頭が痛い辺境伯
※ガイルス辺境伯視点です。
朝早くに、やっと王都の屋敷に着いたのだが、〈マヨネーズ男爵〉は、腰をやったらしい、
「この世界に来て一番の長旅だから疲れるのは仕方ないが、流石に腰が痛いから今日と明日ぐらいは〈腰休み〉にして下さい。」
と言って屋敷の客間で寝ている。
前回、ユウの奴は私の胃にダメージを与え、今回は奴のせいで頭痛に悩まされている…。
まさか〈流れ人〉だったとは、
来週の男爵位の授与式までに王様に会わなければならない。
はぁ、頭が痛いよ…
確かに、作る料理のレシピが〈食い道楽〉の私の知識でも全く想像出来ない素晴らしい物で有った。
今思えば、〈流れ人〉だと言われた方がしっくり来てしまう事ばかりだが…。
城に
「マヨネーズ男爵の件について、早急に申し上げたい事が御座います。
王都の邸宅にて返事をお待ちしております」
と手紙をだして王様との謁見を依頼した。
城からは、
「すぐに来てくれ。」
と昼前には返事が来た。
ベッドで休んでいる〈マヨネーズ男爵〉に、
「城に出かけてくるが、ゆっくり休んでおいてくれ、それと、馬車の資料を貸してくれぬか?
王様に作れる鍛治師を紹介して貰うゆえ…」
とユウに頼むと、
「ガイルス様はタフですね。」
と言って資料を渡してくれ、
「ついでに、王様に〈キャラメル〉と言うお菓子と、そのお菓子の作り方を届けて下さい。」
とアイテムボックスから小箱を渡してきた。
「私も食べた事の無いものを王様に勧める訳にはいかないぞ。」
と言ってやったら、私用の〈キャラメル〉も、
〈仕方ないなぁ〉と渋々差し出してきた。
ユウの目の前で小箱を開けて1つ〈ぱくり〉と頬張る。
ユウが、
「生キャラメル気味にしましたが、パラフィン紙とか無いから、片栗粉を作って砂糖と混ぜて、まぶして紙にひっつきにくくしたので、初め少し粉っぽいですが、すぐに美味しくなります。」
と説明していたが、私はほとんど理解出来なかった。
難しい内容だったからではない、
口に入れた〈キャラメル〉の魅惑的な味わいに意識をもって行かれたからだ…。
甘い、が、甘いだけではない、複雑な味がある…
「これは、プリンに続いてご婦人が黙っていないな。」
と、私が言うと、
「では、お妃様にでもお渡し下さい。
レシピは自由にして頂いて良いですので。」
ともう一箱アイテムボックスから出した後に、
「ガイルス様、俺寝ますね。」
と部屋に下がって行った。
説明事に相談事が増えてしまった…
頭の痛みを忘れる為に〈キャラメル〉をもう1つ頬張ってから城に向かう。
城に到着すると、執務室に通された。
「急な参上になり申し訳御座いません。」
と王に申し上げた後に、ユウから預かった〈キャラメル〉を王様に献上する。
メイドに渡して、鑑定師と毒見役を経てから王様の手元に2つの小箱とレシピを記した紙が渡る。
「この度男爵位を賜った、ユウ・ツチヤ・マヨネーズ男爵からの手土産でございます。
一箱は王様へ、もう一箱はお妃様にと預かって参りました。
合わせてレシピも献上させていただきますので、お納め下さい。」
とお伝えした。
王様は箱を開けて、1つ頬張ると、
「ホホッ」と笑ったあとに、毒見役の女性に、
「ナディーよ、今回の毒見は役得だったのう、これは旨い!
よく、この様な旨い物を食べて〈すまし顔〉で居られたものよ。」
と感心する王様に、少し高齢の女性は、
「王様よりも先に食して、要らぬ先入観を与えてしまわぬように、必死で綻ぶ顔を引き締めておりました。」
と、答えた。
王様は大笑いで、
「昔より気遣いが過ぎるぞナディー、乳母のそなたが喜ぶところも、たまには見せてくれ。」
と言ってから、
「妃を呼んできてくれぬかナディー。」
と、笑っている王様に、これからユウの秘密について話さなければ成らない、
さて、何処から話だしたものか…
頭が痛い…
上機嫌の王様に、
「実は、ユウ・ツチヤ・マヨネーズ男爵は…〈流れ人〉でして…」
と切り出したら、執務室の中の人々が、シーンと静まりかえってしまった。
時が止まってしまった執務室に、
「とても良い甘味を頂いたと聞きましたが…」
とお妃様が入って来たのだが、場の空気がおかしい事に気がついて、キョロキョロしておられる。
それから、お妃様も交えて説明を始めようとするが、〈キャラメル〉を頬張ったお妃様が、暫くニコニコした後で、
「アナタ、お茶にしましょう!
これは、王族全体で話し合いをするべき甘味ですわ!」
と興奮しているが、〈キャラメル〉よりも〈流れ人〉の件を話し合いたいのだが…
また、王族に囲まれて説明をしなければならなく成ったな、
はぁ、帰って〈キャラメル〉食べて居たいよ…
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