森を調査する男
〈トレント〉伐採生活9日目
昨日、助っ人の冒険者がようやく現れ、
今日は、早朝から森の調査に向かう事にした。
肉体派の〈誓いの盾〉のメンバーと、
魔法と武器のバランスタイプの〈鋼の鷹〉のメンバーと一緒なら森の奥まで入って行く事が出来る。
俺は、〈索敵〉と弓で〈トレント〉に印をつける役目だ。
「前方の弓矢の刺さった八本が、〈トレント〉です。」
と言うと、2チームが手分けして倒してくれて、俺が回収する流れだ。
〈トレント〉は俺が王都まで運ぶ事にした、
〈森の奥に入れば入るほど、トレントがまだまだいる、調査依頼がメインだとしても、一人大金貨一枚では割に合わないだろう…〉
と考え、サービスで運搬を買って出たのだ。
トレントを、倒しながら森の中に有る岩山を目指して進む、
岩場には、トレントが居ない事にくわえ、見晴らしが良いので調査で進む方向が決めれるからだ。
早朝から村を出て、全員で七十体近い〈トレント〉を伐採してようやく岩山に到着し、すこし遅い昼飯を食べた。
〈鋼の鷹〉の弓使いが〈視力強化〉スキルを使い森を見渡すと、森の中心に木々が枯れている一帯があると報告してくれた。
〈鋼の鷹〉の魔法使いが、
「不味いのぉ、
上位種のエルダートレントの子作りが始まったのかもしれないな…」
と、呟いた。
話を聞けば、〈エルダートレント〉は余り繁殖行為は行わないが、一度繁殖するとなると、回りの木々や生物からエネルギーを吸い取り、一帯を死の森にしながら、そこで産卵?というか苗木を産み落とすらしい。
しかも、困った事に〈エルダートレント〉はかなり硬い上に素材は〈魔木〉と呼ばれる魔力を通しやすい、杖等の高級素材なのだが…それは〈エルダートレント〉が魔法攻撃が得意という意味でも有る。
なぜ、魔法使いさんが〈エルダートレント〉に詳しいかというと、生まれ育った村が、〈エルダートレント〉の集団子作りが、原因で他の魔物が住みかを追われて暴走して町が滅んだらしい。
この森は広いため、魔物は散り散りに、逃げれば良いが、〈トレント〉達はこのあと〈エルダートレント〉が増えて、栄養のない〈死の森〉が広がる事を知っていて中心から外へ、外へと移動した結果先細りの形の森の入り口に溜まってしまったらしい。
〈定置網みたいな状態だな…〉
などと考えていたら、〈誓いの盾〉のメンバーから、
「どうする?
ここから先は〈トレント〉は、まばらになるし、〈魔木〉丸ごとなんて、遊んで暮らせる金額だぞ?!」
と、言い出した。
えっ、無理無理、硬いんでしょ〈エルダートレント〉止めとこうぜ!!
と俺が尻込みしていると、
「村の方向から煙が上がっている。」
と、〈誓いの盾〉のメンバーが騒ぐ、
〈村が襲われた!〉
と一瞬思ったが、〈鋼の鷹〉の弓使いさんが、
「狼煙だ!王国軍式の狼煙だぞあれ。」
と教えてくれた。
白い煙に魔物の素材を使い赤い煙を混ぜるのが〈王国式〉らしい。
村から上がる王国式の狼煙…。
やっとガイルス様に送った手紙が効力を発揮したらしい。
「皆さん、王国軍が来たらしいので、一旦戻って情報を共有しましょう。
我々はあくまでも調査が目的です。
この人数で突っ込んで大博打をするより、王国軍について行き、安全に倒して追加報酬が確実に入る方がお得ですから。」
と説得して、
一旦村まで帰る事に決まった。
ここまで来るのに時間は掛かったが、
命が有ればこそだ、
本当なら王国軍に丸投げしたいが、
〈倒したトレントを誰が運ぶの問題〉が出て来て、2チームから逆に運搬役として〈緊急指名依頼〉を出すから討伐に付き合って!
と言われて、村で王国軍に合流してから討伐に向かう事に成った。
トホホ、本当はいやだけど、応援を頼んだ〈男爵〉が逃げたと言われるのも嫌なので快く了解するはめに成ってしまった…
帰り道でリオが、
〈元気だしてよ、ご主人〉
と励ましてくれた。
優しい相棒で涙が出そうになるが、
すでに、泣きたい状況だ…
正直もう、トレントは要らないのだが…




