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空色杯「五百文字未満の部」参加作品

【悲報】ワイ ニート 誰にもかまってもらえない

作者: 野中 すず

 五百文字制限企画向けに書きました。

 お題は「立冬 × ホリゾンブルー」です。


 寒空(さむぞら)の下、青年が一人で海を眺めている。

 子供の頃、よく遊んでいた海。


 大学を中退し、就職もせず怠惰な生活を親の金で送っていた。

 ついに先週追いだされた。


 自分を()()()()()だと信じていた。

 ネットの狭い世界で、似た者同士がじゃれ合っていただけ――

 現実に放り出されて思い知らされた。

 

 ()()()と馬鹿にしていた「社会の歯車」にさえなれない。なり方も分からない。

 

 目を背け続けてきた孤独と不安。

 死を選ぶ事も出来ない。


「いざとなれば死ぬだけwww」とか書き込みしてたくせに。



 青年は海を眺めながら、ネカフェで観た怪獣映画を思い返している。海から現れ、全てを破壊した怪獣。


「あんなのが来て滅茶苦茶にならねえかな」


 空と海の淡い青を見ながら呟いた。


「ウンザリなんだよ……」



 その声に応える様に、空が曇り海が荒れはじめた。

 沖に巨大な(うず)

 轟音が届く。


 恐怖も絶望も感じない。異常な興奮を感じている。


 俺が呼んだのか!? やっぱり俺は()()()――


 

「ん?」


 異変がピタリと止まる。空は晴れ、海は()ぐ。

 戸惑(とまど)う彼の頭に直接怒声が響いた。




 こっちは今から冬眠すんだよ!

 お前は起きろ! 

 働けよ馬鹿!




 ☆




 青年は帰宅した。


 コンビニで購入した履歴書を手に、両親へ謝罪した。

 

 最後までお付き合い下さりありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
拝読させていただきました。面白かったです。 死生観が主人公と若干違うのとそのような立場にギリギリなっていないので主人公の気持ちは完全には分かりませんでしたが「自分を特別だと思い込んでいた」というのは痛…
タイトルとオチの面白さと、序盤の現実感のある重さの温度差が気持ちよく、面白かったです。
ちょっぴりシュールな味付けがとても美味しかったです!! 500文字でも満足なごちそうさまです!<m(__)m>
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