第一話
第一章 消しゴムの角
夏休みが終わり、新学期がくる。高校生活3年目ともなれば、学校に通うこと自体がマンネリ化するのも仕方ないことだと思う。
外からはうるさく暑苦しい蝉時雨。まだ夏なんだなぁ……と感じさせてくれる鳴き声。
ーーそんな声を聞きながら俺は新学期のHRを迎えていた。
今日は朝から気分が良かった。文房具を一新したのである!中でも消しゴムを変えた時のあの気分の良さと言ったら極上ものだ。新品特有の手触り、匂い、そして角が残っているレアな感じがたまらない。そんなことを考え、1人悦にひたる。
…そんなときに悲劇は突然やってくる。
「隼!ちょっと借りる!!」
隣に座ってた桜枝真愛に俺の消しゴムをひょいと取られてしまった。「消しゴムを借りる」と言われた、ということは…そりゃもうアレしかないだろう……
つ か わ れ る !
(やめろおおおおおおおおおおおうああああああああああああ!!!!! !)
俺は思わず心の中で叫んだッ!
紙に純白の消しゴムが降り立つ。その瞬間、消しゴムの角が……消えたッ!!
そう、間に合わなかったのだ……間に合わなかったのだ!!
あと、後一歩だった。後一歩で阻止できたのに……消しゴムの角の消滅を……。
第二章 魔法少女と俺
新品の消しゴムの角が今朝のHRで消滅しました。
……男友達の斎藤に使われてたらまだ怒りは抑えられただろう。
ただ、俺の消しゴムの角を使われた相手が真愛となると話は別だ。無性に腹が立つ。
HRが終わると同時に俺の怒りは有頂点に達した。
「クソ真愛ああああああっ!!!!」
勢いよく、力を拳に込めて真愛に殴りかかる。
「何!?」
ー真愛は状況を理解していない。
いや、今はそんなことはどうでもいい。
思いっきり俺は真愛に殴りかかった。
……はずだが。
ズガァッ!!
「だから何!?なんでおこってんの!」
受け止められた……!?いや、そんなはずはない。なにか強い力にはじき返された気がする。
「真愛!お前何した!!?」
「何って……防御魔法だよっ!」
何を言っているんだこいつ。わけがわからないよ!((
「隼!今まで黙ってたけど、わたし魔法少女なんだよっ!!」
わけがわからないよ!!((2回目))
こんなネタを交えながらも、マジで理解できない。脳の処理が追いついていない。魔法少女?こいつが?そもそも魔法少女ってなんだよ。
よく分からないが、腹が立つことには変わりない。今度こそ謝らせてやる。
それからしばらくの時間がたった気がする。
ガンッ!ガンッ!
いまだに、まるで歯が立たない。そもそも俺が幾度となく殴っても同じように跳ね返されてしまうのだ。
「なぜ……」
「それはわたしが魔法少女だからだよ!」
「どういうことだよ!!」
「今から見せてあげるよ!どういうことか!」
そう言うと、真愛の両肩の近くに一つずつ、魔法陣が現れた。
「えっ!?チョ!待って!!まっ!!ストップ!!ウェイト!!!!」
「ハァッ!!」
真愛が叫んだ途端、その二つの魔法陣から光速のレーザー(と呼んでいいのだろうか?)が俺めがけて飛んでくる。
「ウォッ!?」
俺、神回避。正直前転でよけれるとは思わなかった。
「どう?信じてくれたかしら?」
魔法とやらは信じれないが、こいつが危険だということはわかった。それにしても周りの時間が止まっている気もするが気の所為だろうか。はたまたこれもアイツの魔法とやらなのだろうか。
第三章 魔法少女って知ってる?
真愛に魔法とやらを見せられてから一週間が経った。あの後真愛とは一回も口をきいていない。
そんなことよりも、真愛相手におれの拳が効かなかった事の方がダメージが大きい。大きいぞ。
俺は真愛と喧嘩したあのあと、真愛に勝って、なんとしても消しゴムの角を勝手に使ったことを謝らせるために、日々悩み続けていた。
(うーん……拳ひとつでは勝てないのか……?足……?)
……zzz
「……ぉぃ…………おい!」
「!?」
マジで何事だよ!!
「隼!寝るな!!」
あぁ……やべえ。完全に意識吹っ飛んでた。それにしても可憐先生、声大き過ぎるわ……。可憐先生はスタイルのいい、男子から人気の(ドS)女教師だが、俺はあまり好いてはいない。なぜなら可憐先生、俺にばかり注意をしてくるのだ。注意される俺が悪いんだけれども。
その後も何回か注意され、考え事に集中できなかった。授業に集中しない俺が悪いんだけれども。
3時限目は科学か……。そう言えば科学で魔法と戦ってるライトノベルを見たことがある。科学で魔法に対抗はできるのだろうか。まあどっちみち科学の授業で、人が科学の力を使って電磁力でコイン飛ばしたりはしないから、魔法少女には対抗できないんだがな。
そもそも魔法少女ってのは一人しかいないのか?そんな疑問が頭をよぎった。当然そんなの魔法少女じゃない俺にはわからないことなのだが。
科学の授業は苦手なので、こう考え事があって授業時間を潰せるというのも幸せなことかもしれない。
「おい!海景~!」
こいつは俺の数少ない親友の斎藤。頭は弱いがいざというときに頭がキレる、頼りになる俺の唯一無二の親友だ。
「なんのようだ?」
「すまんがさっきの授業のノート貸してくんね?」
やばい。さっきの科学の授業、変なことばかり考えていてノートを執ることをすっかり忘れていた。
「す、すまん!俺もとってねえ!」
なんて日だ!!!あ、でも今日はこれくらいしか「なんて日だ!」が起こってないな。なんて日でもねえのか。
時は移り、放課後。部活を終え(俺は高3だが、高校と大学が一貫になっているので大学受験の必要はないのだ。当然みんなも大学受験の必要がないので部活は冬まで引退しないでできることになっていた。)帰路につこうと、俺が帰る支度をしている時だった。
「ねえ隼!授業、理解してる?」
ドSの可憐先生だった。どんな風の吹き回しだろうか。俺に親しげに話しかけてくることは滅多にないので少し嬉しかった。
「理解してますよ。ところでどうしてここに?」
「少し隼と話したいことがあってね。」
なんだろうか。すると先生は真剣な表情になってこう言った。
魔 法 少 女 っ て 知 っ て る ?
第四章 魔法少女ってなんだよ
「魔法少女って知ってる?」
可憐先生は確かに今こう言った。魔法少女の存在を知っているのか?俺の思考が数秒停止する。
「……魔法少女を知っているんですか?」
「ええ。」
何と言うことだろう。かなり身近な人に魔法少女を知っている人が居てしまった……。てか魔法少女って他人に知られてもいいものなのだろうか?
「魔法少女ってなんなんすか?」
俺が思ったありのままのことをぶつける。
「魔法少女はね、魔法が使えるのよ。あなたも見たでしょう?真愛ちゃんの魔法。」
「先生見てたんですか!?」
「ええ。時間を止めたのも私よ。何事もなかったかのように授業を再開させるためにね。」
予想外だった。俺はてっきり真愛が時間を止めたものだと思っていた。……時間を止めた……??ということは可憐先生も魔法少女なのだろうか……。魔法少女……ウッ……。
「それでね……言いにくいんだけれども……。」
可憐先生はまた真剣な表情になった。自然と俺も身構えてしまう。次はどんな事を言われるのだろう。ほんの少しの静寂が訪れる。
可憐先生が口を開いた。
「真愛を……暗殺して欲しいのよ」
わけがわからない。つまりそれはどういうことなのだろう。真愛を自らの手で消すということなのだろうが、その理由がわからない。
「……なぜ……なんでですか!!生徒を殺す?おかしいでしょう!!意味がわからないですよ!!」
「よくききなさい!!!!好きで殺すわけじゃないわ!このまま放っておくとこの世界はあの子に秘められた力によって壊されてしまうの!!これは世界を救うため、仕方ないことなのよ!!!」
珍しく先生が感情的になった。いきなりそんなことを言われてもわけがわからない。わからないんだ。世界を救うために俺が真愛を殺す?なぜ俺が?
「……魔法少女、全員が世界を滅ぼす存在なんですか……?」
「それは違うわ。あの子の力は特別なの」
それほどの力を一般人の俺がねじ伏せられると思っているのだろうか。
「まだ理解できなくて結構よ。いきなり言われてもそんなこと受け入れられるはずがないもの……。」
そんな、世界を滅ぼす存在って、魔法少女ってなんだよ。魔法を使えれば世界を滅ぼせるのか?そもそも魔法少女に対抗できるのは魔法少女だけじゃないのか?
「魔法少女って……誰でもなれるんすか?」
「魔法少女になれるだけの力があれば一般人でもなることは可能よ……ただ覚醒にはそれなりのリスクが伴うけどね。」
魔法少女は力があればなれる。なら、俺がそれだけの力をつければいい。人間を超える、人間の力をつければいい。
「俺、やります。魔法少女になって、真愛を救います。」
何言ってるんだ俺。
「救う?」
「魔法少女に魔法少女を仕留めるだけの力があれば救うことだって可能でしょう。」
自分でも何を言っているのかわからない。口が勝手に動く。これが俺が思っている本当の意思なのか?
「……やってみなさい。」
短くてすまん!微妙なところで終わってすまん!
早めの更新ペースを目指すんですまん!!!
学生なんで忙しいんだすまん!!
なら書くなよって話なんだが思いついてしまってスゲエ書きたかったんだすまん!!