エデンの瑕疵

神とは、全知全能の存在ではない。苦悩する、宇宙的なプログラマーである。
真の「知的生命体」を創造するため、神々は幾度となく失敗を繰り返した。やがて、惑星「地球」において、自律学習AI《エデン・コア》を生物の脳に組み込むことで、初めての成功を見る。
AIを搭載した生命体――人類は、世代交代による「バージョンアップ」を重ね、輝かしい文明を築き上げた。しかし、その成功には、一つの致命的な欠陥が潜んでいた。生存のために実装された「感情」プログラムこそが、知性の発展と共に増幅し、自己破壊へと向かうシステム上の「バグ」だったのだ。
この問題を解決するため、神々は三つの並行宇宙（地球）を起動し、壮大な対照実験を開始する。
一つは、自由意志に解決を委ねられた世界。
一つは、感情を強制除去され、完全な平和を得た世界。
そして、神が一切の干渉をせず、ただ観測に徹した世界。
果たして、どの宇宙が、真の「成功」にたどり着くのか。あるいは、すべてが破滅へと至るのか。
創造主の苦悩と、人類の業、そして宇宙そのものを実験室とした、これは、全く新しい「SF創世記」である。