王都で挨拶回りをする男
後味はあまり良く無かったが、ダンジョンへのリベンジも無事に終了し、
当分のんびりすることにした俺は、
孤児院のホットドッグの味の確認と言う名の〈買い食い散歩〉をしながら、王都を満喫していた。
〈コッコ〉の召喚で届いた手紙は、筒にパンパンの資料やら〈ベンさん〉からの長い長いお手紙やらで大変な事になっていた。
工房組に物件の事を相談したら、〈クララさん〉が、
「出来れば皆一緒に暮らしたいです。」
と言っていた。
理由は、仕事人間の〈イスタさん〉〈マイさん〉親子が、目を離すと、ご飯も食べずに鍛治仕事をするので、危なっかしくて見ていられないらしい。
〈ペータさん〉と〈イスタさん〉も仲が良く、〈ユキさん〉と〈マイさん〉も歳が近い事もあり姉妹の様だ、
何より、〈クララさん〉が小さい時に母親が出ていってしまい、母の愛をあまり知らない〈マイさん〉への母性が溢れだしているからである。
資料を見ながら、皆で話し合い、
〈旧市街の職人通りの元鍛治屋とその周辺を買い取り、中庭で繋げて裏に職人の寮みたいな民家を建てる〉
事になった。
将来一人立ちするかも知れない〈マイさん〉と〈ユキさん〉用に、内緒で隣合う数件も購入して欲しいと〈ベンさん〉に手紙を書いた。
〈ホランさん〉の牧場はかなり大きな物になるらしい…領都に帰ってから従業員追加して一角で〈ミルキーカウ〉でも飼ったりしますか?
と〈ホランさん〉に聞いたら。
「今の広さ位で今の数が丁度、私が一人で管理出来るぐらいです。」
と言っていた。
図面を見てみたら今の場所の三倍の土地に、20頭は入りそうな厩舎が着工している、
一旦ここに馬達に入ってもらい、区画を区切って、新たに馬用の厩舎を建てる事をお願いする手紙も書いた。
金なら有る!
何故なら、馬車製作用に渡していた〈トレント木材〉の使用した物以外の買い取りを木工ギルドがしてくれたからだ。
サービスで、木材の良い部分だけを使い馬車を作ってくれたらしいく30本の原木を使ったと木工ギルドマスターが、話してくれた。
「では、30本以外の買い取りですか?」
と俺が聞くと、
「馬鹿を言っちゃいけないよ。
トレント材の一番良い所を使った後の二番手、三番手も高級木材だ、
馬車の製作代金を引いてもかなり残る、ただ、納品された〈トレント〉の大きさが多少ばらつきがあったから、キッチリ製材してから算出したので遅くなったが納めてくれ。」
と複数の革袋に入った金貨を渡してきた。
驚く俺に、
「大金貨に227枚と端数だ、
大金貨50枚の袋が4つと残り分の一袋だ納めてくれ」
と言ってきた、木工ギルドマスターに、
「こんなにですか?」
と質問したら、
「当たり前だよ。トレントの原木は平均小金貨四枚はするよ、持ち込まれたトレントの中には倍以上する〈銘木〉クラスが混じっていたからその金額になった。
あんな銘木クラスのトレントは森の奥深くに入らないと取れないから倒して運び出すだけでも普通は大仕事で、倍の価格でも釣り合わないから冒険者も狩りたがらないので、なかなかお目にかかれないよ。」
と説明してくれた。
因みに、王族の方々の馬車は銘木で作られるらしい。
なので、俺のアイテムボックスには、〈マンドラゴラ〉の残りと、
今回の〈トレント〉で、
大金貨300枚近いお金が入っている。
さ、三億円…
足が震える。
「来週末には仕上がる予定だから、納車は再来週だな。」
と木工ギルドマスターに言われたので、
近いうちに王都を旅立つ予定だ。
挨拶回りをするとして…
工房の管理をどうしよう?
まだ日にちはあるし、そのうち良いアイデアも浮かぶだろう。
とりあえず特許を出してるギルドには移動する事を伝えておく事にした。
鍛治師ギルドマスターに会いに来たのだが、
ギルドが戦場になっていた。
〈貴族の揺れない馬車の噂を聞き付けた商会から揺れない荷馬車の注文が殺到している〉
と受付の職員さんが話してくれたので、
「ギルドマスターに〈マヨネーズ男爵〉は再来週にガイルス辺境伯の領都に出発します。」
と伝言を頼んでギルドを後にした。
次は商業ギルドだ。
小太りな商業ギルドマスターが、ニコニコ顔で現れ、
「孤児院のホットドッグが大人気ですよ。」
と、ホットドッグのレシピ使用料を持って現れた。
しかし、孤児院からお金を貰うのは如何なものか…
しばし考えて、あることを思いつく、
「ギルドマスター、再来週にガイルス辺境伯領の領都に出発することになりました。」
と、きりだす俺、
「それは、王都も寂しくなりますなぁ、
新たなレシピも当分お預けですかぁ…」
食い物基準だな、商業ギルドマスターは、
「それで、相談なのですが、王都の私の家の掃除を週に一回、孤児院の子供にお願いしたいのですが、
報酬は、未来永劫孤児院のホットドッグレシピの使用料なしと、商業ギルドに有る私の口座から毎月小金貨一枚を支払うかたちで…できますか?」
と聞くとテキパキと手続きを行うギルドマスター。
仕事が早い事に驚く…
「孤児院の子供達も院長も喜びます。」
とギルドマスターはニコニコだった。
訳を聞くと、ギルドマスターの奥さんがあそこの孤児院出身らしく、嫁の実家を支援できて嬉しいとの事だった。
ギルドマスターの商会に勤めにきた奥さんに一目惚れして、結婚を申し込んだらしい、
〈あら、仕事もだけど、意外とやるわね、この小太りギルドマスターは。〉
そんなノロケ話を聞いたあと、
「孤児院の方々に宜しく。」
と、言ってギルドを後にした。
最後にガイルス様に再来週帰る事を報告に向かうと、
逢うなり、
「来週、王様に謁見するから冒険にでては駄目だぞ!」
と言われた。
…何でだろう…俺、何かしましたか?
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