職人組の主人に成った男
辺境伯様の馬車で送ってもらい職人街をすすむと、
職人街の外れにその工房はあった。
入り口から入ると広いスペースとカウンターで仕切られた向こうは鍛治場となっていていた。
昔は鍛治場付きの武器屋だったらしい。
店スペースと鍛治スペースのようだ。
店スペースの奥に部屋の扉とトイレの扉がある。
奥の部屋はそこそこ広く台所がついていた。従業員の部屋かな?
その部屋の奥に扉があり、開けると中庭に井戸があり、その奥に二階立ての民家が有った。
「中庭も結構広いなぁ」と感心していたら
〈ご主人、走っていい?〉
とキラキラの笑顔で俺を見つめるリオ、
「塀の中は自由に走って良いぞ。」
というと、
「わーい」と中庭で遊ぶ狼をよそに、
職人家族を連れて民家に向かう、
扉を開けると玄関と廊下に突き当たりはトイレと階段があり、左右に広い部屋に続く扉がある、
階段を上がると二階はと同じ作りだが、片方は広い部屋だがもう片方には扉が二ヵ所あり小さめの部屋が二つ有った。
従業員の部屋と弟子の部屋かな?
部屋数は足りるし、トイレもある、キッチンもあるし…
無いのは風呂かな?
一通り見て回ったのでキッチンに戻り改めて職人達と話す。
「改めまして、ユウ・ツチヤ・マヨネーズ男爵ですが、マヨネーズ男爵と呼ばれるのはあまり好きでは無いので、可能な限りユウと名前の方で呼んで下さい。」
と挨拶した。
鍛治師の〈イスタ〉さんと娘の細工師、〈マイ〉さん
奥さんはお金を稼がない旦那に呆れて出て行ったらしい。
木工職人の〈ペータ〉さんと奥さんの裁縫上手な〈クララ〉さんと娘の革細工職人の〈ユキ〉さん
三人で家具などを作っていたが、悪いヤツにハメられて借金まみれにされたらしいが、確かにユキさんは美人さんだ。
この五人と暮らす訳だが…本拠地はあくまでガイルス様の領都でマヨネーズ商会も有るし、
王様は王都の男爵家として留守の間は誰かに任せれば良いと言っていたので、
設備は整えたいな、
「えー、これからここが我が家に成るわけですが、皆さんには色々と作りながら生活して欲しいのです。
我が家専用の馬車が完成後に辺境伯領に引っ越しますが、
早急に風呂は完備したいと思います。」
薪を下から燃やす、〈五ェ門風呂タイプ〉か横で沸かしたお湯をバケツで何度も入れるデカイタライ方式しかないこの世界、
ちなみに常宿に有ったのは〈五ェ門タイプ〉だった。
焚き口が横の循環タイプをつくる!
板に上手に乗らないと暑いのは嫌だ!!
イスタさん親子に循環式の風呂の原理を紙に描いて説明した後に制作を依頼、
先ずは鍛治工房を動かす事から初めてもらう為に軍資金に大金貨二枚を渡す。
ペータさんは木工職人だが小屋ぐらいなら建てる事が出来るらしいので、レンガと木材で、井戸の隣に小屋を建てて貰う事にした〈風呂小屋〉横に焚き口と煙突のある釜戸のついたタイプだが、〈イスタ〉さんと協力して風呂を完成してもらう依頼をだした。金貨一枚をとりあえず渡して、足りない分は後日と成った。
クララさんとユキさんには工房に足りない物の買い出しを依頼した。
奥の民家にベッドは有るが、布団がない、キッチンにテーブルがあるがイスがガタガタだし数も足りない、何より調理器具も食材も食器も無い、
小金貨七枚を始め全財産を袋ごとわたしたら、
「お貴族様用でなければ十分足ります。」
と言っていたので、
「平民の冒険者水準で宜しくお願いします。」
と伝えた。
買い出しはユキさんのアイテムバッグを一旦空にして出かけるのだが大きな部屋が一杯になりそうな量の布や革に毛皮が入っていた。
クララさんが、
「毛皮で敷き布団と布で布団と枕を作れば綿や羽毛だけ購入するだけで、数日で人数分作れます。
最悪毛皮を掛布にすれば寒くないですから。」
と言ったのでお任せした。
イスタさん親子には風呂の後に〈手押しポンプ〉と〈ミンサー〉を作って貰う予定だから予算内で可能なら鉄を余分に買っておいて欲しいと頼み、
「数日戻らないので後は宜しく!」
と言い残し俺は、リオを連れて早急に金を稼ぎに冒険者ギルドに向かった。
職人さん達は、
「行ってらっしゃいませ、ご主人様。」
と送り出してくれたが、少しくすぐったかった。
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