表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

脳味噌

作者: 井ノ下功

 


暑さに負けた脳味噌が

頭蓋の中で腐っていく


味噌は腐っても“醗酵”と呼ばれ

美化されるというのに

脳味噌は腐っても不思議なことに

腐敗臭しかしないのだ


おそらく脳味噌は“NO”味噌で

すなわちこれは『味噌に非ず』なので

美化されることなく腐り落ちていくのだろう


しかし世の中には

『腐っても鯛』という言葉が存在し

たとえ腐っていたとしても

他の雑魚よりはマシだと語る


つまりそれは

天才の脳は腐ったとしても

馬鹿の脳よりはマシであると

そういうことか


そういうことなのか


だとすれば随分な言い様だ

馬鹿の脳味噌は

腐ってしまえばそこで終わりだ

救いようなどないと言うのか


しかしこれもまた世の中は語る

『肉は腐りかけが一番旨い』と

腐る直前の肉ほど柔らかく

旨いものは無いそうだ


つまりそれは

脳味噌は腐りかけが一番良い

腐る直前が一番よく働くと

そういうことか


そういうことなのか


追い詰められてそこで初めて

真価を発揮するのだろう

しかしそれは

天才でも馬鹿でも同じことだ


さて


ここで改めて

辞書でも引いてみようか


“味噌”が意味するところは何処にあるのか

ただ調味料だというだけではないだろう


定義のひとつに


『(調味料の)味噌に似たもの』


とあった


つまり脳味噌とは“NO”味噌『味噌に非ず』ではなくて

もともと

『味噌に似た形をした人間の中の器官』

という意味だったのだ


とんだ思い違いだったということか


やはりこれは

暑さに負けて脳味噌が腐ってしまった所為だろう


蠅が辺りを飛んでいる



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白いですね。 色んな言葉を用いて、脳味噌について語る。 独特な世界観に引き込まれました♪ 「馬鹿は救えない?」「腐りかけが一番?」一体どれが正しいんだ? でも、結局NO味…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ