金策に励む男
財布はスッカラカンだし、獲物の魔物は全てはきだした。
もう、直ぐにお金に成るものはない状態だ、
リオと冒険者ギルドに向かい、依頼をこなすか、手当たり次第に魔物を狩って稼ぐしかない。
ギルドの依頼掲示板を眺めるが、もし達成出来ない場合の罰金が怖いので、色々な種類の魔物がいる高原地帯の奥のエリアが一番良いかもしれないが、持っていく食糧も無い…。
〈まずは、王都側の湖近くの草原で手当たり次第に魔物を狩ろう。〉
と決めて、歩いて狩場に向かった。
歩いて四時間、地味に遠い狩場に昼過ぎに到着した。
街道からも離れていて、狩りに来る冒険者もまばらな不人気エリア、
同じくらいの距離なら一発逆転のある〈ダンジョン〉に向かうのが普通だろうが、何しろアイテム不足な今無理はできない、数日分の非常食と水のみでダンジョンに行くのは無謀だ。
不人気エリアの為か、魔物の数は結構いる。
デカい水鳥の魔物や野生の馬魔物に牛型の魔物など、のどかな狩場だが、不人気の理由は遠い意外にもう一点ある。
それは、大型の魔物やワイバーンの様な空を飛ぶ硬い魔物の食事場所に成って居るため、収入と危険度が釣り合っていないのだ。
しかし、俺には〈サーチ〉があるので、〈アサシンバイパー〉みたいなスキルのヤツに会わない限り、お肉取り放題だ。
早速、牛型魔物の〈ブラッドカウ〉という赤身の旨いと資料に書いてあったヤツから狩っていく。
〈ターゲット〉で眉間を狙い〈身体強化〉を掛けた弓矢を放つ。
一撃で無理なら〈マジックアロー炎〉も使えばなんとかなるので距離だけとって狩っていくが、案外簡単に狩れるので、血抜きの方が時間が掛かるっている。
〈ブラッドカウ〉を20頭ほど狩ったら、鳥も馬も居なく成ってしまった。
〈牛の野郎の声がモーモー五月蝿かったからな。〉
と納得して、今日はここでキャンプをはる。
リオが、
〈ご飯とってくる。〉
と言っているので、
「遠くに行っちゃ駄目だよ」
というと
〈はーい!〉
と答えて走りだした。
ものの十分程度で戻ってきたリオは何故か泥まみれに成りながら、デカイ鳥を咥えていた。
水場で休んでいたコイツを跳躍で急襲したが、着水した先が浅瀬ではなくぬかるみだったらしく、鳥を咥えて〈身体強化〉と〈高速移動〉を使って帰還したが、泥まみれに成ったと、尻尾を振りながら説明してくれた。
しかし、テイマースキルはすごいな、最近リオの感情が細かな所まで解る。
ほぼ会話だ。
感心しながらリオに〈クリーン〉をかけて綺麗にした。
〈ご主人、お肉にしてぇ〉
と鳥を俺の前に差出し甘えるリオ、
ナイフを出して捌いて行くのだが、
〈羽毛も布団に出来ないかな?〉
と、アイテムボックスから麻袋を出して羽毛をむしり詰めていく。
フカフカで良い感じだ。
よしよし、明日から鳥も狙うぞ。
と決めて捌いた肉をリオに渡すと、
〈ご主人も食べて〉
と言って〈いただきまぁーす〉と先に食べ始めた。
俺は、リオのお裾分けの鳥肉に塩胡椒をふり焼いてたべたが、今まで食べた鳥の中でもトップクラスに柔らかくジューシーだった。
名前は知らないが、コイツを狙おう!
と決めて初日が終了した。
2日目は水鳥を狙って湖を回る。
弓矢で倒すとリオが浅瀬を走って獲物を咥えてくる。
アイテムボックスに羽毛袋が5つたまり、旨い鳥肉も沢山手に入ったが、そこで気がついた。
「自分が食う分獲ってたら収入にならない!!」
と思わず声をだしてしまった。
金になるヤツを獲らなければ…
事件は3日目に起こった。
あれだけ居た獲物がいない。
〈サーチ〉を使うと何かの群れが引っ掛かった。リオを連れて、そちらに向かうと、馬魔物の群れが、ワイバーンの群れに襲われていた。
倒されてハラワタを美味しく食べられている馬や、
ワイバーンの爪でズタズタに成りながら群れの子供を守っている馬に複数で襲いかかるワイバーン、
補食というより狩りを楽しみ、いたぶって喜んでいる様子に怒りを覚えた。
よし、ワイバーン狩りに決定だ。
パッと見で十数匹のワイバーンがいるが、とりあえず馬を虐めている奴らから狩る事にした。
リオにあまり無理はしないように言って、遊撃を任せる。
俺は〈ターゲット〉でワイバーンの首の背に並ぶトゲとトゲの間を狙い〈集中・ウィンドカッター〉を放つ、
冒険者ギルドの図書館で、ワイバーンの倒し方の資料を見ておいて良かった。
トゲは首の骨の上から生えているので、トゲとトゲの間は軟骨の為切り落とす場合はソコを狙うらしい。
資料通り、虐めっ子の首を切り飛ばす事に成功した。
何が起きたか解らない内に、もう一匹も、切り落とす。
やっと〈敵襲〉に気付き、
「ぐぇぇぇえぇぇぇ!」
と汚い声で鳴くワイバーン達
鳴いて食べていた馬の前から飛び立とうとするワイバーンが一匹、また一匹と倒れていく。
リオの〈麻痺攻撃〉だな、
三匹麻痺らせたが、あとのワイバーンは空に逃がしてしまう。
リオは〈身体強化〉と〈咬み千切り〉を使い麻痺している三匹にとどめをさしてから俺の元に帰ってきた。
空に逃げても俺の〈ターゲット〉スキルと弓や魔法はまだ届く。
虐めてたワイバーンだけはキッチリ打ち落とし、残りは山に逃げ帰った。
ワイバーンの回収は後回しにしてズタボロの馬を見る。
子馬の群れを守れた安心からかユックリ揺れて倒れた馬魔物に、
急いでハイポーションを使う。
四本全て使ってようやく血が止まり馬の魔物が起き上がる。
「偉かったぞ、子馬を守って良く戦った。」
と、撫でてやると、
〈有り難う御座います。〉
との声が心に響く、
これは、〈従魔に成ったな〉と、確信した。
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