②☆ドウデモ村と冒険者ギルド
ノルンシェスの案内でドウデモ村に来たケルティムは……。
ここは、ドウデモ村だ。小さな島にある村なので、たいして賑わっている訳でもない。
まあ偶に洞窟にくる者たちのために宿屋や商店[武器とか装備品、アイテムや食料品などを置いている店]と冒険者ギルドが小さいながらもある。
村は小さいながらも畑があって野菜などを栽培していた。それだけじゃなく海や川、森と洞窟が近くにあるので食べ物に困らない。
この村の出入口付近には、ケルティムとノルンシェスが居て話をしていた。
あれから三人は村に辿り着く間に度々ゴブリンと戦い森を抜ける。そしてここまで辿りついたのだ。
「ノルンシェス、ここがギルドなのか?」
「呼ぶときは、ノルンでいいわ。それと、ここはギルドじゃなくてドウデモ村よ」
「これが村か……」
そう言うとケルティムは周囲をみる。
(人間が話してた村って、こんなに小さかったんだな)
(ボクも、もっと大きいと思ってたよ。これなら洞窟の方が大きくて広いね)
そう脳内で話をしたあとケルティムは、ノルンシェスへ視線を向けた。
「まさか村を知らないの?」
「知らない……いや村については聞いたことがある。だが、もっと大きくって広いのかと思ってた」
「まあ……ここは他の大陸の村よりも、かなり小さいわね。だけど村をみたことがないって……ケルティムは、どんな所から来たのよ」
そう問われケルティムは、どう返答したらいいのか困る。
「…………そ、それは……あーそうそう。オレは洞窟の中で目覚めた。だけど、なんで寝てたのか覚えていないんだ」
「じゃあ何かがあって気絶した。その時に記憶の一部を失ったってことなの?」
「多分そうだと思う」
それを聞きノルンシェスは「なるほど」と納得した。
「じゃあ何も覚えてないのよね?」
「ああ……だけど自分の名前や戦い方……ある程度のことは記憶に残ってる」
「生まれ育った国のことは覚えてるの?」
話を聞いているうちにノルンシェスは、ケルティムを心配になり始める。
「オレの育った国?……そういえば思い出せない」
「そっかぁ……それって、これから大変よね。ギルドの登録できるかなぁ」
「分からないと駄目なのか?」
不安に思いケルティムは、ノルンシェスをみつめた。
「聞いてみないと分からないわ」
「じゃあ登録できる可能性はあるってことか?」
「うん……でも確率は、かなり低いんじゃないのかな」
下手に期待させない方がいいと思ったので、そうノルンシェスは言ったのである。
「そうか……でもダメ元で登録する。できなかったら諦めればいい」
「それでいいなら行きましょう」
そう言いノルンシェスはケルティムの手を取り「コッチよ」と駆け出した。
ケルティムは手を引っ張られて「待てって……」と言い躓きそうになりながら追いかけ走る。
★♧★♧★
ここは冒険者ギルドの中だ。
キョロキョロしながらケルティムは、ノルンシェスの後ろを歩いている。
(酒臭えな)
(うん、こんなに飲んで大丈夫なのかな?)
(さあな……駄目だから酔っ払って、テーブルの上にうつ伏せで寝てんだろ)
周囲には飲みつぶれた男女があちらこちらにいる。と言っても五人程度である。
受付のカウンターまでくるとノルンシェスは口を開いた。
「ゴブリンを倒したわよ」
カウンターの上に冒険者カードを置きノルンシェスは笑みを浮かべる。
「早かったわね。倒した証の闇魔水晶は持って来たのかしら?」
黄緑色の髪の受付嬢は、ノルンシェスを疑いの目でみた。
闇魔水晶とは魔物の体内に存在する魔水晶である。この魔水晶が魔物の命の源だ。
因みに魔族は人間のような心臓と闇魔水晶の両方とも体内にある。
そうそう……この受付嬢は、ラキセア・ヴルスト。ハーフエルフなので見た目は人間と変わらない。
歳は言わないでおこう。タダ言えるのは、みただけなら二十歳ぐらいで綺麗だ。
闇魔水晶をカウンターの上に、パラパラと置くとノルンシェスはドヤ顔でラキセアをみる。
「本物なのかしら?」
カウンターの上の闇魔水晶を手に取り、ラキセアは偽物じゃないのかと良くみた。
そのやりとりをみていたケルティムは怪訝な表情を浮かべている。
(闇魔水晶って、オレ達がゴブリン倒して手に入れたんだよな?)
(そうだね……でも、ノルンにあげちゃったし)
(それは分かってる。オレの言いたいのは、なんでノルンが倒したことになってんだ?)
顔をしかめてケルティムは、ノルンシェスの背中をみつめる。
(んー……理由は分からないけど。あの闇魔水晶を、あの女の人にみせた時点でノルンが倒したってことになるんじゃないかな)
(そんなことなら、あげなきゃよかった)
(でも、ボク達が持ってても意味ないよ。さっきのノルンの話だとギルドに登録してないと闇魔水晶を持ってても意味ないって言ってたしね)
それもそうだなとケルドスは納得した。
「はい……依頼料と闇魔水晶五十の交替料よ。それと今日の達成した依頼を冒険者カードに記載しておいたわ」
「でも凄いですよね。こんな小さなカードに受けた依頼や達成したのなんかを記載できるなんて」
「記載と言っても魔術を使って文字を書いたものをカードにおさめるだけなのですけどね」
それを聞きケルティムは驚いている。
(人間って凄い生き物だ。こんなもんを作れるんだからな)
(うん、そうだね。でも、どんな仕組みになってるんだろう?)
(聞いてみるか?)
(知りたいけど……変に思われるから、やめておいた方がいいと思うよ)
そう言われケルドスは「確かにな」と納得した。
「ラキセアさん……まだ闇魔水晶をみてるけど疑ってるの?」
「そうねえ……依頼料は払ったけど。どうしても気になるのよ」
そう言いラキセアは闇魔水晶を一つ摘みみている。
「確かに闇魔水晶には、ゴブリンの印である緑のツノが刻まれているわ。タダ……駆け出しのノルンシェスさんが、この短時間で五十体ものゴブリンを倒すなんて普通じゃないと思ったのよ」
「……そ、そうなんですか?」…… ――……(多すぎたのか……どうしよう今更ケルティムが倒したなんて言えないし)
そう思いノルンシェスは苦笑した。
「たまたま……そう! 偶然、倒せたのよ」
「偶然……どのようにかしら?」
そう問われノルンシェスは、なんて応えていいのか困りアタフタしている。
その様子をみてケルティムは気の毒で痛ましく思えてきた。
(なんだろう……この変な感情って)
(本当だな。今まで感じたことねえぞ)
本人たちには、この自分に湧き上がっている感情が理解できていないらしい。
「オレがみてた。逃げながらだったが短剣で斬ってたぞ」
心の赴くままにケルティムの口から、なぜかそう言葉が発せられる。
「目撃者がいたなら間違いないわね。ところで……貴方は?」
「あーそうだった! 森で出逢ったケルティムだよ。冒険者登録したいらしいから連れて来たの」
「そうなのね。随分と良い装備をしてるけど……名のある冒険者さんかしら?」
そう言いラキセアは酒に酔ったように頬を赤らめていた。
「いや、オレは……まだ冒険者になっていない……多分」
「多分って……どういう事かしら?」
「ケルティムは記憶が曖昧らしいの」
そう言いノルンシェスはケルティムへ視線を向ける。
「曖昧って……どんな風にですか?」
「覚えていることと……ないことがある」
「というと……一部の記憶がないのですね」
コクっと頷きケルティムは俯いた。そして、そのままの姿勢で経緯を説明する。……まあこれは嘘なのだが。
それを聞きラキセアは心配に思いケルティムをみつめた。
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