にじいろのわたぐも
美味しいお菓子に囲まれて過ごしてみたくはないですか?
私は囲まれたいです。
ふわふわの綿菓子が空を飛んでいる。
色んな形を取ってどこかへ流れていく。
小さな女の子が後ろをついて走り出す。
「待って待って〜!!」
追いかけて追いかけてやーっと追いついたと思ったら。
「あっ!!!」
また形を変えて逃げられる。
「今度こそ!」
思い切ってジャンプ!
そーっと手を開いてみると青色のクジラのクッキーが一つ。
「なぁんだ、クジラのくっきーかぁ。」
『なんだとはなんだ!』
「わぁ!喋った!」
コトコトカタカタ、手の中でクッキーが震える。
『僕だって十分美味しいけど…もしかして君は、珍しいものを食べたかったのかな?』
「そうなの!クジラのクッキーも大好きだけど、お父さんに聞いたの!ここの綿菓子雲の中には、にじいろ蛍のキャンディが入ってるのがあるって!」
『よく知ってるね!でも、その綿菓子雲は、にじいろの綿菓子なんだよ。もっとキラキラした場所に行かなくちゃ…!』
クジラのクッキーの頭から真っ白な砂糖の粉が吹き出した。
『今はあっちの方にいるみたい!僕が案内するよ!』
「くじらくん、ありがとう!」
女の子はクジラのクッキーに言われた通り、キラキラした場所を目掛けて突き進んだ。
林檎の木の森を抜けて、トロトロのカラメルの川を渡り、クッキーの家が並ぶ住宅街を突っ切って、氷砂糖の浮かぶコーヒーの海を横目に、ポップコーンの山の上まで辿り着く。
「『あっ!!!!』」
山頂から見えたのは、それはそれはカラフルなキャンディが実る果樹園だった。
「クジラくん!ありがとう!あのキャンディ畑の上に、ほら!!!」
『本当だ!』
「『にじいろのくも、みーつけた!』」
キラキラ光る虹色の綿菓子雲を捕まえようと助走をつけてひとっ飛び。
そーっと手のひらを開いてみると…
「やったー!にじいろの蛍キャンディだ!」
小さくてキラキラで虹色に光るキャンディを大事に大事にポケットに仕舞う。
「クジラくん、お父さんにもキャンディ見せるから、これは持って帰るね!本当にありがとう!」
青色のクジラの頭から真っ白な砂糖が噴き出した。




