11/37
その頃のビッグボス
――都市ケーラから離れた、とある宿場町の地下アジトにて。
真っ暗な部屋にランタンの明かりがともる。
逃げ延びたビッグボスとそのブラザーたちの姿が闇に浮かび上がった。
「……やるぞ」
「ハッ!」
彼らは持ち出した密造ポーションセットを取り出し、黙々と密造ポーションを作っていく。
しかしどれも――魔術師崩れのブラザーですら、ミミ太郎と同じポーションは作れなかった。
「……なぜだ。何度もあの猫の真似をやらせてきたが、なぜ上手くいかねえ」
ブラザーの一人、聖猫族でネコミミわがままボディな中年男性も、ひげ面をしょげさせてうなだれる。
彼も密造成功しなかったらしい。
「……聖猫族のヤツにやらせても、女子どもにやらせても、魔術師崩れにやらせても、ちっとも上手くいかねえ。なんなんだ、ミミ太郎は」
ビッグボスはブラザーたちに声を張り上げた。
「探せっ! あの猫を探して、また俺たちの密造ポーションを作らせるんだ!」
「ハッ! がってんです!」
ビッグボスの元からブラザーが散っていく。
ブラザーは一人残り舌打ちをすると、ランタンの明かりで一人煙草に火をつけた。