王都に来た男
ブックマークが増えるのは、いつ見ても嬉しい気持ちに成ります。
皆様ありがとうございます。
来るのに二週間、腰の復活に2日、半月以上をかけてようやく王都を満喫出来そうだ。
ガイルス辺境伯様から、
「今週末に謁見が待っているから、死ぬかもしれない冒険は式典が無事に済むまで禁止だ。」
と言われたので、仕方なく町ブラをする事にした。
可哀想だが、リオは俺が王都に慣れるまでしばらくはお屋敷の警備をしてもらっている。
謁見が終われば、一緒に冒険にいこうな…
俺一人で街に繰り出したのだが、王都に出発前に〈アサシンバイパー〉等の買い取りで、サラと分けっこした後でもかなり懷が暖かいのだが、〈馬車〉を作るとなると、いくら掛かるか解らないので、
アイテムボックス内の〈スタンプボア〉を売り払うために、
王都の冒険者ギルドに向かう事にした。
〈マップ〉スキルで、知らない町でも迷わないので安心だ。
大通り沿いにガイルス辺境伯様の領都より三倍ほどの規模の冒険者ギルドの建物が見えた。
〈うわぁ〉と口を半開きで見上げていたら、
「あんちゃん、冒険者ギルド本部は初めてかい?」
とゴツいムッキムキのオジサンに声を掛けられた。
「えぇ、辺境の町から来たばかりで…」
と答えると、
「がっはっは、
そりゃビックリして口が半開きにもなるわな。
ようこそ、王都の冒険者ギルドへ
良い獲物が狩れたら俺の所に持ってこい、解体場のドバルだヨロシクな。
あんちゃんは?」
とドバルさんとやらに握手を求められた。
「〈B級〉のユウです。
こちらこそヨロシクお願いします。
ドバルさん。」
と握手をかわす。
「で、ユウはギルドに依頼を探しにきたのか?」
とドバルさんが聞いて来たので、
「いえ、アイテムボックスに入っている獲物を売ってお小遣いを稼ごうかと思いまして…」
と答えると、
「おう、それなら買い取りと解体の手続きを俺がしてやるよ。」
とドバルさんが申し出てくれた。
「ありがとうございます。」
と礼を伝えると、
「良いって、良いって、
俺と一緒にギルドに入ってくれりゃあ、俺も助かる。」
?なんで?
と思いながらドバルさんについていくと、
ギルド職員さんらしき、お姉さんが仁王立ちで出迎えてくれた。
「ドバルさん!
また遅刻ですか?いくら朝から解体が有ることが少ないとはいえ、毎度毎度、他の親方達にも示しが付きませんから!
解体部門のトップが二日酔いで遅刻ばかりでは…」
とギルド職員のお姉さんの説教が始まる。
「ま、待ってくれよ、俺はこの〈B級〉冒険者のユウの買い取りを担当している最中だ。
何でも王都に着いたばかりで迷ってたところをたまたま出会って案内してきたから、ちょっと遅れちまっただけだから
なっ、ユウ?!」
と、ドバルさんが下手くそなウィンクを飛ばしてくる。
「あ…はい。」
と答える俺、
「ほら!!」
とギルド職員さんにアピールしているドバルさん
「…仕方ない…今回は目を瞑ります…
今回だけですよ!!」
と言って、ギルド職員さんはツカツカと去って行った。
「すまねぇ、助かったよユウ。」
と変な汗を流しているドバルさん、
俺を〈言い訳〉に使ったのね…
「では、買い取りをお願いします。」
と言いながら、
〈寝坊の言い訳に使われた仕返し〉を考えていた。
「ユウ、それじゃあ窓口に…」
と俺を案内するドバルさんに、
「カウンターに出すには量が多いので、」
と伝えると
「おっ、大物か?数が多いのか?
いいぜ、解体場まで一緒に行こう。」
と俺を案内するドバルさん
解体場に入るなり、
「皆すまねぇ、冒険者を一人案内していて遅くなっちまった。」
と、ここでも俺を〈言い訳〉に使った。
〈はい、ギルティー!〉もう、罰を受けて貰うの確定です。
〈被告人ドバル、貴方は俺を寝坊の言い訳にしまくった罪で、『解体地獄の刑』に処す!〉
ドバルさんが、
「さぁ、ユウ!景気良くバーンと出してくれ。」
と言っているので、
アイテムボックスの〈スタンプボア〉を全て出していくつもりだ、
十頭を越えたくらいでドバルさんが慌て出す。
「ユウ、ちょ、ちょっと待ってくれ!」
と騒ぐが、お構い無しで次々と出してやる
20頭を越えた辺りで、半泣きになり、
「ユウ、本当に勘弁してくれ、徹夜してもさばき切れない量だから、
俺が悪かったから…」
とすがりついてくるドバルさんに、
「まだまだ有りますよ。」
と答えた。
「頼む、許してくれ。
1日十頭でも多すぎる!
頼む、アイテムボックスにしまってくれ、肉が悪くなっちまう。
1日5頭、5頭を毎日解体するから一回に全部だすのは許してくれ。」
と泣きながら懇願するドバルさんに、
「俺の〈スタンプボア〉の解体が全部終わるまで禁酒でヨロシク!」
と伝えると、
「それは勘弁してくだせぇ!」
と泣きつくドバルさん
騒ぎを聞き付けて先程のギルド職員のお姉さんが現れて、20頭以上転がる〈スタンプボア〉と俺の足にすがり付くドバルさんを交互に見ているが、状況が掴めない様で、
「これは?」
と質問されたので、洗いざらいバラシてやった。
お姉さんは冒険者ギルドのグランドマスターの娘さんの〈アリシアさん〉で、このギルド本部のマネージャーみたいな存在らしい。
「ユウさん、この度は解体部門長のドバルがご迷惑を掛けました。」
と頭を下げるアリシアさんに
「いえ、アリシアさんが頭を下げる必要は無いですから、
俺は、〈スタンプボア〉の買い取りがお願い出来て、ドバルさんに朝から晩までしっかり働いて貰い、
〈スタンプボア〉の解体が全て終わるまで禁酒が守られれば満足ですので。」
と、〈スタンプボア解体地獄の刑〉の完全なる執行をギルドに依頼する。
アリシアさんが、
「ユウさんのアイテムボックスに〈スタンプボア〉は何頭ほど入っていますか?」
と聞いて来たので、
「約50頭入っています。」
と答えると、
〈うーん〉と顎に人差し指を当てて考え込むアリシアさん、
ぱっと、何かを閃いたらしく、
「お手数ですが、ユウさん、
毎朝、解体場に〈スタンプボア〉を6頭づつ届けて頂けませんか?」
と聞いてくるので、
「届けるだけなら可能ですが?」
と伝えると、アリシアさんは悪い笑顔になり
「ドバルのオヤジには、〈スタンプボア〉の解体が終わるまで禁酒を守らせ、
もしも、約束を破った場合〈罰則〉を与えます。
そして、ユウさんにお願いなのですが、七日目の〈スタンプボア〉だけ5頭にして下さい。」
と依頼してきたアリシアさんに、
「それは何故です?」
と質問したら、
「毎日6頭なのが5頭に成ったら〈最後かな?〉と気が抜けます、
しかし、次の日6頭以上解体が有ったらショックでしょ?!
それに、5頭で最後だと思いお酒を飲めば〈罰則〉も与えれますので。」
と答えたアリシアさんに、
〈この人を敵に回してはイケない!〉
と俺の〈野生の勘〉が騒いでいた。
ドバルさん、貴方が悪いが…御愁傷様です。
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