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新しい自分に生まれ変わる!とは言ったけど…  作者: ヒコしろう


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厄介事に巻き込まれた男


まだ薄暗いキャンプ村から、

リオと散歩がてら、下の村近くの森までやって来た。


正直、狙いの〈山ネズミ〉は沢山獲れたし、山ネズミが沢山の場所には、山ネズミを狙った大型の魔物もたまに来るので、もう、旨味が少ない為に、


リオの嗅覚頼りの薬草類や森の食材採集に切り替えたのだ。


三時間近く歩いたので、二人の胸焼けはすっかり無くなり絶好調で採集を進めると、


急にリオが立ち止まり、風の匂いを嗅ぎ、


「ウォン!」


と吠えて、〈ご主人、こっちです!〉と慌てた様子で俺を誘導し始めた。


〈何事か!?〉と狼狽えながらもリオの後を追うと、


傷だらけの男性が倒れていた。


片腕は手首あたりから切り落とされ、背中に深手を負った男性に俺は慌てて〈クリーン〉の魔法を使い、アイテムボックスからポーションを全て出して〈駄目で元々〉と覚悟を決めて使いきった。


何とか出血が止まり、意識を取り戻した男性は、街道を行く商人さんらしい、


夜明け前に馬車を盗賊に襲われ、積み荷と奥さんを連れ去られたらしい、


商人さんは村を目指してこの怪我でここまで来たらしいが、気を失ったと話してくれた。


商人さんには悪いが、盗賊の足取りをリオが追えるうちにアジトを見つけたいので、山ネズミサンドと、村で治療を受けるようにお金を渡してその場で別れた。


リオに商人さんの血の匂いを逆にたどり、襲撃場所まで行くと、荒らされた馬車だけが有った。馬は持って行かれたのか見当たらない。


俺はリオに〈盗賊を追って〉と指示をだすと、森の奥へと匂いを追って進み出した。


二時間近く匂いをたどると、森の奥深くに猟師小屋の様な建物が有った。


入り口見張りが一人に馬が数頭繋がれている…


小屋の側に回り込むと、女性の叫び声が響いた。


間違えない〈当たり〉だ…


〈サーチ〉を使って中の様子を伺うと、入り口付近に五人、中ほど三人、奥に一人と〈敵意の無い反応〉が三人有った。


〈奥さん拐われたから炙り出すのは駄目だな、さてどうする?〉


と考えていたが、叫び声が続いている。


今まで頑なに嫌がっていた対人戦闘だが、なぜかサラの顔がちらついた。


もし、サラが拐われたのならば…


今まさに、ヒドイ事をされているのならば…


〈許せない!〉と思えた、


そして、

コイツらの行いは〈ゴブリン並み〉だ、

見張りも合わせて十匹のゴブリンだ!


負ける訳にはいかない!!


もう、殺人とか悩むのは一旦止めて、中の人を助ける為に行動しようと決めた。


リオには建物の裏に待機して、〈裏から逃げるヤツがいたら襲え!〉と指示をだし、俺は身をかくし、見張りが見える場所に移動して、弓を構える。


「ビュン」と弓のツルが鳴り、次の瞬間に見張りの左胸に矢が生えた。


苦しみながら暴れて音を発てる見張りの異変に気がつき入り口のヤツが不用意に出て来る、


すかさず弓を射かけるが三人倒しただけで入り口の五人の内二人は中に逃げ込んでしまった。


「敵襲、敵襲だ!」


と騒いでいる、


俺はゆっくりと移動し違う方向から小屋を狙い武器を手にした盗賊が入り口で倒れている仲間を踏み越えてモタモタしている隙に眉間を撃ち抜く、窓から顔を出して様子を伺うヤツも同様に〈身体強化〉を使った何時もより強く引き絞った高速の矢で倒した。


〈サーチ〉をかけると、中ほどの三人が奥の部屋に移動している。


そして、敵意の無い三人を一人づつ連れて、中ほどの三人が玄関口に来る。


「待て、射つんじゃねぇぞ。人質が要るんだぞ!」


といかにも時間稼ぎの会話を持ちかけてきたが、


辺りをキョロキョロして喋っているので、狙撃位置は解っていないようだ。


胸くそ悪いのが、女性ばかりの〈人質〉とやらは一糸纏わぬ姿に首輪に手錠を鎖で繋いでいる。


まるで〈苗床〉だ…


呆れて見ていると、小屋の裏から


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」


っと汚い悲鳴が聞こえた。


震え上がる盗賊達に一瞬の隙にを見つけ、人質から離れ気味になったヤツを射ぬく、


慌てた二人が、


「人質がどうなってもいいのか!」


と凄むが、建物の裏手から出て来た者を見た瞬間に声を失う。


リオが文字通り、〈盗賊のお頭〉を咥えて現れたのだ、


玄関先に〈ゴロン〉と〈お頭〉だけになったお頭を打ち捨て、血ミドロのまま唸るリオに戦意すら失った盗賊が命乞いをはじめた。


人質を解放させて代わりに生き残りの盗賊を鎖で繋ぎ、


人質の三人と血ミドロのリオに〈クリーン〉をかけて、俺の着替えで悪いが、アイテムボックスから服を数着出して着てもらう、約一名ダイナマイトボディーな人質さんは大きな布を巻いて何とかしてもらった。


死体と盗賊の盗んだ物をアイテムボックスにしまうが、生き残りの盗賊がアイテムボックス持ちらしいので、洗いざらい持ち物を吐き出させ没収した。


女性陣を馬に乗せ生き残りの盗賊を馬にに引かせて連行して石壁の村まで行くと、話を聞いた村の若い衆が農具を手に門の所に集まっていた。


村長に訳を話すと、


数ヶ月前から街道で積み荷を奪われた形跡があるが目撃者もいない状態で、たまに殺された旅人が見つかる事も有ったらしい。


領主様に報告したが町から遠いので、中々山狩りできる人数の兵士をだしてくれず、冒険者に頼んでいたが、目撃者も居らず探索範囲が絞れないのでは…と依頼を受ける者もない状態だったらしい。


ギルドもギルドだが、ガイルス辺境伯様ももう少し頑張って欲しいよね。


商人さんは村まで来て安心したのか、事情を話したらまた気を失ったらしいので、奥さんが付き添っているのだが、ダイナマイトボディーの女性が奥さんでした。


後の二人は、一家皆殺しにされた行商人の娘さんと、旅の歌い手の娘さん〈吟遊詩人〉というか、流しの演歌歌手みたいな感じでマネージャーと二人旅の途中で襲われたらしい、マネージャーは女だったが気が強すぎて殺されたと涙ながらに話してくれた。


行くところが無いらしいし、今回の報告なども兼ねて、一緒に領都まで移動する事になった。


商人さんが目覚め次第出発するのだが、

早く死体をアイテムボックスから出したい…


頭の中のリストに


〈生首〉

〈死体〉

〈首なし死体〉


などが並ぶので、嫌な気分になる…



読んでいただき有り難うございます。

「面白い。」と思って頂けた方や、

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