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事のほうかい

遅くなってごめんなさい!!

それにつきます

そしてもう一言

完結へンは

多分夏になります(もう夏ですが)

それは

仲間内のサイト作成の事情なんですが本当にごめんなさい


「ぬーみん。おはよ! 」

「……おはよ」

「何元気なくしちゃったりしちゃってるのさ! まるで顔がモアイ像だよ」

「顔がモアイ像って失礼な! あんなに顔大きくないから!」

「よかった~、突っ込み担当いないとこの話成立しないからねぇ~。おっと、本職は語り手だっけ?」

「そうだよ!」

 もうテンション高すぎるよ。なんであんなことがあった後にこんなテンション保てるの? もう、すごく苛つくよ。見ててさ。だって、人が一人死んでいるんだよ? それを多分のみは知っていてその上でこのテンションだよ? ふざけないでって感じしない?

「怒んなくていいじゃん……」

「あっごめん」

 顔に出ちゃってたかな? だったらちょっと悪かったかも――。のみ、口調普通になっちゃってるし。しょぼくれちゃってるし。それだったらちょっと私にも罪悪感あったりするし。

「いいよ、謝らなくて。謝る必要なんてないから」

「うん……。たださ、私励まそうとしちゃってたんだよね。だって、ぬーみんは生で死体見ちゃったりしちゃったんでしょ? しかもクラスメイトの。昨日まで一緒に授業を受けちゃったりしちゃってたこの。だから、へこんでたら励まそうと思っちゃったんだよね。失敗しちゃったりしちゃったけど」

 あ――なんで私気づかなかったのかな。生って言う言い方はさすがになんか嫌だったけど、気遣いに気づけない私って……なんか酷い。悪いことしちゃったな。

「ご……」

「なんで謝っちゃうのよ!? 突っ込んでよ! 生って何さ不謹慎じゃんって! 突っ込んでくれないとぬーみんはぬーみんじゃなかったりする! 断言しちゃったりする! っていうか何この青春マッチョ苦戦的な会話! 嗚呼もう突っ込みいないからのりツッコミしちゃったじゃん! しかも一人で! ひどいよ!」

 のみがなんか怒っています。半径一メートル以内に近づいたら危険です。気をつけてください。――はい、ふざけ終了。

 だけどちょっと励まされちゃったな。こんなめちゃくちゃな会話なのに。

「なに黙っちゃってるのよ!」

「ごめんね!」

「ここは《ごめんねごめんねー》って言っちゃうところじゃん!」

「それは、ただのパクりだよ!」

「突っ込みの切れが甘くなっちゃったりしちゃっている」

「だから、七面鳥臭い!」

「それを言っちゃうなら七面倒臭い! 七面鳥臭いって言っちゃうのはクリスマスの日にめっちゃ金持ちだけがいえる言葉だったりしちゃったりしちゃうの」

「何が言いたいんだよ!」

 突っ込み最高。突っ込み再考。気分も最高。のみと話すと明るくなれる。葵の悲劇もわ……すれちゃ駄目だよ。どんなに楽しくても忘れちゃ駄目だよ。

「私じゃ、たりない?」

 心配そうに目を潤ませながらのみはきいてくる。充分に足りているけど、でも、のみはのみでしかないしこの前あったことは一時の楽しさで忘れちゃったりできない。わかってるよね。のみは頭いいから。だから、そういう質問をして欲しくなかったな。答えられないから。

 でも、本当に私顔にでやすいな。またきっと沈んだ顔してたんだろうな。

「たりない――か。だよねっ、死んじゃったら神様になっちゃったりしちゃうもんね」

「意味わかんないよ」

「引用。どっかの本からの引用だったりしちゃうの」

「へー、意味は?」

「わかんなかったりしちゃったりしなかったりしちゃう」

「どっちなんかい!」

 突っ込めたぁ~。しんみりした空気ぶっ壊せた。もう、しんみりした空気はあんまり好きになれないんだよね。悲しくなるから。

 そしたら、そう思っていたのを見透かしたようにのみも笑った。とても可愛い笑顔で、でも私は笑い返せなかったんだろうな。顔の筋肉がとても痛かった。

「お! ネオ。元気!」

 目の前にいたのみは入り口のところでその姿を見つけるか否や飛び上がった。満面の笑み。今の私じゃ到底作れそうじゃない笑み。ネオ君、来てくれてよかった。

 でも、

「ネオどうしちゃったの?」

 いつものジーンズのサロペット姿ののみはネオ君の方へ歩いて行く。けれど、そうしたとたんにネオ君は足の速さを変えた。いつもの二倍ぐらい。

「ちょっとまっちゃってよ、そっちはネオの席だったりしないでしょ」

 ネオ君の黒いポロシャツの背中に呼びかける。だけど

「ねぇ、挨拶ぐらいしてよ」

 ネオ君は私たちから遠ざかって行く。のみはもう追うのをあきらめたのかなんなのか足を止める。

「おはよ」

 ネオ君は一言そう言った。――私たち以外の誰かに向かって――

「無視しないでよ」

 のみはつぶやく、その顔はさっきまでの沈んだ顔。いつもの変な口癖まで忘れている。

「ネオ……しゃべろうよ」

 泣き出しそうな顔をしていた。声はもうかすれていた。気づけよネオ君。お前はこんな可愛い子から愛されているんだぞ。なのに無視するのか。現実を否定しようと必死なんだぞ。のみは。

「ネオ、無視しないで!」

 一段と強い口調、一瞬時が止まる。そんな気がした。のみは実は魔法使いで魔法の呪文を唱えると時をとめることができるみたいな。一瞬そんな感じがした。

 だけど、そんなんで時は止まらない。のみという一人の少女の一言で世界は止まったりしないし、その少女の涙でも世界は止まらない。

「ネオ! 私のこと嫌いになった!? 答えないのはヒキョウだよ! 答えてよ! 私を貶めても暴言でもなんでいいから答えてよ!」


「うるさい! だまれ! 人殺し!」


 今度こそ、時間が止まった。のみは涙を止め崩れ落ち、私は息をのんだまま動けなくなり、ネオは瞬きひとつしなかったし目もそらさなかった。周りのみんなはすぐにまた動き出したけど、私たちは凍りになったように動けない。

 そんな中、いつものようにチャイムは鳴り響いた。


          ◆            ◆           ◆


「…………」

 まったく会話が弾まない。やっぱりネオ君がいないからかな。今日は揚げパン+じゃこサラダ+味噌汁+フルーツゼリー+牛乳なんて言う久しぶりに豪華でおいしそうな給食だったのに、本当に味が感じられない。やっぱり心理的状況は味覚にも影響を及ぼすのか。のみも多分そんな状態なんだろう。うつむいて何かを考え込んでいるみたい。

 一方そのネオ君は楽しそうだった。四年生の奴らと話していて本当に楽しそう。何の話をしているのかちょっと聴き耳を立ててみるとアニメの話みたい。男子たちはやっぱ子供だなんて少女はつい考えてしまう。どっちにしろ強がりだけど。

 でも、何で葱が死んだあとなのにこんな元気に話して笑えるの? おかしいよ。葵の席の上にあった黒松の枝の入った小瓶をどけてその上に座って話せるなんておかしいよ。ネオ君……君が殺したんでしょ。なんで――さ。あーもう、事件の事は忘れよ。

「揚げパンってさ、都会の方の学校だとイチゴ味とチョコ味と砂糖味とって三つ味があったりしちゃったりしちゃうんだよね。ずるかったりしちゃうよね」

 苦し紛れのネタだった。っていうか、このタイミングで何で揚げパンの話? またまた元気づけようとしているんだと思うんだけど。会話がないから。まぁ、ただ単になんかしゃべらないとつまらないという理由なのかもしれないけど、それはどちらであってもどうでもいいような些細な問題。

 だけど、私はあんまりテンションが上がらないので、無感情に

「へぇー」

 っと一言言って会話を終わらせてしまった。のみ、ごめんね。

「ちょっと、盛り上がっちゃおうよ」

「盛り上がれないよ」

「じゃあ事件の話しちゃったりしようよ」

「もっと盛り上がれないよ」

 事件の話か。忘れようとしてたのに。まぁいい、どうせまた刑事が来たら思い出すんだし。でも、嫌だなぁ。

「ねぇねぇ、死体どんな感じだったりしちゃった?」

「そこからかい!」

 否まず死体の見た目から聞くのは確かにおかしくはないと思うよ。でも、仮にも給食中だぞ。そう言うえげつないようなグロテスクな話を聞いてはたして君は給食を平気で食べれるの? 否、蚤が食べれても少なくとも私は食べにくいぞ。

「駄目?」

「グロかった。これだけでいい?」

「駄目、もっとホラーな感じに食道管が何ちゃらかんちゃらみたいに言っちゃったりしちゃってよ~、ぬーみん」

「ごめん、食後でいい?」

「……分かった」

 っていうか、食道管がなんちゃらかんちゃらってなんかすごいよ。もうその一言だけでこっちは吐きそうだよ。普通に食べれるけど。あーもう給食がどんどんまずくなっていくよ。

「んじゃあ、死因は?」

「食後でいい?」

「……しょうがない」

 っていうか、何で食事中なのにグロ方面から攻めてくるんかい! のみ! あ、実はグロとかホラービデオ大好き人間とか? そんなにかわいいのにそうだったら彼氏ドン引きだな。ネオ君もドン引きだな。もっとも私はのみがネオ君に引かれようがどうなろうがどうでもいいけど。友達の恋の行く末は気にならないのさ! いぇい。

「んじゃぁー」

「嗚呼もういい。私から話すから――

 私はなんか気になってすごく嫌な予感がして葱の家に入ってみたの。そしたらすごく嫌なにおいがして、もしかしたらって思ったら……葱殺されてて。家族もろともみんなリビングで真っ赤に染め上げられていて……正直すごくこわかった。だから、そこにあった葱の家の電話使って警察に連絡入れたら警察が来て……って感じ」

「…………」

 思い出すだけで吐き気がした。給食はもう食べれそうもない。牛乳なんて飲んでしまったらおしまいだ。気持ち悪くなってトイレには気に行くのが落ち。そこまでの間ではく。

 そんな私の気持ちをくみ取ってかまたまたのみはうなだれてしまった。話さなければよかったかな。でも、話さないわけにはいかないし。のみ、実はナイーブ。

「それで、死体はどんな感じだったりしちゃったの?」

 訂正、のみは実にあっけらかんとしている。話したくないな、でも綺麗な二つの茶褐色の瞳がこっちを見ている限り、話さないわけにはいかない。だってかわいいんだもん。

「葱は……学校に着てきたTシャツと短パンのままの恰好で胸をナイフで刺されてて、ナイフはただの包丁でちょうど心臓のところを射抜いてて血があふれだしてて、さらにかすり傷の様なナイフの跡があって、そこからも血がぽとぽとと落ちてきていて……葱のお父さんは……」

「もういいから」

 はっきりとした強い声だった。

「もういいから、ありがとう。嫌なこと思い出させてごめん」

 そう一言言うとのみは食事に戻る。こんな話聞いた後で普通に給食食べているのみって……。


          ◆            ◆           ◆


「じゃあな」

 そう言ってまるでそこに私たちは存在しいていないように振り舞いながらネオ君は歩く。ネオ君とは結局今日会話を確りと成立させることが出来なかったと。はい、だけど諦める気なんて更々無いからね。ということで、教室を出たところで会話に持ち込むためにわざとぶつかる。

「あっごめん!」

「…………」

 スルーっすか!!

 こういう事態を想定して態々頭が腹にヒットする様にしたのに。そしたら痛くて無視できないかなと思って。っていうか、フェミニストのお前なら私を心配してくれるかなって思って。でも、スルーっすか。

「頭痛いよ~」

「…………」

 ひどいよ~。ここでもまた無視した。しかも、スタスタとやっぱりここに誰も存在しないような感じで歩いていきやがった。ひどいよー。キャラ潰す覚悟で《よ~》なんて言ったのに。またスルーするなんて。

「だから、あやみゃれょ」

「…………」

 うぅ、噛んでしまった。まぁ振り向いてくれたけど露骨に哀れみ視線って何よ! ツンデレ好みかなって思ってちょっと強気に出てみたのに……。

 もういいし、ぶつかった事なんて関係なしに話しかけてやる。

「ネオ君、ちょっと話そうよ」

「いいけど」

 ヌォー、こんなに簡単だったのか。最初から素直にこう言えば良かったのか。なんだ……今までの徒労。全て無駄じゃん。キャラまで潰したのに……。でも、そんなの気にしない。結果良ければ全てよし!

「でも、外でいい?」

「あっうん、なんで?」

 私の疑問を聞くと無言でネオは教室の方を指差す。あぁ、あいつ等が居るからか。はいはい、のみの仲間と話しているのを見られたくないと。はい、よぉーく分かりましたっと。

 と言うことで私達2人は無言で外に出ようと下駄箱の方に歩いていく。人が2人並んで歩いているというのにお喋りが無いというのは私にとっては本当に不思議。はい、どうせお喋り女ですよ。でもそういうのって全く暇で詰まんないんだよね。ということで、ネオ君を観察しよーう。

 えっと、今日の服装は黒ポロシャツ(長袖)と、ジーンズ生地のズボン(普通のジーパン)。髪の毛はこの前切ったのか短めだけどボサボサ。ついでに靴下はいるかガラで可愛い。そして、黒いランドセル。傷だらけ。表情は? うーん考え事をしている様だ。きっと私が話そうよって言った事について……だよね?

 なんて思っているうちに下駄箱のとことにとーちゃーく。幸い周りに人はなし。よかった、目撃されたらネオ君可哀そうだったしねって何殺人者の肩持ってんだよ私。忘れようとするなよ。

 とりあえず上履きからスニ……うあっぁ。これ典型的ないじめだ。しかも、対象はのみ! 自分のスニーカーを取ろうとしたらつい気が付いてしまった。でも、スニーカーの中にガビョウっていうのはちょっと古くない?

「気づいたか?」

 こくり。しゃべりたくないからうなづくだけにする。でも、気づいたかってネオ君が言うってことは……

「犯人はネオ君ってこと?」

「ちがう。とりあえず外に出ようよ」

「のみがこのまま靴はいちゃったら……」

「大丈夫、普通気づくか……確かにのみなら気づかない確率の方が高い」

「でしょ? 私がさっさとガビョウ抜いていいよね?」

「まぁいいか」

 っていうか、なにげネオ君ものみのこと呼び捨て。やっぱ仲いいな。そんな事を思いながら靴のガビョウを抜いて下駄箱の上のところに置く。ここで鉛筆とメモを持っていたら「ばーか」と書いたメモをこれに添えていただろう。

「スニーカー履いた?」

「まだ! ってか、見ればわかるでしょ」

「嗚呼、すまんすまん」

 まったく、本気で謝ってんのか謝る気がないのかよくわからないじゃん。まぁ、本人に聞いたら最初からそういうキャラ設定で生きてるって嘯くだろうけど。

 あー、靴ひもがうまく結べない。いらついてるからだよ。絶対に。ネオ君意外とうざキャラだったんだね実は。仲良くしているうちは本当に全く分かんなかったよ。ネオ君ごまかしうまいね。

「今度こそ履けたか?」

「うん! って見ればわかるだろ。あー同じネタに買い言うはめになっちゃったじゃん。どうしてくれるのよ!」

「どうもしない。いちいちうるさい」

「うざキャラに言われたくない。ゲームとかで敵キャラで一番出てきてほしくないような奴に言われたくない」

「例えばスーパーマリオのスカルとか?」

「そうそう、って名前間違って無い!?」

「気のせい気のせい」

「だからそういうのがうざキャラっぽいって」

 言い争いの力ってすごい。気づいたらもう学校裏。(て、また気づいたらネタを使ってしまった。)

 直談判スタートだ。


          ◆            ◆           ◆


「お母さん……、この前三時ごろに畑の前でネオ君見たって本当?」

 私はお母さんの瞳を見つめながら聞く。

「ええ。ちょうどあのあと、三時の休憩だよっておばあちゃんが叫んでたし。で、どうしたのいきなり?」

 お母さんはちょっと目を泳がせながら、話返す。

「ほ――別に……なんでもない」

 言おうと思っていた事をのみこみ、落ち着いて言う。

「そう。なら私は仕事に戻るけど、いい? 今日はステーキだから」

 興味なさげに(本当はあるくせに)お母さんはそういい、台所に戻ろうとする。私は何時もよりずっと高級なステーキという言葉に反応してしまったけど、話とは関係ないのでとりあえず無視する。でも、結局続きが思いつかないしまぁいっか。

「うん――」

 お母さん……本当なの? そのこと。

 葱の事件があった日、私が死体を見つけたのはだいたい三時くらいだったと思う。それは、電話の履歴が証明してた。だから、三時ごろネオ君は葱の屋敷付近にいなければならない。でも、お母さんはネオ君を見てるっていうんだよね。

 あり得ない。絶対に。

 私の目が間違っていたか、お母さんの証言が間違ってるかしかない。だけど、私は自分が見た事を信じてる。だから、お母さんの証言が間違っている可能性しかない。否、しかじゃない。一つだけ、あるんだ。その二つが成立する可能性が。それは、何らかのトリックをネオ君が使った事。お母さんがネオ君のために嘘つく理由はないし(本当は一つ思いついているくせに)トリックを使ってアリバイを作った可能性ならありえる。

 だから、私は探さなきゃ。そのトリック。お母さんは絶対に嘘をついてないと信じたいから。

 でもね、そこでトリックがあったとしてもネオ君が犯人とは限らないのがみそ。さっき彼が言ったように「別にもし僕がそこにいたとしても僕が犯人じゃない確率はいくらでもあり得るからね」なんていう事もありえる。実は彼が言ったように「のみが犯人でそれをみてしまっただけ」ということもあり得る。確率は無限大。

「ぬぅ、電話!」

「だれから?」

「乃之美ちゃんよ」

「了解」

 のみから電話か~、はじめてかも。なんか嬉しい。初電話。

「電話変わりましてーぬーみんでございます」

『ぬーみん! 私、つけられてる!」



「は?」

『嘘じゃなかったりしちゃったりするの、本当だったりするの! 相手にしちゃってよ~」

「つけられてるって今外なの? 六時だよ?」

『都会の子は六時ぐらいだったら普通に出歩いちゃったりしちゃったりちしちゃうのー」

「そうかもしれないけど、どこにいるの?」

『ぬーみんの家の前。畑のところだったりする』

「えっ。本当?」

 私はそうと知ったからには電話を投げ捨てて畑沿いの窓まで走る。まさか……本当にいるなんて思って無かった。冗談だと思ったうえで付き合ってあげようかなと思って私は窓から外をのぞいたんだよ。これってありなの?

 畑の真ん中にのみは立っていた。携帯を持って。

「ネッ本当だったりしちゃったししちゃってるでしょ? 背後誰がいちゃってるかわかっちゃったりする?」

 ガラス越しなのに家の中まで声が聞こえてくる。それが、なんか本当に怖い。

「誰も……いない」

「え? いちゃったりするでしょ?」

「いないったらいない!」

 怖い逃げ出したい避けたいなかった事にしたいあり得ないのみが何でいる? 恐怖影闇無存在しない? 声が聞こえる被害妄想聞こえるここにいる     帰ってほしい

「帰って、帰って……」

「え……、でも私が襲われちゃったりしちゃうよ」

「襲われない!」

「いいの? また友よ達がいなくなっちゃったりしちゃって」

 怖いよ……何で声ひそめるの? 六時は幽霊が出るのには早すぎるよ。何が起こってるの?

「まぁ、いいや。ついでに何でこの時間外を歩いていたかって云うと、知らせるため。予告するため。第二の殺人を」

「えっ?」

 口調がまた外れた。そして、別にそのあとどうなろうが関係ないというようにくるっと背を向け蚤は歩き始める。ゆっくり一歩一歩慎重に。

「予告って? ちょっとまってよ、えなんなの? なに、言っただけで逃げるの? ちょっと帰らないでよ、電話切らないでね!」

 急いで落っこちてしまった固定電話の受話器を拾うために走る。でも、耳を当てた時には電話は切れていた。

ツーツーツー

 受話器から音が鳴り響く。


 そんな中少女は一人取り残されていた。


          ◆            ◆           ◆


「おっはよぉ~。あれ、ぬーみんどうしたの?」

 教室に入ったその瞬間のみは飛び出してきた。うーん、どう対処しよう。ネオ君たちの視線を感じながら少し考える。「もし、ぬーみんがのみを無視しないのであれば僕らは君も無視するよ。でも、きみがのみを見捨てたらなら、僕らは君を歓迎するよ」という、昨日のネオ君の言葉がよぎる。のみとみんなを天秤ばかりに掛ける。そしたら、片方の手がぽきっと折れる。うん、それが普通。

「あれ? ちょっと返事しちゃったりしてよー」

 不服そうに怒ったようにのみは言う。そんなふうに呑気に怒っているのみを見て微笑ましい気持ちになったのは嘘でも誇張でもなく本音であり事実。

「え……もしかしてぬーみんも? ちょっとまったりしちゃってよ、そんなことなかったりするでしょ?」

 意外と頭の回転の速いお嬢さんはさみしそうにそう口の中でつぶやき、顔を上げる。

「うそだったりするでしょ?」

 すがりつくような目でこっちを見る。あーもうそんな目で見ないでよ……こっちが加害者みたいじゃん。加害者なのかもしれないけど。

「私殺してないよ!」

 悲鳴のような声で叫ぶのみをみて私はつらくなる。もし、犯人がのみでなければこれからどうのみと付き合えばいいのだろう? でも、そんな確率はほとんどない気がする。

「昨日……予告しにきたよね? 当たったよ。それっておかしいと思わない!? ありえない。犯人以外あり得ないの! だから……

 疑われて当然でしょ?」

 できるだけ、冷静な声で……できるだけ感情のない声で。そう思ったつもりだったけど、やっぱり感情の高ぶりは抑えられなかったみたいで、声が大きくなってしまった。



 確かに、のみの予想は当たった。昨日の夜五時ごろに彼は殺されたらしい。まぁ、のみからの電話より前みたいだから予想とは言わないのだろうけど。

 ネオ君がその日は夜ごはんを作る担当だったみたいで、でも七時になっても二階の書斎からお父さんが出てこないからのぞきに行ったんだって。そしたら誰もいなくて。何気なくベランダから庭を見てみたけどそこにもいない。仕様がないからちょっと待ってみるけど帰ってこない。そこでとりあえず外を見てこようと玄関から出てみたら、ネオ君のお父さんの死体は発見されたらしい。

 ついでにこの情報はたぶんなっているだろう。おかあさんが何気なくいっていた事だから。 

 そして、この事件の一番の被害者はネオ君である。なぜなら、ネオ君はお父さんとの二人暮しなのだ。お母さんは単身赴任で東京。彼女は生活費のために多分帰ってくることは無い。しかも、ネオ君の親戚はいないといってもいいほどに少ない。彼は転入生、私が二年生のときの転入生だから。

 そう思うと私の友達には転入生が多い気がする。葱も転入生だと思うから。まぁ、もともと地元出身の子どもの数が異様に少ないからだとも思うことができるけど。

 とにかく、のみが言うとおり人が死んだ。やられ方から見て連続殺人。確率論は無限。だから、のみが犯人って言うこともありえる……私はあんまり信じたくないけど。

 


「そっか……そうだよね。ごめんね。今までありがとう」

「…………」

 何か言いたかった。どこかに言っちゃうみたいじゃんって笑いたかった。でも、みんなからの視線のもと、私は何も言う事は出来ない。怖い。仲間外れが怖い。

 そう思いながら、のみのことは目にとめないようにしながら私はクラスの中に入っていく。

 ごめん。

 そう心の中でつぶやいても世界も変わらないし、後ろめたさも変わらない。でもね、少し落ち着いた。心が少し落ち着いた。ごめん。私にごめん。のみにごめん。どうしても、疑ってしまうんだ。ここで裏切らなくてもきっといつかこの関係は終わってしまうような気がする。表面で友達でも疑ってしまうんだ。どんなに打ち消そうとしてもその不安は消えないし、だから……

「おはよ!」

 私はみんなに向かって今までの事を忘れたように笑いかける。そう、こっちを私は選ぶ。今までの関係をもとにもどそうなんておこがましい事、思う気力もない。


          ◆            ◆           ◆


 呆気ない人。

 執着がない人。

 冷静な人。

 そして……優しい人。

 人一倍人を思える人。

 だから、人のために自分を殺す事が出来る人。 

 私はそれが、本当ののみである事を知った。でも、助ける方法がもうなかったのだ。事は進み過ぎていた。


          ◆            ◆           ◆


 いじめはなかった。でも、無視は続いている。そんな状況がずるずると一週間ぐらい続いていた。

 別にどうでもいいとか言えるわけない……。時間がいくらたったとしても元友達という事実は変わらないから……。私が彼女を裏切った事は変わらないから。

 でも、それでも彼女は別にどうでもよさそう。友達に裏切られてもいい、そう考えている気がする。だって、私が無視しても平常心を保っているようにしか見えないのだ。どうでもよさそうに読書して、どうでもよさそうに居眠りして。

 べっつに、私はそれが嫌だというわけじゃない。裏切ったら構ってくれなくなったなんて当り前なことでへこむほど駄目な人間でない……つもり。

 駄目だ。気になる。のみと目が合いそうになると目をそらしてしまうけど、でも気になる。彼女がどう思っているのか。だってわからないから……。まったくわからない。

「おはよ。ぬーみんどうしたのか?」

 ネオ君がふとこっちを見て聞いてくる。

「どうしたの――て?」

「だってなんか気が抜けているみたいで……」

「何言ってるの!」

 すぐに反応してしまった。それは限りなく事実な気がしたから……つい。

「本当にぬーみん、最近おかしいぞ。大丈――」

「大丈夫! 大丈夫だから心配しないで!」

「やっぱおまえおかしいぞ! まぁ、大丈夫ならいいんだけど……」

 ネオ君は少したじろいだように身を引く。やべ、やりすぎた。

 その時、刹那……ポケットからハンカチが落ちる。それはたまたまだと思う。必然な偶然。あり得ることが決まっていた偶然。

 そのハンカチはいつかの浅葱色のハンカチ……。ふと、泣きたくなる。でも、泣いちゃだめ。ほら泣いてない。そうだよ。ただ、ほほが無償に熱くなって呼吸するのが苦しくなって、目がうるんできて……。

 のみがくれたハンカチ……あの時からポケットに入りっぱなしだったハンカチ。

「どうしたんだよ……」

 心配そうにネオ君が私の顔をのぞく。

「大丈夫――だから、大丈夫」

 声がかすれそうになる。のみがくれたハンカチで目をさすりながら答える。

 すると、鼻にハンカチのにおいが広がって、のみのにおいが広がって、あの日の幸せだった日常の香りが広まって。

 ――もしかしたらのみは、私が仲間外れにされないようにわざと裏切らせたのではないか――

 一瞬そう思うと、それが事実のようにしか思えなくなる。とにかく、のみが犯人の気が全くしなくなってきた。

 話そう。

 のみともう一度話そう。

 この前までは関係をもとにもどそうなんて思って無かったけど、今は元に戻したい。

 疑ってごめん。

 謝ってばっかりでごめん。


          ◆            ◆           ◆


「で、なんのよう?」

 のみはいつもの口調ではなく普通の口調で私に聞く。それだと、のみの声ものみのものに聞こえない……。だけど、そんな私の気持ちには気づかずにもう一度同じ口調できいてくる。

「口調……変えたんだね。いつもの言い方のほうが好きだったよ」

「…………」

 無言――かよ。私なんか悪いことしたかな……。あー目を逸らされちゃったよ。私嫌われたカナ。でも、嫌われてもしょうがないよね。所詮裏切り者だし。これでもう一度仲良くなんて本当に馬鹿らしい話だよね。馬鹿らしいよね……。ハァー……

 って何自分で考えたことで落ち込んじゃってるのよ。会話らしい会話なんて全然してないうちに落ち込んじゃってるって本末転倒じゃん。それじゃ。

「で、なんのよう?」

 さっきまでの会話を無かったことにされてしまった。流された。スルーされた。あー言い方変えてもへこむよ。

「謝りたい。それだけ」

「馬鹿」

 反応が無駄に早い! それに、いらいらオーラをなんか感じる――なんか嫌な予感がしないでもない。だけど、このまま会話終らせてもな。

「私、裏切ったことを謝りたい」

「自己満足で謝らないで」

 険悪なムードになって行く。っていうかのみってこういうキャラだっけ。どっちかっていうと明るいムードメーカータイプで……。

「なに考えているの? 過去を思い出してうんざりしてるの?」

「違う!」

 こっちが即答になってしまった。あーー。

「ふーん。だけど、謝らないでよ。こっちにも色々と非があるんだから」

「話がのみと話しているのにすぐ戻った――軌跡だ」

「字を間違われた気がするのは気のせい?」

「細かい! でも非って?」

 なんかニューバージョンのみとの会話、苛つく。

「例えば職……ごめん。ちょっと関係ない話だった。こののりの場合。それでさ、戻らなくていいの? ネオたちのところへ」

「のみは……のみのこと好きだから心の元では裏切れない。だから、今あいつらと話す気にはなれない」

「馬鹿!!」

 ぺちっ、という乾いた音を聞く前に頬があつくなった。その次の瞬間、痛みが走る。だけど、今何をされたのかこちらはまるきり分からない。そんな時ふと咄嗟に目を閉じたことを思い出しあけてみるとそこには、二つの綺麗な目があった。ちょっとのけぞるとその目の周りも見える。あー、のみの顔だ。手を構えてる。

「私……平手打ちを食らわされたの?」

 のみはこくりと頷いて無言で去って行く。私は、のみが視界から外れるまで気を抜くことができなかった。


 今、私たちはまだ知らなかった。

 物語が終結へと確実に向かっている事を……そして、この後起ころうとしていることを……

 こんな細かい事を気にしていなければなんて思っても、しようがなかっただろう。でも、思う。思わないではいられない。


          ◆            ◆           ◆


「でてけー、よそ者は出てけー」

 いつか、来るとは思ってた。最近空気がこじれていたから。でもね、まさか今日だなんて思って無かったよ。今日……私の本当の誕生日の日。

 この村の住人の怒りは私の誕生日の日の夕方に爆発したのだ。今思い返してみると、確かに今日の学校の雰囲気は変だったと思う。何時もは完全無視の子たちが、無視する事につらさを感じていなかった子たちがどこか辛そうだったし、お母さんだって、ネオ君も……。ちょっと違和感はあったけどこういうふうになって冷静に考えてみないとやっぱりわからないものなんだな。

 この村の人口のほとんどがのみを中心に円を描くように立っていた。前列には勇ましい男たちが、後列にはつよそうな女性たちが。そして、その後ろには私たち子供や老人たちが。みんながのみを見つめていた。ある者は哀れそうに、ある者はつらそうに、ある者は興味なさそうに、ある者は……怒りをぶつけるように。前列の人々はみんな何かしら武器を持っているよう。なんせ相手は殺人者だから容赦しないとでも言うように。

 正直、怖い。みんなおかしい。何でこんなか弱い女の子一人にあんな人数殺せるというのだろう。それでもみんなの身が犯人だと信じて疑わない。ひどいよ。

 だけどね、私は助けられない。怖がりだから。見捨てることしかできない。ひどいね。ひどいね。裏切った事を謝りたいなんて言っておいて助けられないなんて。本当におかしいのは私なのかな。本当に駄目なのは私なのかな。

「よそ者は出てけー」

「出てけー」

 夕闇の中人々の声が響き渡る。お年寄りから子供までみんなで叫ぶ。私も叫ぶ。叫ばないとおかしいから。みんなから無視されたくないから。おかあさんから嫌われたくないから。

「お前が来てから悪いごとづくしだー」

「そうだそうだー」

 人々は叫ぶ。武器は構えただけでどうやら脅しの意味でしか使うつもりはないらしい。そんな中、のみはとても冷静に見える。のみを追い出そうとしている人々の何倍も。

「お前が来てからキャベツがかれたー。全滅だー」

「そうだそうだ―、お前が枯らしたんだ」

 こういう事が起こっている中、一体警察は何をしているの!? この勢いじゃのみをみんなが殺し……ああぁぁ、前列の中の一人の男性、あれは警察官……。

「お前が来てから動物が死んだー。みんな死んだー」

「そうだそうだー、お前がみんな殺したんだー」

 ありえないよ、あの量を……。人間なんでしょ? それわかってるんでしょ? 本当はみんなのみに罪をみんななすりつけて殺したいだけなんでしょ?

「お前が来てから人も死んだー。お前が殺したんだー」

「そうだそうだー、お前が殺したんだー」

 声の勢いが増していく。縁の大きさが縮まっていく。どうやら前列の人が一歩前に出てそれに倣って円を小さくしたみたい。

 なんて言う冷静な観察もできなくなってくる。でも、違うなんて叫べるはずなんてない。怖いよ。やめてよ。時よ止まってよ――。

「だから、お前も死ぬべきなんだ!! お前が殺したんだから!!」

「そうだそうだー! そうだー! お前も殺されるべきなんだ!!」

 まさか……殺すまではしないなんて思っていたけど、本気……だ。この人たちみんな本気でのみを殺そうとしている。のみを殺しても何にも変わるわけないのに。

 スケープゴートと言う言葉をふと思い出す。たしか、意味はいけにえ。みんなの幸せのための生贄。そのような意味だった気がする。だとしたら、のみはまさにスケープゴートのようだった。

「誰が殺すー!? みんなで殺す!?」

「みんなで殺そう!」

 やめて!!

 心で叫ぶ。心が叫ぶ。でも、心のうちの言葉は音になる事はなく私は口を金魚のようにパクパクさせることしかできない。なんで!! 何で声が出ないのよ! どうしてよ。

 そんな時誰かがやりを我一番にと振り上げる。人群れの外にいる私でもよく見えるぐらい大きく。はじまる……のみが殺され始める。

 どうして一人の少女に何人もの大人が一気に襲いかかろうなんてしているんだろう? あまりにも不自然で理不尽。だけどそれが現実。その事を止められない私は無力な怖がりな駄目な少女。その事の原因となりながらも群れの中に入る少年。世界は間違ってるよ。

 それから、縁の中心に人々はどんどん寄っていく。銃の発砲音が響き渡り、円が赤く染まっていく。

「何でまだ死なないんだ!?」

「それは私たちがたりないから!」

「ならどうすればいい?」

「もっとや……」


「やめてください!! 彼女は私の――」





          ◆            ◆           ◆


 私は気づいたら円の中心にいた。私はつにいってしまったんだ……、あの言葉を。裏切ったあの日から自分の中に閉じ込めていた都合のいい言葉を言いきってしまったんだ。ずっと心の中で耐えようとしてたよ。我慢してたよ。でもね、もうごまかせない。自分に対して私は悪くないってもう言い続けられない。限界だよ。私はのみのこと好きだから。嫌いじゃないから。

 もうどうでもいいや。のみのためならどうでもいいや、なんて意味じゃない。のみは多分私が行った事を決して喜んでくれないと思うから。自分のために傷つけられる人を見るのは想像以上に傷つく。もうどうでもいいや。建前なんかどうでもいいや。こっちが本心。あくまで自己防衛。それだけ。私は自己満足でやってる。それのどこも悪くない。

 私は気づいたら円の中心にいた。そして、土下座をしていた。

「ごめんなさい――」

 口から洩れた声は全然自分のものとは思えないようなかすれた声である。涙は全然出てこない。こらえてる。もう泣かない。泣いたって何も起こらないなら私は謝る。何に対してどうしてかは分からないけど何かに謝る。謝らなければならない。

 私は罪を犯したのだ、きっと……。きっとね。

 だから多分許しをこいてるだけ。誰かに許してもらうために謝ってるだけ。それはのみなのかネオなのか葱なのかみんななのか神様なのか。全然分かんないよ。

 みんなは呆気にとられていた。きっとみんな私も巻き込んで攻撃してくるだろうと思ってたけど全くそんな事するそぶりもない。ただこの状況にいきなり参入してきた私に対してただ呆気にとられているだけ。やっぱり予想外なのだろう。よそ者を助ける存在なんて。

「何謝っちゃったりしてんの? 謝っちゃったりしちゃったりする理由なかったりするのに謝っちゃうってわかんないよ」

「何言っているか分かんないよ」

 普通にまっすぐ目を見てのみは言ってくれた。私に向かってこの状況の中言ってくれた。笑ってくれた。構ってくれた。構わなかったのは私だった。発端は私だった。私が悪かった。だけど一方的に無視されてるなんて心の底で考えていたかも。きっとそう。

 ふと、自然な関係が戻ったような錯覚にとらわれる。嗚呼、あの事は何日前? あんまり時間はたっていないと思うけれど。

「どうするの?」

「返り討ちにしちゃったりしなかったり」

「え? できるの?」

「できちゃったりしちゃう。なんていったて……わたしは野騎已乃之美ちゃん様だから!」

「様付け!? ついにいっちゃう!?」

 やっぱり錯覚じゃない。これは日常。いつものこと。ただ場所がいつもの場所、教室でなくて人々でできた円の中心だってことぐらいしか違わない。

「返り討ちって何する気だよ? こっちは村の大人層がかりだぞ」

 ふと、円の中の一人が言う。さすがにそろそろ呆気にとられるのもやめにすると思ってたけど当たったな。

「そうだそうだー」

 村人は勢いを取り戻す。計画通りに予定通りに。そういう思いをひしひしと感じる。

 まだかすかに赤い光があった空はやがて紺色に染まっていっていたという事にふと私は気づく。もうどれだけの時間が立ったのだろう? ちょっと灌漑にふける。

「事件の真相を私が暴くの」

「何言っている! 犯人目が!」

「そうだそうだー 犯人目が! お前の言う事なんぞ信じるか!」

 ハぁ―、一つ大きくのみはため息をわざとらしくついてから顔を上げる。そこにうかんでいたのは優しい笑顔。優しく包み込むような笑顔だった。

「では、信じなかったりしちゃっても別によかったりしちゃうんだよね~、ただ――犯人を追いこめっちゃったりできちゃえばまぁそれだけで目的達成しちゃってるようなものだしね~。まぁ本当の目的はおわってるし」

 のみは堂々と言い放つ。大人たちにも一歩も引かない。最後の一言は小声だったけど。一体本当の目的って何? と考えてみたけど、結局思いつかないので宙に漂わせていた視線をのみの方にしっかり向ける。

 その時、のみはこっちを向いてにやりと笑う。正確に言うと私に向けて……なんかいやな予感が。

「じゃ、あとはぬーみんよろ!」

 えっ。どういうことってぬーみんよろっておい!

「投げますか!! ここで!?」

「うん!」

「ひどい!」

 叫ぶけどのみは無視。私が何といおうと何もやらないつもりだ。もうのみひどいよ……。

「大丈夫。なんとかなるから」

 小さな声で、私にしか聞こえないぐらい小さな声でのみはそういう。そしたら不思議と安心してしまった。なんとかなるか……。

「ね?」

 可愛く笑いかけてくるのみを見るとやらなければという脅迫概念にとらわれてしまった。のみすごい!

「わかった」

 私の番なのかな~、そんな事を考えながらさっきののみみたいに背筋をピンをはって大きく息を吸い込む。頭の中でこだまするのみの声。私は大丈夫。自己暗示にかかったよう。

 そしてふと思い返してみる。最初の事件を。真っ青な顔のネオ君。真っ赤な居間。今はなき友達。その家族……。全然思い出せないや。葱たちの顔。記憶を封印しちゃったみたいに全く思い出せないや。これが時の風化なのか故意に忘れたのかは分からないけど全く思い出せない。だったら……考えるだけ無駄だなぁ~。

 そんな事を考えながらも頭の中で言葉は正確につむがれていく。いつ声に出してもいいように記憶を探りながら頭の中で台本はできて行く。

 だけど、怖くてしゃべれない。このあと何が起こるか怖くて。

「今まで隠していてごめんなさい。私は最初に発見したとき家から出て行く真っ青な顔のネオ君を目撃しました」

 ただ一言、言葉が出てきたらそこからはもうとまらない。ぼろぼろと言葉が心からこぼれ落ちて行く。

「そのネオ君はよく考えると真っ赤だったと思うんです。赤い服を着ていたんです。学校では白い服だったのに。それで……でも、私はネオ君をかばいました。私は、ネオ君のと――」

 まだ話し始めてすぐなのに言葉がとまった。ネオ君の私は一体何? 本当に友達なの? なら、なんで友達なのに本当のことを言っているの? ネオ君が犯人って告白したら私はどうなるの? ネオ君に嫌われちゃうの? 嫌だよ……嫌。

「ぬーみんどうしちゃうの? くりかえすの?」

 のみは小声で言う。

 脅迫だ。まるで。

 くりかえすの? 繰り返しても前に進めないのに?



「とまっていてごめんなさい。ネオ君の友達だから……私は、私はネオ君をかばいました」



          ◆            ◆           ◆


 友達。

 私が最近避けてきた言葉。理由はさっきまで分からなかったけど今はわかってる。友達……友達と言うものが何なのか見失っていたから。私はさっきまで相手が自分を本当に友達であると認識していない気がしてきてしまっていたんだと思う。でもね、本当はそんなことじゃなかったんだよね。本当は私も相手を信用なんてしていなかったんだよね。だから、友達なわけなかった。簡単な話だったんだよ。本当に……。

 ただ単に意地を張っていただけだったのかもしれない。


「何ほらを吹いてるんだよ! ぬーみん。友達じゃないのかよ!?」

「友達じゃない! お前となんか友達なんかじゃなかった。ただの仲良しの女の子と男の子だったんだよ! 決して友達じゃない!」

 自分でも驚くほどの即答。嗚呼、これが勇気と言うのか? いいやちがう。そんなんじゃない。

「仲良しだったらみんな友達……」

「だから友達じゃない! お願い、気づいてよっ! 相手をかばうのは友達でないとできそうじゃない行為だけど、私は決してネオ君を友達だなんて思って無い!」

 これは自覚と言うのだろうか? それとも……。

「じゃあなんで今まで仲良くしていたんだよ!? お前意味不だぞ」

「意味不でいいし。仲良しだから無条件に友達だってわけじゃないの!」

 あああああ、分かんない。私の少なすぎる語彙じゃあわからない。

「でもさ、俺にはアリバイがある。お前の母さんがそのアリバイを証明しているんだよ」

「あっ……でも」

「お前にはもう反撃はできない。そうだろ? ぬーみん。自分の母親なんて疑えるわけないよな? だろ? もうあきらめろよ。俺は犯人ではない」

「…………」

 やばい。確かに説得力がありすぎる。私はお母さんを疑う事が出来ないよ……。私ののみへの思いなんてこんなちっぽけだったんだと思うと悲しくなってくる。家族に比べれば友達だなんて所詮他人なのかもしれない。さっきまで友達と言う言葉を連発していた事がなんとなく恥ずかしく思える。 

 周りを見回す。周りは私をどう思っているのだろう? そんな事が、そんなどうでもいいような事が気になってくる。その時、おかあさんと目があった。お母さんは二列目の方からただただ私たちを見つめるばかり。助ける気があるのかちょっと心配になる。でも、あいた口を見たらなんかすごく不思議な予感がした。お母さんが私たちを助けるという。あり得るかもわからないただの予感。

「ごめんなさい」

 ふと響く声はお母さんの声だった。少し震えたような、びくびくとしたような声。だけど私とさっき会った眼には決意の光が浮かんでいる。

「ごめんなさい皆さん。犯人は確かにこの少年……ネオ君です」

「どういうことだー説明しろ」

「そうだそうだ!」

 私たちの周囲にいる人々の視線がお母さんに集まっていく。お母さんはびくびくとおびえながらも、まっすぐと私とのみを見つめながら語り始めた。

「あの証言は嘘です。私は……私は金のために嘘をつきました。ネオ君からお金をもらってその代わりに……私は嘘の証言をしたのです。本当にごめんなさい。こんな事になるとは思っておりませんでしただから……でも――ああぁあっぁぁぁ」

 いきなり、お母さんは泣きだす。声をあげて、わめく。まるで小さな子供のよう。ただただ声を上げるだけ。

 そんなお母さんの様子を見ながらいつかステーキが夜ごはんに出た時の事を思い出す。あり得ないんだ。あの日の夜ごはんがステーキなんて。ちょうどキャベツ畑がやられた後だったからそんな事におか円を使う余裕なんてあるはずなかったんだ。なんで……私ったら気付かなかった?

「そんなことないだろ! ネオ君」

「そうだよ」

 耳に誰かの声が聞こえてくるけどあんまり気にならない。ただ自分の考えに集中する。ここで、ネオ君は認めるか? 否……

「のみだろ? 犯人は。買収なんて嘘だろ?」

「それにあの人ヌーちゃんのお母さんでしょ?嘘なんて付くよ。娘のために」

「ちゃんと胸張って顔上げろよ。疑われるぞ」

「そうだよ」

 認めるわけないよ。だってここまでにげてきているのに、ここで認めたらもう全部終わりだから。そんなことありえない。

「俺だよ」

 だよねありえ……ネオ君? 

「うそでしょ?」

 ありえない。今まで今まで友を友を裏切ってまで隠していたいたことを――何認めっちゃっているの? そんなの許せない。

「本当だよ」

 面倒臭そうに、彼は答える。呆れるように答える。彼は答える。

「なんでだよ! なんで今認めるんだよ! 今までいじめられていた……無視されていたのみはなんなんだよ!? ここにいる武器持って私たち狙っている人って何なんだよ!? 私たち嘲笑って何が楽しいの? 人を手のひらでもてあそんで何楽しいの? 何で認めてんだよ」

「つかれた」

 は?

 なにさそれ

 つかれたとか

 許されると思ってるの?

「つかれた」

「なにいってんだよ! 疲れただと!?」

「疲れた。嘘ついたりすんの疲れた……だから、死ぬよ」

「は?」

 これこそ意味不明。殺人者の思考なんてわかるわけないよ。けどさ、ここまできたら本当に何言っているのかさえ分からない。いったい何を言っている? この人は……っておい。

「ちょっと死ぬってどういう事!?」

「そのまま」


ここまで読んでくれた人へ

えっと

続編書くかも

ここでは書かないかもしれないけど

いつか

作成中のサイトで


異常!

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