に書いてある事が本当ならば、人類史に名を残すほど重大な発見だ。


  しかし、これを書いたあの子は中学生....幾ら何でもこれはありえない。

  こんな事が可能なはずはない。


 (多分どこかの文章を適当に組み合わせて書いてるだけだろう.......)


 そう思って突き返した。


  昨日、家でお祝いのパーティを開こうと思い、久しぶりに日本に帰ってきた親友を呼んで一緒に楽しもうと招待した。

 その時に見た彼のあの姿はとても無邪気に笑ってこんな事を書けるような賢い子供には見えなかった。


   家に遊びに来た時は私に見て欲しいと頼まれたが、その時はただの創作の文章だと思っていた、しかし実際読んでみるとあまりに衝撃的でとても信じられなかった。


  だからその日にすぐ返した、

自分には判断出来なかったからだ。


彼は何も言わず残念そうに、去っていった。


  そして月日が流れる事1ヶ月立った頃の朝ニュースを見るとそこには聞いたことのある名前が乗っている事に気が付いた。

 ふと見てみると、

先月、追い返したばかりの少年の名前が乗っていた。

  記事には「天才少年 アメリカからオファー!」と銘打たれていた。


 読んでみるとそこにはこう書かれていた、

「僅か16歳の水落一成は重力生成理論を提唱、アメリカのヴィクトリア大学から直々のオファーが来る!」


  まさか断ったあの子が、アメリカの有名研究所からオファーされるとは....

やっちまったなあと後悔していた。


   それからというもの、彼は日を追う事に目覚ましい活躍を見せるようになった。



「7月28日重力生成理論 正当性が証明

日本人初ノーベル賞受賞」


「8月20日 放射能無害化技術を確率」


「9月15日物質重量変換を発見」


  凄いな....早いスピードでどんどん快挙を成し遂げて行くなんてまるで第二のニュートンだな


「まあ、何時までも驚いてもてても仕方ないし出掛けるか」

そういって彼は、無造作に新聞を机に置いて

帽子を被り雨の降る繁華街に向かった。


----それから2年後


 ここは2045年の日本 ひっそりとそびえ立つビルの中、屋上。

 混雑する交通網に苛立ちを見せる自動車がこれでもかと言わんばかりにクラクションを鳴らしている。 道行く人々は照りつける太陽の暑さに気分を重くしながら彷徨っているようにも見える。


 高く聳え立つ高層ビル群に囲まれたこの場所は、一昔前に建てられ、今では見る影もなくなったこの錆びれ、忘れ去られた廃ビルの、酸性雨で溶けゴミだらけになった屋上の床を久しぶりに踏む者たちがいた。

このビルも今では見る影も無くなくった。


 しばらくの沈黙がお互いの言葉を出すのを抑えつける。 一瞬の沈黙だったのか長く続いたのかは定かではない。 ただ、そこにあったのは高々とどこまでも続く青い海と空。

 そして冬の到来を知らせる冷たい風だけだった。


 どちらも無言で何も話そうとしていないが、科学者は気まずそうな顔をしていた。

「どうした、そんな深刻そうな顔をして」

「いや、なんでもない」

  どうやら何か悩みでもあると言わんばかりに目を逸らし、言葉を濁す。


  影は2つ。 一人は如何にも科学者、という様な風貌をしている。科学者の名前は水落一成。 白い作業服はシワだらけで、風が吹く度にバサバサと揺れている。顔はやつれていて、髪の毛はボサボサ。 髭の処理もしておらず目には隈ができている。

もう1人はよく分からない、人ごみの雑多の中を歩いていても目立たないような服装だ。

身長が高く金髪で、言ってしまえばモデルのような女だ。 


 2人は酸性雨で錆びがつき、風化した屋上のお世辞にも機能を果たしてるとは言えない手すりの辺りにまで歩を進め、道行く人々を見下ろしている。


「で、その顔を見るに悩み事があるのだろう?」


 アルベルトは彫りの深い顔を水落の方へ向け言えと目で語りかける。じっと見られていた水落が観念したように大きくため息を吐いたあと、目を細め声を震わせながらしわがれた声で話し始めた。


「今・・・世界中を巻き込んでいる大戦のことで・・・ちょっとな」 水落は申し訳なさそうな、取り返しのつかないことをしてしまった時の子供の様な表情をしている。

アルベルトは大戦、という言葉を耳にしてやはりか、と目を鋭くさせるが少し同情したような声色でゆっくりと口をあけた。


「あれはお前がやったことじゃない、お前のやったことは人類にとって大きな発展だったんだ。それが――戦争にしか使えない連中の手に渡ったのが問題なんだ・・・だからお前は悪く―――」

ガン、と大きな金属音がすぐ傍で鳴り、アルベルトは一瞬肩を強張らせるが、隣を見ると水落が両手を手すりに叩きつけていたのを見て、肩の力を抜く。


「違う・・・結局は、私が作り出してしまった。放射能を無効化できるなんていう、とんでもない技術を、いや・・・核爆弾を、ただの巨大な爆弾にしてしまう技術、とでも言うべきか」

ハッ、と鼻を鳴らし自虐的に嘲笑する水落をアルベルトは掛ける言葉が見つからない、と言った様子で眺めていた。

アルベルトは黙って次の言葉を待つことにした。今アルベルトにできるのは、この男の苦悩を吐かせてやることだけだと決めたのだ。それを悟ったかのように水落がまた言葉を紡ぐ。

「電磁パルスも無効化した、いやしてしまった。抑止力としての存在価値が薄れてしまった。だがそれだけならまだ、盆に水が溜まっているだけだ。溢れてはいない」

それでも、と水落は続ける。


「だが、その核すら....子供のオモチャにもならない程度の物になってしまったら、どうする?」

この迫力こそ、今を作り出した男の本来の気迫とでも言うのだろうか。アルベルトは冷や汗を流しつつも水落の言葉に反応した。


「おい、どういうことだ」


待て、それを聞くな。言わせるな。水落の首を絞めてでも良い、黙らせろ。 アルベルトの中に声が響く。言わせてはならない、と本能が囁く。しかしもう声は出てしまった。体は強張っていて、息ができなくなるような錯覚に陥る。冷や汗が出て、喉が渇く。 最悪の展開がアルベルトの脳内に浮かび上がる。 水落はそんなアルベルトの様子を気に掛ける様子もなく、ただ淡々と言った。


「なに、簡単なことだった。もはや核の重要部分は全て死んでいる。それどころかもはや放射能は有害ではなくなった。だからこそ、とでも言えようか。私の出した理論の全ては、副産物で出来ている。今までも、これからも」


水落はその重要な言葉を、ただアルベルトにだけ言った。 それを聞いた途端、アルベルトの顔から血の気が引き、膝をついてしまった。 アルベルトは震える声で、水落に言う。

「お前は、なんてことを―――」 アルベルトは怯え、水落の目には狂気が宿っていた。 先ほどまでの水落は、見る影もなかった。 

彼は

この第三次世界大戦が起こるきっかけを作った人物だ 、2年前 放射能を完全に無効化する技術を確率し、さらには人工的に重力を作り出す理論を提唱した人物だ。


のちにこの理論は水落理論と呼ばれる事になる


この技術によって核はただの巨大な爆弾と変わり

核爆発による電磁パルスもこの男が作った理論の応用よって、無効化され核の脅威は薄れてしまった。


私はふと疑問に思い聞いた

「しかし、それだけでは核の脅威は薄れたとはいえ 爆発力が生きている以上 大量破壊兵器としての価値がまだ残ってるんじゃないのか?」


「確かに、それだけならまだ抑止力としての価値は存在する」


しかし、核さえも防ぐ事の出来る兵器を彼は生み出したという。


いわゆる天才というのだろうか、この男は数々の技術や理論を作り、またそれを作るのを趣味にしてる変人だ。

世間では世界中の科学者の憧れともなってる人物ではあるが、実際近くで見て見るとまるで子供のような顔付きでそうは見えない。 人は見た目によらないな

とこの時私はそう強く感じた。


私は難しい事は分からない馬鹿ではあるが、

流石に、いくら凄い技術を確率させたとしても、分野が違う技術に応用で活かせるはずがないと思っていた。


しかし彼が言うには、物事に絶対など存在しない、分野やジャンルなどで区別し先入観を強く持つ人間は考える事はおろか、想像する事さえ出来ないだろうと



それに、彼はこの技術を単独で考案し編み出したという訳でもないらしい。

しかし

放射能の問題を僅か1ヶ月でクリアし、電磁パルスについてもさほどかからなかったと言う、一番の難点は爆発の無効化にあったという。


そんな偉業を僅か3ヶ月でしかも、全部の問題点を解決すると言う奇跡のような事を起こして見せた、

そんな彼に憧れて私も一度話をしてみたいと思った。


彼はよく謙遜というか、それくらいの事で憧れられるのを不思議がっていた。


そして、その彼が話すには、自分でもたかがこれくらいの理論だけで、変えられると思わなかったという、というのも悪魔でも理論、

たかが中学生、たかが子供。


そういう気持ちが日本の学会にあったのか日本の研究者はまともに相手はしなかったらしい

というのも、

それまで実績のなかった彼は、まだ欠陥的で穴だらけのこの提唱に受け入れるとは彼自身も思っていなかったという。


 彼に聞いた時、私はこんな事をつぶやいた。

「よくこんな理論思いついたな」と


 そうしたら、まるでそれは当たり前の事を話しているかのように彼は淡々と言う。

  「簡単な事だよ、電磁パルスを防ぐ技術はすでにあるし、放射能に関してはそれを分解して、栄養とする微生物がすでに存在する。俺はその仕組みを解析したに過ぎないと、爆発の無害化は理論の応用の実験による副産物の結果産まれた物だ」と言った。


 しかしこの理論に大量に核兵器を持つロシアとアメリカが反応し、

 莫大な報酬と地位を約束すると両方から打診があったらしい。 そこでロシアの誘いを断り、アメリカで理論を元に研究をしたら、副産物を偶然発見したという。


 それのおかげで僅か18才でノーベル賞を受賞し、研究所の所長を務めるまで出世したという。

 まだ理論を提唱する前の水落一成は普通の学生で、高校一年生だったのが1年後にはノーベル賞を受賞、さらにもう1年後では研究所の所長。


   現在では、世界的権威の科学者としても名前を残す事になったという。

  そういうのは漫画の中の世界だけだと思っていた。本当に驚いた


 そういや後で調べて分かった事だが電話レンジもレーザー開発での副産物として産まれた技術で出来た事を知った。

  この男と一緒にいると常識と言う物はあってないような物だと感じる。


  そしてこの天才が生み出した数々の理論や技術が、

 結果として、軍事的抑止力であった核が無意味になり、それまでの抑止力がなくなった事による、民族主義や帝国主義が復活し世界各国の小国同士の戦争が起こるようになってから、それに巻き込まれる形や介入する形で大国同士の戦争が勃発する事になった。







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