王都から旅立つ男
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お城での謁見と、賑やかなお茶会も終わり、無事に王都での予定を全て完了した。
あとは、お土産でも買って帰り支度を整えるだけだ。
ガイルス辺境伯様は後半月は王都で馬車の完成待ちをするらしいので、先に辺境伯領に帰る事になった。
「お先に失礼します。」
とだけ挨拶しにお屋敷に来たのだが、
「妻はお茶会仲間と毎日楽しくお茶会をしているし、
娘は、婚約者に会いに行けるので、王都が良いと言っておる。
もう、辺境伯領の経営はマヨネーズ男爵にまかそうかな?」
と拗ねるガイルス様に、
「領民の皆さんが、ご領主様の帰りを待ってますから必ず帰って来てくださいよぉ。
ガイルス様のおかげで、皆穏やかに暮らしていけるので…」
と俺がいうと、
「そうか?そうか!
うん、そうだな、馬車が仕上がり次第帰るので、マヨネーズ男爵は一足先に帰り領民達と私の帰りを待っておるとよい。
では、領都ロゼリアでまた会おうぞ。」
と元気になったので、お屋敷をあとにした。
さて、商会の皆にお土産を買おう。
領都よりはるかに大きな商会の数々が立ち並ぶ商業エリアに来てブラブラと見て回る。
マジックアイテムのお店〈ウィズ商会〉の本店がある。
領都では取扱店が有るだけで、マジックアイテムだけを扱う店には初めて入る。
店に入ると、色々な店に卸している〈簡易魔石コンロ〉や〈魔石ランプ〉等が並んでいる奥に、スキルの付与された〈魔剣〉や〈魔槍〉等が有った。
そして、効果付きの指輪やネックレスに、マジックバッグ類も有った。
領都に帰れば中々お目にかかれない品の数々に興奮しながら見て回る。
〈今までに出会ったマジックアイテムは念話の指輪やマジックポーチぐらいだな。〉
と初めて見るアイテムの数々を興味深く見ていると、
〈テイマーの腕輪〉という魔物からの好感度が上がりやすくなる腕輪が有った。
値段は、大金貨二枚…二百万円だが、安く感じる…駄目だお貴族様に染まり始めたかもしれない。
「2つ下さい。」
…買ってしまった。大金貨四枚だ。
安くて良い買い物をしたと言い張る心と、
四百万円は高いと言い張る庶民の心が、河原の土手で殴り合をした結果、
「お前強いな…」
「お前もな。」と友情していたので、
〈高いけど、良い買い物!〉
に落ち着いた。
サラと俺のだ。
あとは、商会の皆に、肩掛けタイプのマジックバッグを購入する。
馬車一台ほど入り、時間停止付きで、大金貨三枚、
迷わずイメージに合わせて四種類買おうとしたときに、店員さんが現れて、
「お客様、マジックバッグなら、少々カラフルさに欠けますが、自然修復つきが、大金貨四枚と小金貨二枚のところ、今なら大金貨四枚でご紹介致しております。」
と言って来た。五色有ったので、全色貰う事にした。実はホランさんは荷物が多いがマジックバッグを持ってなかったので、ついでにプレゼントすることにした。
大金貨二十枚…二千万円
バッチコォーイ!
なんだかハイになってきたが、
落ち着けぇ、落ち着け俺ぇぇ。
と代金を払いながら深呼吸で己れを落ち着けた。
しかし、レジ横の並びに、
〈お子さまの遊び場や秘密基地に最適
マジックハウス!〉
とポップのついた大型犬の犬小屋と云うのか、豪華なオママゴトハウスと云うのか解らない物が並んでいた。
六畳タイプから、数部屋あるタイプまであるようだ。
なんだこれはと驚く俺に店員が、
「我が商会特性のマジックハウスです。
マジックバッグの技術を応用し、時間停止などの機能の代わりに、生物も入れる技術を発見しましたが、
なにぶん色々と大掛かりになり、このサイズにするのがやっとでしたが、マジックハウスと銘打ち売り出せば、秘密基地や、隠し部屋などに需要が有ったので、今では人気商品です。」
とアピールしてきた。
「一度入って、中をご覧に成りますか?」
と店員が聞いてきた。
少し圧倒されながら、「はい」
と答えると、〈一番オススメ〉の商品に案内された。
「三部屋とダイニング付きの商品になります。キッチンも有れば良いのですが、外に排水する技術が出来ないので仕方ないですねぇ、
しかし、このマジックハウスには緊急時の魔石式バリア機能が搭載されております。
魔石の魔力が尽きるまでバリアで建物を守り、スタンピードでもやり過ごせる安心設計でございます。
魔石はダイニングの壁の魔石ボックスに複数入れておけますし減ってくれば追加出来ますので、満タンまで入れれば一週間丸々バリアをはることも可能で、
発動、停止もボタン一つで簡単。
なんと、我がウィズ商会の真骨頂、マジックアイテムに〈自然修復〉のスキル付与で、このマジックハウスも何年経っても自然に壊れる事はありません
大事なお子様やコレクションの為に是非!」
流れるようなセールストークをする店員だが、俺はもう、購入する気バリバリだ。
ここは、例の合いの手を入れてやる。
「すっごーい、でも、お高いんでしょー?」
と俺が言うと、
「いえいえ、なんと通常大金貨三十五枚の所、沢山買って頂きましたお客様に限り、大金貨三十二枚に!」
とノリノリで金額を話してくる店員に、トドメの
「えぇ、そこを何とかもう一声!」
と甘える俺に
「うーん、よし、私もウィズ商会の三代目、目一杯頑張りまして…
大金貨三十まぁーい」
と、少し申し訳なさそうに金額を発表する三代目社長にお決まりの、
「流石社長!太っ腹ぁ」
とこの世界で初の〈テレビショッピング〉のノリをかましてやった。
…社長だったとは…
30枚の大金貨を払い、
ご自宅に運びますと言う社長に、
「アイテムボックス」があるのでと
目の前でアイテムボックスに〈マジックハウス〉をしまう。
社長は驚きながらも
「毎度有り難うございました。」
と店の入り口までついてきて見送りをしてくれた。
その後も、ブラブラ買い物を楽しみんだ。
一通り楽しんだし、
よし、これで、王都での買い物も終了だ
木工ギルドから届いた馬車に荷物を積むが、工房組もホランさんも〈マジックバッグ〉が有るので、すぐに積み終わり、馬車と〈クロイ〉と7頭の〈子馬〉と言ってもこの一月くらいでなかなか育った子馬達も馬車の引き手に配置して8頭引き馬車の客室六名に俺と工房組が乗り込み、御者台にホランさんとリオが座る、
見送りに来てくれた、商業ギルドマスター夫婦に工房の鍵を預かってもらい、牧場にしていた農家の鍵をかえしてから、
工房を出発した。
商業ギルドマスターの奥様は滅茶苦茶可愛い系だった。
やはり、やるな!あのギルドマスター。
王都の街を進み、壁外にでて街道を走る馬車、
子馬に気遣いスピードは出ないが、板バネサスペンションのおかげで、背骨を駆け上がる衝撃はない。
優雅な馬車旅がはじまった。
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