貴族に成った男
はぁ、何でそうなるの?!
ガイルス辺境伯様からの「そなた男爵に成った」発言で、パニックになる俺、
「ガイルス様、な、な、何をおっしゃってオラレル…ので?」
と聞くのだが、
「詳しいことは、国王様の弟で、我が娘の婚約者のお父上、ジェルバ公爵様から話して頂く。」
ジェルバ公爵様と呼ばれたイケオジは、一歩前にでたのちに、
「その方が冒険者ユウか?
私が無理を言ってレシピを売ってもらった為にこの様な事に成ってしまい申し訳ない、
どうしても兄上にあの料理を食べさせたかったのだ、
兄上から〈そんな金額で料理人には命と等しいレシピを買い叩いくとは!〉と叱られてしまったよ。」
と話す公爵様に、
「いえ、あんなに凄い金額見たこと無くて怖く成った程です。」
と俺が答えると、
「ガイルス殿が言っていた通り、欲がない者だな。
欲が無い者に爵位は要らぬと思うのだがあれ程のレシピを王家に献上した者に何も与えないとあれば王家が馬鹿にされるのでな、
何の義務もない法衣貴族として〈男爵〉と成って欲しい。
ただ、唯一の仕事として年に一度程度で良いので王都で料理指南をしてほしい。
レシピを買い取って王宮の料理人に作らせたのだが、料理の工程が未知過ぎて再現出来なかったのだ。」
と話していた。
そして、ガイルス辺境伯様から、
「ユウよ、そなたの希望通り、
マヨネーズ工場をこの領地に作る。
私とジェルバ公爵の共同出資で男爵としてのそなたの名義で商会をつくる事と成った。」
えっ、えっ?
もう、脳ミソ熱くなってきた…
ガイルス辺境伯様がトドメを刺してくる。
「正式な発表は後日だが、ユウよ…いや、
ユウ・マヨネーズ男爵よ」
ヤメテぇぇぇぇぇ!
マヨネーズ男爵はヤメテ!
バロン・ド・マヨネーズって
何の嫌がらせだよ!!
「あのー、ガイルス辺境伯様、
俺、ファミリーネームで〈土屋〉を持ってるんですけど…」
と食い下がのだが、
正式な名前が
ユウ・ツチヤ・マヨネーズに成っただけだった。
最悪だ!
辺境伯様は何だか急にニコニコしだして、
「ユウ男爵に痛めつけられた胃の敵を取れた。」
と喜んでいるが、身に覚えがない…
「俺は、冒険者ですよ?
商会経営とか無理ですよ!
ガイルス様ぁー」
と泣きついてみたが、決定事項らしい。
すると、黙っていた商人の旦那が、
「発言宜しいでしょうか?」
と声を出した。
ガイルス辺境伯様は、ゆっくり頷いて発言を許可する。
「ありがとうございます。
この度私達は、マヨネーズ男爵様に助けて頂きました…」
やめて、マヨネーズ男爵はヤメテ!
「出来ればユウでお願いします。」
と思わず声を出してしまった。
商人の旦那さんはコクリと頷き続ける。
「賊に腕を切り落とされましたが、計算も出来ますし、利き腕は健在です。
ユウ男爵様の為にその商会で働かせて頂けないでしょうか?」
と申し出てくれた。
「さぁ、ユウよ、番頭まで決まったぞ、諦めて商会長になれ、
番頭の嫁も番頭の補佐として雇うにして、後のお嬢さん二名はどうする?」
とガイルス様が悪い笑顔をする。
被害者組は、全員俺にペコリと音がしそうなくらい頭を下げた。
この瞬間〈バロンマヨネーズ商会〉が発足してしまった。
そして、宿屋の夫婦には「王家御用達」の看板を掲げる許可がおり、代わりに王宮の料理人を交代でオヤジさんの生徒として宿屋の食堂の職員としてこき使って、俺から学んだ技術を伝授して欲しいと相談が有った。
夜だけ食堂を一般解放するか悩んでいたらしいが人手が無いので諦めていたオヤジさんは鼻息荒く「お任せ下さい」と言っていた。
そして、最後にサラにガイルス様が、
「ユウが男爵に成ったので、もしも、ユウ男爵の嫁に成りたい時は私に言いなさい、私の養女に成ってもらい無理やりにでもユウ男爵に嫁に貰うように圧力をかけてやるからな。」
と、とんでも発言をサラにしていたのだが、
サラは真っ赤に成って俯いてしまった。
すると、女将さんまで、
「ご領主様、それはウチの娘もお願いできますか?」
と聞いている。
ガイルスのオヤジは、ホクホクの笑顔で、
「勿論だ、私に任せなさい!」
と答えている。
ガイルス様、俺何かイケない事しましたか?
何だか頭が痛く成ってきたが、色々な事が勝手に決まってしまった。
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