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新しい自分に生まれ変わる!とは言ったけど…  作者: ヒコしろう


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王様とマヨネーズ男爵



ついに、王様にお目通りし、

〈マヨネーズ男爵〉になった御披露目の式典が開かれる日になった。


朝イチで〈スタンプボア〉をリオと散歩がてら、冒険者ギルドに届けたあとで、


ガイルス様のお下がりを仕立て直した一張羅を着て城に登る。


数日振りの馬車は相変わらずの乗り心地だった。


城の門をくぐり、中庭を抜け、城に着く頃には、


〈なんでこんな所にきてしまったのか?〉


と少し後悔をしながら乗り心地の悪い馬車から、居心地の悪い貴族社会にお邪魔する事になっていた。


赤い絨毯の敷かれた〈謁見の間〉に〈お貴族様〉が並ぶ、


式典自体はガイルス様と練習したので、問題なく済んだのだが、


聞こえるように、

「新参者が…」とか「辺境伯にゴマをすったのだろう…」などと、散々陰口を言われた。


〈記録〉のスキルでしっかり顔は覚えたぞ!

〈サーチ〉で〈索敵〉したら何人かひっかかるのでは?

と思える貴族の妬みの洗礼を受けた俺は既に〈お貴族様〉アレルギー気味になっていた。


このあと、〈お貴族様〉の総大将一家とお茶の予定らしいが…もってくれ俺のハート…。


長い長いテーブルに王族の方々と数名の大貴族様が並び気不味いお茶会が始まった。


王様が、


「やっと合えたこと嬉しく思うぞ、マヨネーズ男爵」


と言われた。


マヨネーズ男爵が公式な呼び方かぁ…


と少しガッカリしたが、


「私も、まさか王様にお言葉が頂ける日が来るとは、ただの冒険者の身に余る光栄です。」


と答えた。


お妃様が、


「マヨネーズ男爵様、先日は〈キャラメル〉なる見事な甘味をありがとうございました。」


とニコニコで話してくれた。


「あのような物であればすぐにでもご用意させて頂きます。」


と伝えると、


「まぁ、嬉しい。

王様、おねだりしても構わないかしら?」


と興奮気味のお妃様に、

少し困った顔の王様が、


「無理を言うが、妻がそなたのお菓子の虜に成ってしまっておるゆえ、


すまぬが頼む。」


と王様直々に頼んできた。


「では、今から目の前でお菓子を作りますので、作業の出来るテーブルをお借り出来ませんでしょうか?」


と、俺が頼むと、王様がメイドさんに指示をだしテーブルが運ばれた。


俺は王族や大貴族達の前に立ち、


アイテムボックスから生乳が入った金属のボトルをだし、


タライに水をはり、軽く〈プチフリーズ〉を掛けてキンキンに冷やし、その中の金属のボトルを沈めてひやしながら、生乳に〈クリーン〉を掛ける。


「今作っているのは、先日のキャラメルにも使う材料の〈生クリーム〉を取り出しています。」


冷えてボトルの上に集まった〈脂肪分多めの部分〉をお玉ですくいボウルにあける。


アイテムボックスから簡易魔石コンロを取り出して、


鍋に先程の生乳ボトルに残った牛乳を鍋に入れて火にかけて砂糖を加えて溶かしていく。


甘いミルクを火から下ろして〈プチフリーズ〉で粗熱をとる


「前回作りました〈キャラメル〉は時間が掛かる為に、先日王都のスキルショップで見つけた〈プチフリーズ〉という生活魔法で冷たいお菓子を作ろうと思います。」


と告げると


「おー」っと、どよめきが起こった。


甘いミルクと生クリームと〈クリーン〉を掛けた生卵の黄身をボウルに合わせて泡立て器で混ぜながら、〈プチフリーズ〉をちょっとづつかけて冷やして行く。


空気を混ぜ込みながら冷やしていけば、


〈アイスクリーム〉の完成である。


この場にいる全員に渡る様に、もう一杯分ボウルでアイスを作り、


お毒見役の女性が一口食べた後に皆にくばられた。


王様がスプーンでアイスクリームをすくい口に運ぶ、


会場が静まり返るなか、


「むほっ、

皆のもの早く食してくれ、これは冷たい内に食べるべきだ。」


と言った。


会場のあちこちからカチャカチャとスプーンと食器の音がするが、口を開く者はいない


「美味ですわ!」とお妃様が言葉を発したのを皮切りに、ザワザワと皆が口々にに感想を口にしだす。


気に入って貰えたようだ。


「マヨネーズ男爵様、この〈アイスクリーム〉のレシピはいかがなされる予定ですか?」


と王族の女性…〈第2婦人とかかな?〉が何か焦って聞いてきた。


「見て頂いた様に、アイスクリーム自体作るのは簡単です。

生活魔法の〈クリーン〉と〈プチフリーズ〉さえ有れば作れますが、問題は輸送です。


すぐに溶けてしまいますので、レシピを公開して誰でも作れる様にしたいと思っております。


生クリームから作れるお菓子はまだまだ御座いますし、


アイスクリームも果物の果汁や果肉を混ぜれば味わいの違う物が出来上がります。


それぞれのご領地の特産のアイスクリームが出来たほうが、旅の楽しみが1つ増えるので、


私の楽しみの為公開したいのですが…


駄目ですかね?」


と言ったのだが…反応が無い、


ヤバいなんか変な事言ったかな?


と思った瞬間、


「素晴らしい!

素晴らしい考えだマヨネーズ男爵」


と王様が手を叩き誉めてくれた。


第2婦人さんっぽいご婦人が、


「では、料理人が作れればお茶会に使っても?」


と俺に聞いてくるので、


「結構ですよ。それにお茶を牛乳で煮立たせて、お茶味のアイスクリームも美味しいですよ。」


と言ってあげたら、慌ててメイドさんに料理長を呼ぶようにいいつけていた。


大貴族の方々も


「我が領地で作っても良いのですかなマヨネーズ男爵殿?」


と聞いて来るので、


「構いませんよ、同じ茶葉を使っても入れる人間により味わいが変わるように、冷し方や混ぜ方でも味わいが変わるお菓子なので、作れる方が多い方が楽しいでしょ。」


と答えた。


それからは、和やかなムードでお茶会が進んだのだが、


王様が


「皆のもの、マヨネーズ男爵の数々の知恵を見たであろう、

この知恵の数々に触れる事が出来るのは、神が我々の為に異世界より彼を送り出してくれたからだ。


彼は、使命こそ無いが、我々の知らない知恵をもたらしてくれる〈流れ人〉なのだ。」


とバラシてしまった。


それからは、大質問大会になったが、板バネの馬車の作成に大貴族も王族もノリノリで明日より王国上げて作成に乗り出す事に成った。


帰りは腰がましに成るかもしれないな…。



読んでいただき有り難うございます。

「面白い。」と思って頂けた方や、

「仕方がないから応援してやろう。」と思われた方

宜しければ 「ブックマーク」 をお願いたします。


「評価」や「感想」を頂けましたら、

とても嬉しいです。


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