⑦☆みまわりと怪しい船
ケルティムとノルンシェスは海岸沿いのみまわりをしていると怪しい船を発見して……。
あれからケルティムとノルンシェスは船着場から海岸沿いを南へ向かい歩いていた。
周囲には魔物らしい気配がない。
そのことについて二人は不思議に思っていた。
「魔物の調査って……全然みあたらないよ」
「な、なんでいないんだろうな?」
小首を傾げたあとケルティムは遠くへ視線を向ける。それと同時に、ジト目になった。
そう遠くに魔物の群れがみえたからである。
(間違いなく遠ざかってるね)
(ああ……なんで逃げる必要があるんだ?)
(知らない……でもあの様子だと、ボク達のことを怖がってるみたいだよ)
(……全く理解できねえ)
魔物達が怖がってる理由を理解できないケルドスとスイティム。ひたすら考えるも分からないため悩むのをやめた。
「これじゃ調査できないよ」
「調査できないと報酬ってもらえないのか?」
「多分もらえる。だけど変だって言われるかもしれない」
それを聞きケルティムは納得する。
「確かに変だよな。まるで、オレ達を避けてるみたいだ」
「んー……そうだとしたら恐らく、ケルティムのことが怖くて逃げてるんじゃないのかな?」
「はぁ……そんなまさか、な」
そう言いケルティムは顔をひきつらせながら苦笑した。
「絶対そうだよ! だって、あれだけのゴブリンを一瞬で倒しちゃったんだもの」
「あ、あれは……体が勝手に動いただけだ。なんで倒せたのか分からない」
これは嘘である。能力のことを追求されたくないため、そうケルティムは発言したのだ。
「戦い方の記憶も失ったってこと?」
「うん……多分そうだと思う」
「それなのに……凄いわ。やっぱり記憶をなくす前は強かったのよ。それも今以上だったと思うの」
目を輝かせノルンシェスは、ケルティムをみつめる。
「あ……うん、そうだったらいいだろうな」
そう言いケルティムは苦笑した。
そうこう話をしていると遠くの海岸沿いに船が停泊していることに気づき二人は立ちどまる。
「あれって船だよな?」
「うん、もう上陸したあとかもしれないわ」
「じゃあ、もう無理なのか?」
そう問われノルンシェスは首を横に振った。
「近くまで行って確認をしないと、なんとも言えないわ」
「まだ分からないなら……急ごう!」
「うん! 今なら間に合うかもしれないわね」
お互い見合い頷いたあと二人は船が停泊している場所まで急ぎ向かう。
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そばまでくるとケルティムとノルンシェスは船を見回した。
船は小型で二、三人のれる程度である。
「中に入ってみないと分からないわ」
「中に入るのか?」
「本当はその方がいいんだけど……勝手に入ったら、マズいと思うんだよね」
そう言われるもケルティムには理解できなかった。
「なんで入っちゃ、マズいんだ?」
「この船は他人の所有物だよ。勝手に入ったら私たちが犯罪者になっちゃう」
「なるほど……だけど、この船の所有者は正規な手続きをしないで島に上陸してるんだよな?」
そう聞かれノルンシェスは「なるほど」と言い頷き納得をする。
「じゃあ中に入ってみる?」
「そうしないと確認できないよな?」
コクッと頷くとノルンシェスは船の中へ入ろうとしケルティムもあとを追おうとした。
「おい、おめえら何もんだ! まさかワシの船を盗む気じゃねえよな?」
その声を聞きケルティムは振り返る。
そこには小太りで角の生えたような兜を被っている男が立っていた。
「お前の船なのか?」
船の持ち主に声をかけられたことでノルンシェスは顔をひきつらせ固まっている。
「ああ……そうだが」
「ここに船をとめて上陸しちゃ駄目なんだぞ」
真顔でケルティムは堂々と発言した。
「なるほど……おめえ面白えヤツだ。いや、そうハッキリ言われちゃ何も誤魔化せんわな」
「じゃあ不法で上陸したことを認めるのね?」
何もなかったかのようにノルンシェスはそう言い振り返る。
「まあ、ちょっと待て! そもそもワシは船着場を探しとっただけなんじゃ」
「探してたって……変よね? わざわざ上陸しなくてもみつけられるはず」
「普段ならそうする。だが船が故障して探すにも無理だ。だから上陸しちまった」
そう言われるもノルンシェスは目の前にいる男を信用できず疑っていた。
「船の故障か……それじゃ仕方ないよな」
「ケルティムは信用するの? この男の言ってることを」
「嘘ついてるようにみえないぞ。それに誤魔化すぐらいなら戦って逃げた方が早いと思う」
それを聞きノルンシェスは「それもそうね」と言い納得する。
「そういうこった。それより……おめえ達こそ何もんだ?」
「私たちは船着場を管理してる人から依頼されて、この辺を監視してるの」
「なるほど……じゃあ船着場のある所を知ってるんだな?」
そう問われケルティムとノルンシェスは、コクッと頷いた。
それを確認した目の前の男は船着場まで案内してくれと二人に頼み込んだ。
頼まれて二人は了承した。
その後ケルティムとノルンシェスは眼前の男を船着場へと案内する。
歩きながらケルティムとノルンシェスは男と自己紹介をし合った。
この男の名前はアルトン・リッセグ。見た目は三十代前半だが実際二十五で若い。ってことは老けてみえるってことだ。
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ケルティム達三人は話をしながら船着場までくると管理小屋へと入った。
小屋の中に入るなりケルティムとノルンシェスは、ゼルノンに戻って来た理由とアルトンのことを紹介する。そして何があったのかをゼルノンを交えて説明した。
「船の故障か……それで、ここまで辿り着けないから上陸したってことだな?」
「ああ、そういうこった。金ならある……だから正式に許可をもらいてえ」
「ああ、まあその前に船を……ここに持ってくるのが先だ。修理のできるヤツをよこすが、その費用と人件費はもらうぞ」
そう言い目の前に置いてある紙に金額を書き始める。
「この金額で納得できないようなら無理だ」
「船の管理費と上陸費を合わせて一万リング。修理費と人件費が一万五千リング。それらを合わせて二万五千リングか。思ったよりも安い……本当にいいのか?」
「そう思うなら、もっと吹っかけてもいいんだが」
そうそう、このリングとは円と同じような解釈だ。と適当なことを言っておくw
「あーそうだな……それでいいなら頼みてえ」
それを聞きゼルノンは、コクッと頷き立ち上がり振り返ったと同時に椅子に座って居眠りをしている男を「仕事しろ!?」と言い足蹴する。
その後ゼルノンから、タンゼムを連れてこいと指示を受け痩せ型の男は慌てて小屋を出ていった。
「行ったな。ここんとこ、たいした仕事がないせいか……みんなダレてて困ったもんだ。探せば掃除や何かやることはいくらでもあるんだが」
「そのせいか……ホコリぺえのは」
「ああ……そういう事だ。さてと今かいた紙にサインしてくれ」
そう言われアルトンは紙にサインをしたあと持っていた金を腰に下げているバッグから取り出して数え始める。
「一万リング札が二枚に五千リング札を一枚っと。これでいいんだろう?」
数えた金をゼルノンに渡したあと、アルトンは残りをバッグの中に入れた。
受けとったあとゼルノンは数えながら金が偽物か本物かの鑑定をし始める。
「間違いなく本物の紙の金だ」
「疑ってたのかよ」
「状況と身なりを見る限りじゃ……そうにしか思えないぞ」
そう言われアルトンは苦笑した。
その後ケルティムとノルンシェスは再び小屋を出て海岸沿いのみまわりを開始する。
かたやアルトンは小屋の中にある長椅子に座り、タンゼムのくるのを待っていたのだった。
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